その暖簾の向こう側に
はじめまして。
夕月うさぎ(ゆうづき うさぎ)と申します。
ずっと頭の中で描いてきたものを、ぼちぼちと描けたらと思います。
ミステリー小説を読むのは好きですが、自分で描けるかは分かりません、というか多分・・・(汗)
よろしくお願いします。
暖簾の向こう側。
そこには一体何があるのだろう。
ひらりと暖簾を捲って、その向こう側にあるものが何なのか。
それが分かるだけで、十分だ。
それがそこにある理由とか、
それの成り立ちだとか。
とにかく追及したいと、あまり思わないのである。
そんな私であるから、
研究なんてスタイルが合うわけでもない。
今更そんなことに気づいた、
これまで見ないフリをしていただけだということにも薄々気付いた。
なんとなく流れのままにここまで来てしまった。
風が緩く吹いている。
ずっしり咲いた桜の花はまだ散る気配はない。
「……桜の根本には、何があると思うかい?」
ふいに背後から声を掛けられた。
驚いて振り向く。
先程より、強めの風が吹いた。
そこにいたのは、一目で「浮いてる」と分かる格好をした男。
暖簾の向こう側に何があるか知りたいだけの私。
この時だけは、その声の主が一体何者なのかを、知りたいと。
うかつにも思ってしまった。
これが私とこいつの、腐れた縁のはじまりの物語である。