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スターウォーズ EP8のサブタイトルが「最後のジェダイ」だと知った時点で考えていたもの

作者: ulysse

遠い昔、はるか彼方の銀河系で…...


 スターキラー基地での戦いによってファースト・オーダーは大打撃を受け、軍事活動を停止していた.レジスタンスを率いるレイア・オーガナ将軍はこの隙に攻勢を掛けようと望むが、新共和国元老院の生き残りたちはレイアの影響力を恐れていた.レジスタンスの基地を新共和国軍の艦隊が包囲し、武装解除と投降を呼びかける.極秘であった基地の場所を新共和国に知られたことで、アクバー提督はスパイの存在を疑う.レジスタンスの中には強行突破しようという意見もあったが、レイアは同士討ちの愚を戒め、投降を受け入れる.こうして、レジスタンスの上層部は新共和国によって軟禁状態に置かれてしまった.拘束を免れたポーとフィンは、R2D2を通じてレイアの密命を受け、「銀河系で最も信頼できる協力者」の元に向かう.


 一方、遂にルーク・スカイウォーカーを探し当てたレイは偉大なるジェダイに教えを乞うが、ルークは何一つ応えようとせず、「ジェダイは滅びた方がいいんだ」と悲痛に呟くのであった.


 カイロ・レンは、父を殺めた記憶に苛まれ、精神に平衡を欠いていた.ハックス将軍と共に最高指導者スノークに呼びつけられた彼は、しばらくはレジスタンスと戦うなというスノークの指示に激昂し、憤然とその場を離れる.それを満足げに見届けたスノークは、ハックスに新共和国元老院を訪れるよう命じる.驚いたハックスが「降伏するのですか?」と問うと、スノークは不気味な笑みをたたえて「降伏させるのだ」と返し、ホロクロンを手渡すのであった.


 ルークは相変わらずジェダイの修行を行わず、レイに自然の美しさや、生き物を殺して食べることの罪深さ、それでも生きていかねばならないことの素晴らしさなど、哲学的な説教をするばかり.ルークとチューバッカと三人で過ごす原始的な生活に飽き飽きしたレイは、仕方なく一人で修行を始める.瞑想し、フォースの力を集中させるレイ.彼女はその最中、暗黒面に引き寄せられてしまう.シスの衣装をまとった自分自身と戦うレイだったが、渾身の一撃を放った直後、精神世界が現実に、そして相手の姿がカイロ・レンに変わる.異変を感じ取って駆けつけたルークを見て、手傷を負ったレンは「やっと見つけた!」と叫び、幻のように消えていく.


 新共和国は、コルサントを臨時首都に定めていた.旧共和国の首都としてよりも、未だにインペリアル・シティとしてのイメージが強いこの星ならば、ファースト・オーダーがいきなり消滅させることもあるまいと考えたのである.元老院では、レイアに対する弾劾が行われている.レジスタンスの存在がファースト・オーダーの急激な軍事行動を招いたというのだ.レイアの反論もむなしく、元老院はレジスタンスの解体を議決する.そこにハックス将軍が現れ、新共和国との停戦協定を提案.これ以後の軍備拡張を一切禁じることと引き換えに、ファースト・オーダーを銀河系社会の一員として認める旨が、万雷の拍手のもと宣言される.


 同じ頃、ポーとフィンは様々な冒険を経て、遂に目的地へと辿り着く.それは未知領域にある、星全体がカジノという奇妙な場所であった.カジノを湧かせる天才ギャンブラー・ローズ(キャストはテッサ・トンプソン)の手引きで、この星の支配者= 「銀河系で最も信頼できる協力者」の部屋に忍び込むポーとフィンだったが、瞬く間にのされてしまう.二人を助け起こし、「暗殺者かと思った」と快活に笑う協力者の正体は、ランド・カルリジアンであった.派手な衣装に身を包むランドを見て、フィンは「全然信用出来そうにない」と呟くが、ポーは「かつての大戦の英雄だ、ファルコンでデススターを破壊した伝説の人だよ!」と興奮.「それなら裏切らないかな」と安心するフィンに、ランドは「昔、一度裏切ってるからな.もう大丈夫」とウインクする.顔を見合わせるフィンとポー.二人から全ての事情を聞いたランドは、レイアやかつての戦友たちを元老院から救出することを快く引き受けてくれた.ランドの12人いる子供たちの末娘だったローズも同行するという.頼もしい味方を探し当てたポーとフィンだったが、納得出来ない点もあった.ポー「あなたほどの方が、なぜレジスタンスに参加しなかったんです?」ランドは複雑な表情を浮かべる.「レイアのことは陰ながら助けてきた.レジスタンスに身を投じようと思ったこともある.だが、命をかけて新共和国を救おうとは、どうしても思えなかった.新共和国は腐っている」フィン「わかっています、それでも….」ランド「わかっちゃいないさ.レイアも、お前たちも、救いようのないものを救おうとしているんだよ……」


