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並行線上のセツナ  作者: 白旗太郎
第二章 第一の試練【侵略と防衛】
11/16

11.刹那の侵略

 第一の試練。オレは【侵略】する側だ。そして、天使が言うには、今日がその日らしい。オレは今日まで特に何も準備せずに居たが、流石に守護者とやらくらいは用意しなくては行けないだろう。

 その為オレは戦場を離れ、とある施設に訪れている。目の前にあるこのでかい建物がそれだ。


「入口とか分かんねえし、勝手に入っていいか」


 そう言ってオレは、目の前の壁を適当に殴り穴を開けた。中は相変わらず暗く、人の気配は余りしない。まあ、居たとしても居なくてもオレは容赦なく入るがな。


 オレは穴に手をかけて、より壁を破壊して中へと入った。そこには、四角い箱の様なよく分からない銀色の装置が沢山置かれている。特に何の為の物なのか分からないし、今日の目的はこの施設のは顔ではない為、オレは通路を歩き始める。勿論、この通路は人間のサイズに合わせて作られた物なので、大型のオレが通るには壊しながら進むしかない。


 そうしながら、オレはとにかく下を目指して、歩みを進める。途中でここの人に会うが、奴らは勝手に逃げていくので特に殺したりする必要がなくて楽だ。

 そして階段も降りるのが面倒なので、跳ねて壊してすぐに降りた。


 一番下の階に降りると、目の前に重厚な銀色の扉が現れた。この扉を見ると、いつもあの頃を思い出す。だが、今はそんな思い出に浸っている時ではない。こんな開放感の無いつまらないところなど、さっさと出てやりたいのだ。


 そしてオレはこの扉を適当に殴って破壊した。昔は軽く凹ませるのが限界だったが、今では適当に殴っても壊せる様になり、成長を感じる。


 その中を除くと、やはり中は薄暗く変な装置が沢山置かれている。そして壁の方には謎の青い液体に満たされたカプセルが沢山あり、その中に一人ずつ変な管を繋げられた子供が入っている。

 かつては、オレもあの中に居たことがあるがあの中は本当に不快だ。


 そしてそのカプセル達の手前には数名の白衣を着た人間がいる。彼らはこの実験の研究者とやらだ。人体改造をして作り上げた人間を兵器と呼び、戦争の道具として使う最底辺の奴らだ。

 その中で一人、一番歳をとってハゲている人物が驚きを隠せない表情でオレを見ている。


「よお、久しぶりだなジジイ。おいおいそんな顔すんなよ。別にアンタらを殺しに来たんじゃねえよ。だから、悪いことは言わねえから、そのガキの中で成長が進んでいる二体を寄越せ」


 オレはのっそりと部屋の中へと入り、その老人をじっと見つめた。コイツは、ここの施設の中で一番偉い奴で、一番うざい奴だ。オレを兵器として運用したのも全部コイツが指示を出し、オレを苦しめて来た。


「な、ガイア⁉︎ 貴様だれがここに来いと言った! 貴、貴様は戦場で暴れてろ! お前は兵器だ! 兵器の癖に勝手な事をするな!」


 老人はオレの言うことなど聞かずに、逆にオレに叱って来た。相変わらずの自己中心のクソ野郎だ。本当にコイツの顔を見るたびに、殺したくなる。昔はそんな事をする勇気も力も無かったが、今ならそんな事容易く行える。

