カレーライス
スマホで読みづらい場合は
画面を横向きにすると
いいかもしれません。
全部読むのは大変だという人のために
終わりの方にファスト版があります。
目次で探してください。
「レギュラー満タン入りましたー」
「ありがとうございました~」
白浜海斗くんは浜杉市内のガソリンスタ
ンドに勤める22歳の若者です。
「おーい、海斗。時間だからあがって
いいぞー」
「はい、店長。それじゃあ、お先に失礼
しまーす」
海斗くんは更衣室で店の制服を脱ぎ自慢
の赤いジャケットを羽織ると自転車に乗っ
て自宅へと漕ぎ出しました。季節は十二
月の中頃で、五時を過ぎるとあたりは暗
くなっていました。
「あー、ハラ減ったなあ。今日の夕食は
何かなあ。ボピくん、料理の腕が上がっ
たから楽しみだなあ」
風を切って走っていくと、やがて海斗く
んのアパートが見えてきました。自転車
を駐輪場に置いて、海斗くんは二階の自
分の部屋まで駆け上りました。
ピンポーンと呼び鈴を押して「ただいま
ボピくん」と言うとガチャッとドアが開
きました。
「おかえりなちゃーい、海斗くん」
そう言って迎えてくれたのは、身長
120cmくらいの男の子です。料理を
していたのか白いエプロンを着ています。
じつは、この子は人間に似ていますが
妖精なのです。顔がまん丸なところや、
肌が妙に白く異常にプニプニしていると
ころや、手足がかなり短いところが人間
と違っています。
「いい匂いだね。ボピくん。夕食は
カレーかな」
「そうなんでちゅ。朝から仕込んで、お
昼からコトコト煮たんでちゅ」
「そりゃすごいや。さっそく一緒に食べ
ようよ」
「ボピー!」
ボピくんはうれしい時や悲しい時にボピー
と言うクセがあるのです。
「ハグハグ。このカレー、最高だよ、ボピ
くん」
「ボピー!おかわりどうでちゅか」
「うん、おおもりでね」~下に挿絵があり
ます。
割れせんべいの挿絵集
という作品で、
ボピくんの絵が見れます。