小さなウソ
さて場面はボピくんのいる埼玉県秋日部
市です。季節は十月下旬。暑がりのボピく
んにとって気候は少しずつ過ごしやすく
なってきました。
この前日、ボピくんは仕事を休ませても
らって海斗くんに会いに行きましたが、
今日はいつもどおり朝の仕事をしてから、
昼休みをミカちゃんとホテルで過ごしてい
ます。
部屋に入るとミカちゃんがちょっと意地
悪そうな顔で言いました。
「ねえ、ボピくん。きのうは久しぶりに昔
の恋人に会えて楽しかった?」
「昨日は海斗君が体のことで困っていたか
ら、治し方を教えに行っただけでちゅ。別
に、ヨリを戻す気なんてありまちぇん」
「そう。それならいいんですけどー」
「もう、いい加減に機嫌を直してくだちゃ
い。そうだ。東京のおみやげ、持ってきま
ちたよ」
そう言ってボピくんは手提げ袋の中から
昨日、海斗くんからもらったチョコの箱を
出しました。
「まあ、きれいな箱!中身はチョコかしら」
ミカちゃんの目が輝きました。
「はい、東京の有名店に行って買いまちた」
ボピくんはちょっとウソをついてしまいま
した。
「ボピくん。開けてもいいかしら」
「はい、いいでちゅよ」
ミカちゃんはきれいな模様の包装紙を破
らないように丁寧に包みを開けていきまし
た。やがて、包装紙が全部はがれると中身
の白い箱が出てきました。そして、その箱
のフタにはこう書いてあったのです。
ー海斗くんへ。愛をこめてー
これを見たミカちゃんの目の色が変わり
ました。
「ちょっとおおお、ボピくん。これは何な
のー!」ーつづくー