 だが、別に無闇に殺しに来たわけではない。それにこうやって恐怖を目の当たりにしているコイツの顔を眺めるのも悪くない気分だ。


「そうか。大人しく渡してくれるなら、何もしないつもりだったが、残念だな」


「くっ、黙れ! おいお前ら、何をしとる! 早くコイツを追い出せ! 早くしーー」


 そう言い終わる前に、オレは右手で老人を掴んだ。だが勿論、力は加減して殺さない様に優しく握っている。

 コイツは、オレの手の中で顔を震わせながら、オレの方をじっと睨んでいる。そして何かを喋りたそうにしているが、口は押さえている為ゴモゴモとしか聞こえない。


「おい、お前ら。さっさと二体用意しろ。オレが加減を間違える前に、な」


 そう言ってオレは、右手の中へ笑いかけた。老人はその瞬間、一気に顔が青ざめた。その表情がオレに、怒りをくれる。

 この光景を見て他の奴らも慌てて、装置をいじり出した。今のオレの気分は最高だ。あれ程オレが殺したい奴が、オレの手の中で、オレに命運を握られているなどあの頃は想像出来なかったのだから。


「なあ、今どんな気分だよ。昔はあんなに可愛がって来た奴が、自分を殺すかも知れないって気分はヨォ」


 そう語りかけてオレは少し指をずらしてやった。そして話せる様にしてあげた途端、老人は唾を飛ばしながら喋り出した。


「ふ、ふざけるな! お、お前は兵器だろ! 敵を殺すだけの兵器だ! そしてここに居るのも全部私の兵器だ! お前のじゃない、私のだ! このバカめ! お前はもう用済みだ! 誰か、コイツを殺せ!」


「おい、お前は何でも自分の思い通りになるって本気で思ってるみたいだなぁ? そのお前の幸せな脳味噌のせいで、オレは……オレは!」

 

 ーーブチッ。


 何かが、破裂する音がこの部屋に響いた。オレは右手を見ると、そこには変わり果てた老人の姿があった。どうやら怒りに身を任せて思わず殺してしまったらしい。


「ひっ!」


 人間達が悲鳴を上げる。本当はもっと苦しめる筈だったのに、惜しい事をしてしまった。だがまあ試練の前に決着をつけることが出来たからよしとするか。

 他の奴らはもう腰を抜かし、その場に座り込んでしまった。こうなってはもう、命令するよりも力ずくでやったほうが早いな。


「それじゃあ、お前らはどういう風に死にたいんだ?」


ーーそうして、オレはこの施設を後にした。


 この短時間の行きと帰りの間で変わったのは、オレの全身が赤い色で汚れていることと、オレの後を二体のガキがついて来ていることだ。コイツらには、オレの守護者として働いてもらおう。


 まだ目覚めたばかりだが、まあ大丈夫だろう。良いことではないが、あの施設で作られて来たのならある程度は命令も聞くし、戦闘の方も申し分ない筈だ。その為にわざわざあんなところまで行ったのだから。


「ーーあら、ようやく守護者を選定してくれたのですね。あまりにも遅かったので心配でしたよ」


 歩いていると急に美しい声が響いた。声がした方を見ると、そこには朱色の衣装を身につけた水色の短髪の天使がいた。

 一週間前に会って面倒臭い話を長々と聞かしてきたウザい奴だが、この試練を行う際には不可欠な存在だ。それに、コイツはオレじゃあ殺せない。その為、嫌いだが殴ったりはしていない。


「よお、クソ天使。お前が来たってことは、もう行くのか?」


「はい。あなた方の決心がつきましたらいつでも行けますよ。それにしてもガイアさんは、相変わらず口が悪いですね。この子達にそんな言葉を覚えさせたらダメですよ」


 そう言って天使は、オレの隣でキョトンとしているガキ二匹の頭を両手で撫で出した。なんだこの天使は。気安く触るなと思ったが、案外コイツらには好評の様だ。コイツらの口から、思わず笑みが溢れている。


 しかし、やはりこの天使は何でも知っている様な口調だ。今あったばかりのこのガキ共に対してもやけに馴れ馴れしい。本当によく分からない奴だ。


「あ、ガイアさん。この子達の名前は何て言うんですか?」


「あ? 知るか。んなもんコイツらには必要ねえんだよ」


「酷いですよ、そんなの。それじゃあ、私が付けてあげます。んー、ではこっちの赤い腕輪がライアで、青い腕輪がダイア。どうです、いいでしょう?」


 自分の名付けに満足しているのか、天使は万面の笑みを浮かべてオレの方へ視線を向けてくる。正直にこの絡みはだるい。さっさと、オレを新たな戦場に送ってくれればいいのに。


