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ねこみみと初めての戦闘

スライムだとまたユウが遊んでしまうということで別のモンスターを探しているのだが、正直それどころではない。


("見守る"かぁ……さっそくユウの"動物"をと思ったけどやっぱりオリジナルスキルは無理だった。でも"優しさの塊"でも十分に強いスキル。経験値が二倍って…これゲームをやりこんだ人が見つけるスキルだよね……初心者がいきなり手にするスキルって……)


完全にゲームのバランスが壊れる。

レベルも上げすぎてなかなか上がらず、ゲームをやりこんだ人だから見つけられるスキルのはず。

だいたい初心者があんな風にモンスターを倒さずにいることはない。レベル上げが必要な初期段階。だからこそ隠れスキルで入れていたのだろう。


(これ、バレたら不味いよね……

色んな人が経験値二倍なんて面白くないし……ということは普段はこのスキルの使用を停止させておいたほうが懸命かな?必要な時に使用して短時間でレベルを上げる。

今回はここでレベル上げしてしばらくは使用を控えてもらうことにしよう)


考えがまとまったところで草むらからカマキリに似たモンスターが現れた。


「よし!まずは私が見本を見せるわ」

「………頑張って……!」


その期待の眼差しに興奮するミラ。

鋭いカマで襲いかかろうとするカマキリに対してミラは短刀でそのカマを受け流し胴体に一撃を食らわせた。


苦しむカマキリは振り返り攻撃をしようとするがミラの方が速く仕掛けてカマキリは電子化して消えた。


「こんなものね」

「………おぉ………」


パチパチと拍手するユウに気分が良くなるミラ。

すると目の前に画面が現れて


『レベル3になりました』


どうやらそこそこの経験値を持ったカマキリだったようだ。普通ならレベル2さえもならないのにやはり経験値二倍となると簡単にレベルが上がる。


(やっぱり経験値二倍は違うな~。こんなに簡単にレベルが上がるなんて……)


だからこそこれは他の人にバレないようにしないといけない。

そして自分のスキルも……


「次はユウもやってみて。サポートはするから」

「………うん………」


よし。と意欲を見せるユウ。

こういうのは苦手だと思っていたが意外にやる気はあるようだ。

今度もまた同じようにカマキリが現れユウが果物ナイフのような短い刃物を取り出した。

ミラの使っている短刀と比較しても長さも大きさも倍違う。

どうやってモンスターを倒すのか、ユウなりの戦闘スタイルが見れるだろうと初めは手を出さないでいるつもりだった。


「……………ッ!!」


しかしユウの攻撃はミラの予想を越えた。

持っていた刃物をカマキリに投げつけたのだ。

それなりのスピードで投げれた刃物だったが簡単に弾かれた。しかしユウはこれで倒そうなんて考えてなかったのだ。


"2足歩行から4足歩行"へ変えたユウはまるでライオンのような、ハンターのような鋭い目になり、一気にカマキリとの距離を詰めて


「………えい……!!」


"伸びた爪で"カマキリの胴体を切り裂いた。

それはミラが見せたスピードよりも速く一撃で仕留めた。


そんな姿を見て唖然とするミラ。

4足歩行から2足歩行へと戻り「ふぅ…」と息を吐いたユウはミラに駆け寄って


「………どう…だった……??」

「な、なに…さっきの……??」


「………ネコ……だよ…」

「……ネ、ネコ、というより…ライオンとチーターに近かったような……」


「………ネコ……だよね……??」

「…………なるほど………そういう認識なのね……」


このオリジナルスキル"動物"には"ネコ化"というサイドスキルがあり、その"ネコ化"は"ネコ科"に属するものに"ネコ変化"するスキル。

なのでまるでライオンのようでチーターのようで、完全に"ネコ"として攻撃をしたようだ。


(も、もう少し、様子を見てみましょうか……)


それからしばらく二人は周りのモンスターを狩り尽くしていき、レベルが10まで上がったときのことだった。

ユウからスキルの説明はしてもらったが"ネコ化"を何度か見ることによって説明以外の"ネコ化"について分かってきた。


「なるほどね~。モンスターの居場所とか、待機の姿勢とか、戦う姿が"ネコ"っぽい……こんな戦い方始めてみる……」


「………ネコ……いいよね……」


「いいよね!!」


結局はユウ優先のミラ。深いことは考えないことにした。

するとユウのねこみみがピクッ、ピクッと反応した。

その動物的な勘でユウは周りを見渡してみると突然に草原の中に草が生えていない場所を見つけた。

そしてその場所には地面に"扉"があったのだった。


「………ミラ……これ………」

「ダンジョンみたいね。

それも話で聞いていたダンジョンとは違う…まだ誰も見つけてないダンジョンみたい」


「どうして??」と首を横に傾けるユウに胸を打たれながら扉の方に指を指して


「扉に鍵があるのはまだ誰もダンジョンに入っていない証拠なの。一人でも入ったら鍵が消えてるから判断しやすいわけ。そしてダンジョン最初の攻略者にはレアスキルやレアアイテムも手に入るの!!こんな場所で見つけるなんて付いてるわ!!」


「………やったぁ……!」


と、ピョンピョンと跳ねる度にズキュン!と胸を打たれるミラ。今日だけで何回萌え死にしているか……幸せぇ~と感じながらも扉に近づくミラ。

手をかざすと扉の鍵は壊れて中に入れるようになったがそこでミラがユウの方を向いて問いかけた。


「ねぇ、ユウはどうしたい?」

「??」


「ここに入ってしまうとクリアするか、殺られてここに強制退場されるか、アイテム以外ではダンジョンから出れなくなるの。

つまりさっきのレベル上げとは違う。イヤだって思っても簡単に抜け出せないの。ユウが嫌なら無理しなくていいから良く考えてみて」


「………………………」


どうしようかと考えてみる。

このゲームは楽しい。大好きなネコになれてミラと一緒に遊べるから。

レベル上げも嫌じゃなかった。ネコがやっている"狩り"みたいで楽しかったから。


でもミラがいうダンジョンは少し怖い。

何があるか分からないし、いざとなったら逃げ出すことも出来ない。

自分のペースが乱されるのは好きではない。特にこういう"閉じ込められた空間"は苦手である。


「………ま、待ってて……も、……いい……??」


「うん。無理しなくていいから。

じゃ、待ってて。ここら辺のモンスターじゃユウは倒せないだろうし安心出来るから。退屈だったら街に帰っててもいいからね。あっ、連絡だけは頂戴ね」


「…………うん………」


「それじゃいってくるね」と手を降りながらミラはダンジョンへと入っていった。少しだけ寂しさを覚えたユウだったがミラがいった通りに待てるまで待ってみることにした。


その間またスライムと一緒に遊ぼうかな~と思いさっそくスライムを探し始めることにした。

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