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和菓子セット
助手席に海斗くんがすわるとピンクの車
はすぐに走り出しました。
「どうだった、撮影は?」と明美さんが運
転しながら尋ねました。
「うん、おまんじゅうの皮がベルトコンベ
アに乗って流れてくるんだよ。その皮の上
にアンコをのせて手でくるむのさ」
「へー、面白そうね」
「それがすごく流れが速くてさ。もー、疲
れたよ」と海斗くんが苦笑いしました。
「そう、大変だったわね」
「でも、帰る時、工場長が和菓子のセット
くれたんだぜ」と言って海斗くんはその和
菓子の箱をポンとたたきました。
「ラッキーね。後で一緒に食べましょう」
「うん。次の仕事は何だっけ」
「ドラマの撮影よ」
「よーし、その前に腹ごしらえだ」
海斗くんはそう言って和菓子セットの箱を
開け始めました。
「あー、ずるい。私の分、とっといてよー」
車の中に二人の笑い声が響きました。
ーつづくー