「あーそうだな。それじゃあ、ライアと……何だっけ? お前、行くぞ」


「もう、ダイアですよ。ガイアさんの名前に似せたんですから、覚えてくださいよ。酷いお父さんですね、ダイアくん」


「があー」


 天使のしょうもないやりとりにダイアが返事をする。本当に何なのだこの天使は。オレは、父親でも何でも無い。コイツらはオレにとっての道具でしか無いのに、余計な感情を芽生えさせるな。


「わかったよ。おいライアとダイア、さっさと行くぞ」


「「うがー」」


 二人揃って返事をし、オレの下へ駆け寄ってくる。コイツらはまだ、目覚めたばかりで話すことは出来ないが、言葉を理解することはできるようだ。何とも使い易いことだろうか。


「それじゃあ準備はもうできたぜ。さっさと送ってくれ」


「はいはい。本当に飛ばしますよ、良いんですね? 試練ですからね、この世界の」


「分かってるよ。時間が惜しいんだ。さっさとやれ」


 正直言ってオレにとっては試練だとか、世界の消滅だとかはどうでもいい。それよりも、強い奴と戦う方がオレにとっての本当の楽しみと言える。


「もーしっかりして下さいよ。この世界の命運は貴方にかかっているんですからね。ライアくんとダイアくんも頑張って下さいね。では、行きますよ! ガイアさん、御武運を」


「ああ、さっさと終わらせて帰ってくるよ」


 そう言い終わった瞬間、景色が変わった。


「本当に、来たんだな」


 開かれた景色は今までに見たことのないモノだった。オレはもっと自然溢れる場所なのかとか想像していたが、どうやら違う様だ。なんか、施設の中にいるようなあの嫌な感じがする。

 すると、悲鳴が聞こえて来た。周りを見てみると小さな人間供が一斉に何処かへ逃げ去っていった。その見た目は派手で見たこともない様な衣装を身につけているものが殆どだ。

 兵士だとか、施設の人間の様な奴らは居なそうだ。その事実を受けて、本当にここが別の世界線だと理解できる。


「はっは、良いじゃねえか。これは良い気分だなあ」


 続いて周りの環境に目を向けると、そびえ立つ鋼色の細長い建物がたくさんある。どれもこれも長いし大きい。それに、その存在を主張する様に目立つ色合いだ。

 地面は真っ黒で硬く、不思議な白い線が引かれている。常に砂と土の戦場で生きていたオレにとって少し不快な地面だが、じきに慣れるだろう。


 上を見上げると、鋼の建物に囲まれて小さな青空が顔を出していた。何とも開放感のないつまらない世界なのか。オレは素直にそう感じた。

 取り敢えず今のところは、この世界の最強とその守護者らしい奴は出て来てない。だったら、こっちから誘い出してやろうか。


「ーーおい、お前らは二人でどっか行って暴れてこい。オレは一人でやる」


 オレは足元にいる二匹のガキ供、ライアとダイアにそう言った。コイツらには、オレの戦闘の邪魔にならない位置で暴れてくれればそれで良い。最強だけじゃなく、守護者もろともオレが相手をしてやる。言わばコイツらはその為の囮だ。


「「わがった!」」


 二人は同時に返事をして、四足歩行のまま何処かへと駆け出していった。その後ろ姿は、何処かへ遊びに行く子供の様だった。アイツらは、試練がどう言うものか一様は理解しているみたいだが、やはりそんなに真剣には取り組まないのだろう。