 その頃、居場所を知られたレイはルークを連れて星を離れようとするが、ルークはレイに一人で逃げろと言って聞かない.一緒でなければ逃げないと言い張るレイに、ルークは遂に事の真相を話し始める.

 十年前、ジェダイ・オーダーを再建しようとパダワンたちを育てていたルークの前に、ファースト・オーダーの大軍が現れた.ルークは幼いベン・ソロと共に戦うが、多勢に無勢、いたいけなパダワンたちが次々と凶弾に倒れていく.辛くも僧院に逃げ込み、近くの新共和国軍基地に救援を求めるが、応答がない.絶望的な篭城戦の最中、ルークはベンひとりを外に逃がす.背後からファースト・オーダーの船を奪い、それに乗って脱出しようという作戦だった.ルークは敵の注意を引き付けるため、僧院の門前で絶望的な戦いを挑む.激戦の末、遂にルークが倒れようとしたその時、禍々しい力が兵士たちを吹き飛ばす.そして、累々たる屍を踏み越えてルークの前に現れたのは、ダークサイドに堕ちたベンの、涙に濡れた姿であった.驚愕するルークの足元に、ベンは何かを投げ捨てる.なんとそれは、新共和国軍将校の生首だった.新共和国元老院は、かつて自分たちを掣肘する存在であったジェダイ・オーダーの復活を恐れ、ファースト・オーダーを装ってルークたちを抹殺しようとしたのである.ルークの懸命な呼びかけも空しく、ベンは怒りに身を震わせながら去っていった.

 ルークはその後、生き残ったパダワンたちを各地に逃がし、新共和国に決して行方を知られぬよう計らった.その中には、極めて高いミディクロリアン値を誇るが故に、まだ赤ん坊でありながらルークに託された、レイの姿もあった.「わかったか、レイ.シスの暗黒卿を求める馬鹿者どもはたくさんいる.だが、ジェダイの騎士を求める者は、この銀河系のどこにもいないのだ.確かにベンは道を踏み外し、悪に堕ちた.しかし、彼は善を滅ぼそうとしているのではない.悪が、悪と戦っているのだよ……」

 呆然としたレイが空を仰ぐと、そこにスノークの乗艦、メガ級スター・ドレッドノート「スプレマシー」が姿を表すのであった.


 とある星に、ファースト・オーダーの軍団が集結していた.キャプテン・ファズマを従えたハックス将軍は演台から大軍勢を見下ろしている.この日、この星において、ファースト・オーダーは正式に銀河共和国連邦に加盟するのである.その様子は銀河系中に配信されており、コルサントの最高議長執務室で元老院議員たちから聴取を受けているレイアも、それを見ていた.最高議長が、「スターキラーは脅威であり、その被害は取り返しもつかないほどだったが、あの超破壊兵器さえ取り除ければ、ファースト・オーダーなど大したことはない.大軍に見えるが、新共和国の規模から見れば小さなものだ.所詮は残党に過ぎない.スターキラーの破壊には感謝しているが、こうしてファースト・オーダーを監視下におけるなら、戦争を繰り返す意味はないのだ」と語る.しかしレイアは議長には一瞥もくれず、険しい表情で映像を見つめている.ハックス将軍は、軍団に向かって軍備の不拡張等々の新共和国との協定を語っていたが、ふと話しやめ、ホロクロンを掲げる.玉座に腰掛けるスノークの映像が空中に大きく映し出され、彼は静かに語り始める.「かつて銀河をあまねく支配する大帝国が存在し得たのは何故か.それは、人々が帝国による支配を望んだからだ.皇帝は死んだ.だが、帝国を望んだ人々までが一人残らず死に絶えたのか? 全ての総督が、将軍が、将校が、兵士たちが、そして幾千億の国民たちまでもが死に絶えたのか? そうではない.帝国は生きている.今、この地、この時をもって、帝国は蘇るのだ!」スノークの叫びと同時に、上空には次々と帝国の船が集まってくる.古ぼけたスターデストロイヤーから最新型まで、その数は幾千か幾万か.更に続々と集まりくる脅威の大艦隊を目の当たりにし、ハックスは感動の涙を流す.ファズマが「これならば、軍備不拡張の協定を守っても何ら問題ありませんね」と語りかけると、ハックスは「その通りだ.だがこれならば、協定など守る必要もない」と答える.その頃、コルサントの最高議長室は騒然となっていた.議長が、「どこにこれほどの戦力を隠していたんだ!」と叫ぶ.レイアは静かに応じる.「至るところにです.お忘れになったのですか.今から三十年前、蟻が巨人を倒したのだということを……」


