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ねこみみとモンスター

「ユウウウゥゥゥゥッ!!!!」

「………」(ヒョイ)


ゲームを初めて二日目。

今日は海來、こっちではミラと待ち合わせをした。

街の散策は一度切り上げて今度は外に出てみようということになり、街の入り口で待っているとミラがこっちに向かって走ってきた。


しかしここはゲームの世界。

またねこみみがピクッと動き反射的に飛び付こうとしたミラを避けてしまった。

そのためミラは地面へヘッドスライディングを決めてみせた。


大丈夫かな?と近づこうとしたがその前にミラが立ち上がり結城の元へ駆け出して


「おまたせユウ!!」

「………まって……ないよ……」


「うぅぅんんんんッ!!!現実もいいけどこっちのねこみみユウも最高ううぅッ!!!!」


また飛び付こうとしたが我慢するミラ。

制服姿の結城も可愛いが、それでもやはりここでの全身黒のスエットにねこみみのユウが抜群に可愛くてヤバい。


正直このままずっとユウを観察するだけでも満足なのだが、それではゲームの意味がない。とそこは真面目にやろうということで


「それじゃまずは草原にいきましょうか。

モンスターは出るけど無理して戦わなくてもいいからね」


「………うん……!」


それでも気合いを入れてガッツポーズを決める結城。

それにミラはもう脳内写真を撮影しまっくっていた。

この世界にカメラが、画像保存機能があればッ!!と昨日からゲームの取扱説明文書を何度も読み返したがなかったので脳内に納めることにした。


街の外には草原と森、川や山があり街から離れていくにつれてモンスターのレベルも上がっていく。

そしてそのエリアには必ず一つはダンジョンが存在する。

そこでダンジョンをクリアすればお金や強い武器、レアスキルなどを手にすることが出来る。


だから誰もがまずモンスターと戦いレベルをあげてからダンジョンへ進む。

一番の弱いダンジョンでもレベル7から挑戦しなければ負けるだろう。

そのダンジョンはそうこの草原に一つあり、これが誰もが通る最初のダンジョン。


でもまずはレベル上げである。

二人ともまだレベル1。モンスターを倒してレベルを7まで上げないと草原のダンジョンはクリア出来ないだろう。


ということで、ミラが先頭を歩き結城が後ろから付いてくる。

そしてさっそく現れたのが


「やっぱりスライムかぁ。攻撃してこないし楽に倒せるけど物足りないだよね」


草原に生息するスライム。

しかしこのスライムはとても大人しく警戒心もない。

攻撃も一撃当てれば倒せるという超楽勝なモンスター。

それでも倒せば経験値が貰えてレベルアップに繋がる。


ミラは腰にある短刀を取りだしてスライムに一撃を入れる。

するとあっという間に電子化となり消え、そして経験値が手に入る。


「う~ん……スライムは三体倒して1レベルってところかぁ……

……これじゃダンジョンに必要なレベルまで時間がかかるよね……」


間違いなく経験値も手にしているがどうも効率が悪い。

やはりゲーム内でも最弱なモンスターのスライムでは経験値が少なすぎる。

他のモンスターにしようと考え結城に移動しようと声をかけようとすると


「………………」(ゴロン、ゴロン)

「………ガバッ!!!」


今回は本当に吐血した。

ゲームでこんな理由で吐血し、HPが減ったのはミラだけだろう。

しかしそれは仕方ないこと!だっていま結城は


「…………コロ……コロ………」


現れたスライムをまるでボールのように転がしているのだ!!

それも寝転がって、指を曲げて、優しく優しくコロコロと。

右に左にコロコロと。たまには弾ませたりしながらコロコロと。


それはもう!!ネコ!!!!

もう完全にネコ!!!!

結城は!ユウは!!ネコに違いないッ!!!!


と、思わせるほどにネコの動きをしている。

爪を立てていないためにスライムには全くダメージがなくいつまでも転がり続けている。若干スライムの表情が楽しそうに見えるのは気のせいか……


血を吐いたミラは膝から崩れ落ち、意識が朦朧とするなかでもしっかりと愛くるしく、可愛く、儚く、最強な結城とスライムの戯れを眺めたいた。そして絶対に消さないように脳内に何度も何度も流し続けた。


そして……………二時間後。


「………ふぅ。……満足……」


結局スライムは倒されずに結城と戯れ転がり続けただけだった。

解放されたスライムは草原の向こうへと行こうとしたが一度だけ振り返り結城の顔をじっと見つめて去っていった。


満足した結城は立ち上がりミラを探そうとしたが、何故かそのミラは倒れておりとんでもない量の血が流れていた。


ショッキングな場面。

しかし結城はこの手のものには何故か強い。

抵抗なくミラに近づいてミラの体を揺さぶる。


「………ねぇ……起きて……」

「………お、終わった……の……??」


どうやら気絶していたミラはゆっくりと体を起こす。

その口と鼻からは血が流れていたようで、すぐに電子化して消えた。


「………うん……満足……」

「そ、そう……HPも、ギリギリ……だったわ……」


原因は吐血と鼻血。それによりHPはドンドン削られていき、可愛さのあまりに気絶しなければ大量出血で死んでいただろう。


持っていたポーションで回復したミラだがまだフラフラしている。


「………大丈夫……??」

「えぇ。……問題ないわ……」


心配をかけないようにと強がるミラ。

いくらポーションで回復してもいまだに顔は青い。


そんな中結城の目の前に音と共に画面が現れた。


レアスキル『優しさの塊』

・レベルの低いモンスターを倒さず攻撃し長時間続けた後に解放すると手に入るスキル。

HPが1000アップし、経験値が二倍となる。


「うわぁ……」


眼福だったあれによりまさかのレアスキル発現。

それもかなりいいスキルで経験値が二倍になるなんて……

と、驚いていたミラにも同じように音と共に画面が現れた。


レアスキル『見守る』

・パーティーが戦っている中長時間見守り続けると手に入るスキル。

防御力、魔法防御力が10%上昇。パーティーのスキル一つを付与出来る。


「う、うわぁ……」


さらに驚いた。

ただ、ただただ眼福だったあれを見ていただけでレアスキル。

それもパーティーが持つスキルを付与出来るって……

つまりさっきユウが手にした優しさの塊も自分が付けることが出来る。


あまりにも突然なレアスキル発現に驚き放心状態なミラに結城が


「………大丈夫……??」

「もちろんよ!!!」


結城がいれば何もかも問題ないらしい。

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