「じゃあ、壊すか」


 運がいいことにここには壊しがいのある建物が多く林立している。このうち一つでも倒してやれば、流石にオレがここにいる事には気づくだろう。それで、戦闘開始だ。


 オレはまずは手始めに一番近い建物に狙いを定める。そして、全身に力を込めてかけ出す。


「うぉぉぉーー!!」


 ドゴォンッ!と、轟音がオレの全身に響く。そう、オレはこの建物目掛けて突撃したのだ。そして全身の力で、更に押し込む。最初の一撃でかなり傾いたこの建物にとどめを刺す様にオレは、力を加え続けた。


 そして遂に、この建物はゴゴゴッという音と共に倒壊した。


「へっ、なかなか頑丈なもんだなあ。この世界の建物は」


 オレの世界の建物は適当に殴るだけで、穴が開くくらい素材が弱いの対して、この世界の物は何と硬いことだろうか。ということは、この世界の最強も同じくらい、いやそれ以上に硬いのかもしれない。


「てことは、壊しがいがあるよな!」


 そしてオレは隣の建物の根元を蹴り、破損させ不安定になったところを殴り倒す。


「最高の気分だぜ! がっはっはっは」


 早く、早く戦いたい。オレは、今すぐこの世界の最強と拳を交えて殺してやりたい。


「早く来やがれよぉぉぉ!」


 オレが地面を叩き割ったり、ビルを傷つけながら暴れていると、後ろの方から変な音が聞こえて来た。振り返ると変な赤いライトを乗せた、白と黒の箱がこちらへとやってきた。

 そしてそれはオレから少し離れた位置に止まると、中から人が出て来た。


「ーーう、動くな。大人しく、手を上げてその場で動くんじゃないっ!」


「ああ?」


 声がした。何とも力のない安っぽい声だ。この声の主が最強なのか? オレはその箱から出て来た奴らを見る。その二人は青い服を着ており、赤いライトを乗っけた白と黒の箱の後ろに隠れる様に、こちらへ何かを向けている。

 その二人は、今にも死にそうなくらい震えて、こちらへ一生懸命にその手で握る何かを向けている。


「う、動くな! 動いたら撃つぞ! お、大人しくその場で手を上げろ!」


「ガハハハ! なんだその命令は? 誰が言うことを聞くかこの雑魚ども。そんなに震えて言われても、説得力なんて全くないぜ! ほら、なんかして見ろよ。この虫けらがっ!」


 その二人の人間の挙動を見ていると思わず笑いがこみ上げてくる。それほどに滑稽な猿芝居を見せられている様な気分だ。


「くっ、撃つぞ! 撃つからな! この化け物め!」


「ほら、こいよいい加減。お前の脅しなんか効かないさ!」


「う、うらあ」


 力のない掛け声と共にその男の手から、パンッと何かが放たれた。

 小さくて、何かわからないがそれは速かった。とてつもない速さでオレの顔面にぶつかって来た。


「いってえな! 雑魚のくせに中々良いもん持ってんじゃねえか。まあ、そんなんじゃ幾つあってもオレを殺せないけどな! それじゃあ望み通り、お前らを殺してやるよ」


 そう言うと二人は「ひぃ」と声を上げて、更にオレにその小さいモノを飛ばして来た。当たるとそれは痛いが、ただ痛いだけだ。確かにこれを人間が受けたら死ぬのかも知れない。だが、オレにとってそれはただ痛いだけの玩具の様なモノだ。何回当たろうが、死ぬ気は全くしない。


 近づいていくと、二人の手からはもうその小さいモノは出てこなくなった。恐らくそれを撃つのに使っていた何かが無くなったのだろう。そうして二人の顔はどんどん青ざめていく。


