内緒の話
明美さんが意を決して更衣室を出た時、
通路でバッタリ海斗くんと出会いました。
「あ、今日は俺と明美ちゃん、帰りの時刻
同じなんだね」と海斗くんが言いました。
「あのね、海斗くん。えーと」
明美さんは前もって考えていたセリフを言
おうとしますが緊張してうまく言えません。
「あのね、海斗くん。もうじきクリスマス
でしょ。だから、そのー、クリスマスパー
ティーなんて一緒にやりたいなあー、なん
ちゃって、エヘヘ」
「へえ~、すごい偶然。俺も今それを言お
うと思っていたんだ」
「えっ、本当に?」
「じゃあ、細かいことは明日決めようぜ」
その言葉に明美さんはホッとしました。
ちょうどその時、先輩の一郎くんが出勤
して来ました。彼は今日は遅番なのです。
「おい、なに二人で内緒話してるんだ?」
「なんでもないですよ、先輩。じゃあ、
お先に失礼します」
海斗くんが駐輪場に歩き出すと、明美さん
もその後を追っていきました。
「チェッ、あいつら付き合ってるのかなあ」
一郎くんは二人の背中を寂しそうに見つめ
ました。