「う、うわぁ!」


 もうオレは悲鳴など何度も聞いて来た。命乞いする奴も何度も見てきた。だが、オレは容赦はしない。オレは全員平等だ。全員に平等に……。


「楽にしてやるよ!」


 オレは、右手を上げた。払って殺してやる。この世界にやってきてオレが直接手を下す最初の犠牲者だ。そして、お前らの死をもってオレが最強になる第一歩としよう。

 オレは右手に力を入れて、懇親の一撃を放つ準備を整えた。これで終わりだ。

 そう思ったその瞬間、音がした。何かが弾かれる音だ。


 そして、それはオレの耳元で聞こえてくる。


 ……バシンッ。


「ーーあ」


 その瞬間、先程まで見えていた空間が真っ白に染まった。その異変に続く様にオレの足元がふらつき、オレは思わずその場に倒れ込んでしまう。


「何が……起きた。視界が……ぼやけて、何も見えない」


 更に遅れて顔に鋭い痛みが走ってくる。

 何が、起きたのか分かんらない。だが、おおよその検討はつく。何者かがオレの顔を蹴ったのだ。そして、その一撃でオレはこうして視界がぼやけるほどの損傷を負ったのだ。


 完全に油断していた。あんな雑魚共に構っていたせいで、肝心の敵に良い様にされてしまった。これは完璧な失態だ。

 だが、不思議なことに追撃が来る様子が無い。このオレが不利な状況で更に攻撃を加えないとは、何とも驕り高ぶっている奴なのだろうか。そして、オレは何て舐められていることか。

 しかし今は、相手のこの余裕に感謝するしかない。

 

 次第に視界が戻ってくる。真っ白の世界に色が戻り始め、歪んだ形状から整った直線の多い空間へと変貌を遂げる。

 すると見えてきた。オレの前にたたずむ一つの黒い影が。その姿には見覚えがある。一週間前の天界で他の世界の奴らと顔を合わせたときに、確かコイツがいた。

 この人間とは思えない変な装備を全身に身につけるこの風貌は、見た目だけで言えばあの中で一番目立っていた。その為に覚えている。


 コイツも最強なのだと。


「ーー久しぶりだなぁ、デカブツ野郎。まず最初の相手がお前で、俺は嬉しいぜ」


「オレも……同感だ。あの十六人の中で、お前が一番おかしな見た目をしてたからなぁ。まあこんな世界なら、その格好もおかしく無いな」


 視界が完全に戻ってオレの目、脳、身体がコイツを理解する。この男が、この世界で最強だと。そして、オレを楽しませてくれると。


「そうかよ。それじゃあ、お喋りはこの辺にして……やろうぜ、どっかの世界の最強さん!」


「ガイアだ。オレは、ガイア。お前の名は何だ! 名乗れ!」

 

「セツナだ。よろしく頼むぜ、ガイアーー」


「ガァァァー!」

 

 コイツが口を開いた瞬間、オレは駆け出した。そして、払った。

 名乗り合いなど、小賢しいことなどオレは大嫌いだ。オレは、馴れ合いも手加減も何もしない。戦いの形だとかはどうでも良い。ただ純粋に勝ちたいのだ。その為には、こんな風に騙し討ちをするくらい訳がない。


 そしてオレが勢い良く払った為、セツナとやらは真っ直ぐ後ろに飛ばされ、背後の建物に衝突した。この一撃は、並大抵の人間なら原型を留めないほどに死ぬ一撃だ。それでもまさか、死んだなんてないよな?


「ーー良い攻撃だな、ガイア。これで俺の最初の奇襲はチャラって事で良いな。これで心置きなく戦えるぜ」


 建物から上がる粉塵の中から、薄らと三日月を模った様な

光が現れた。そしてそれは次第に明るくなり、それを取り囲む様に漆黒の影が形を成す。

 そしてその粉塵をかき払って、セツナがその姿を現した。その見た目には目立つ傷もないし、歩き方も異変はない。恐らく、今の一撃のダメージはコイツには殆どない。

 本当に、本当に今日は最高の気分だ。


「流石だ、そして最高だぜセツナ! さあやろう! 天界で出来なかった争いを、今!」


「ああ、俺も激ってくるよ。あの日のお前らの覇気を思い出すとさぁ!」


 オレが地面を蹴り出す。セツナも、こちらへ飛んでくる。


 今、戦闘が始まった。

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