 その時、執務室にランド、ポー、フィンが躍り込んでくる.「他のレジスタンスメンバーは既に救出しました.残るはあなただけです.逃げましょう!」とフィン.「反乱を起こす気か!」と喚く議長をランドが殴り倒す.「俺はあんたに議員をクビにされたんだから、反乱じゃないんだよ」「やめなさい.クビになったのは、あなたが禁止されていた博打をやっていたからでしょう」とレイア.二人は固く抱き合い、ランドは「ハンのことは残念だった」と弔意を述べる.スノークの演説によってパニックに陥っている議員や官僚たちを横目に、彼らは元老院ビルを走り抜ける.窓の外では、スピーダーの事故、ビルの爆破など、コルサントが完全な混乱状態になっていた.「街ではファースト・オーダーの支持者が暴動を起こしている.警備システムも麻痺しているから、侵入は楽だったよ.新共和国はもう終わりだ」とランド.レイアは、レジスタンス艦隊が接収されている新共和国軍基地へ向かうと言う.


 一方、「スプレマシー」の玉座の間では、演説を終えたスノークの前にルークが引き立てられていた.スノークは「新共和国は終わりだ.だが、悲しくはあるまい?」と嘲笑う.「お前は何者なんだ? まるでパルパティーンの亡霊だ」とルーク.「無礼なことを言うな.不肖の弟子と一緒にされたくはない.しかし亡霊というのは当たっている.私はダース・プレイガス.かつて弟子たるダース・シディアスに寝首をかかれ、肉体を失った」「弟子が生きている間は隠れていて、今頃になってのこのこと現れたのか.臆病者め」「隠れていたわけではない.私はフォース・エネルギーの塊だ.弟子たちに肉体を切り刻まれ、この状態でしか生きながらえることが出来なかった.シスの秘法をもってしてもな.今や私は、フォースのバランスによって辛うじて成り立っているに過ぎない.強力なダークサイドの力、すなわち皇帝が健在である間は、こうして形を取ることすら出来なかったのだ」「フォースのバランスだと?」「その通りだ.ライトサイドとダークサイドは常に拮抗している.片方に片寄ることは決してない.ジェダイがいれば、必ずシスもいる.わかるか?」「お前は、私の……」「その通りだよ、ルーク・スカイウォーカー.ダース・シディアスとダース・ベイダーが死に、ジェダイが一人生き残った.不自然だとは思わないか、光だけが存在するというのは.宇宙の摂理は、私の復活を求めた.フォースにバランスをもたらすために!」「……」「故郷でマッシュルームでも作っておればよかったものを、貴様は愚かにも、ジェダイ・オーダーを再建しようとした.おかげで私の力は増していった.帝国軍の残党を糾合出来たのは、貴様のおかげだ」「だが、私の騎士団は滅びた」「いかにも.元老院の馬鹿どもは、あれで中々鋭いところがある.よもや、ジェダイを皆殺しにしようとはな.私も困り果てたよ.しばらくは、新たな弟子に囁きかけることしか出来なかった.だが、最近になって、フォースのライトサイドが増大した」「レイか」「あの娘は強い.未熟な私の弟子よりも遥かに強い.あの娘のおかげで、私は今や失った肉体すら取り戻しつつある.なあスカイウォーカー、二人のシスと、二人のジェダイ.バランスが取れているとは思わんか? 偉大なるフォースの真理だよ……」「フォースは深遠だ.何が真理かなど私にはわからん.だが、ひとつだけはっきりしている」ルークは手を伸ばす.巨大な戦艦が激しく軋む.ルークのライトセーバーが、分厚い防護壁をズタズタに斬り刻み、「スプレマシー」の動力部を破壊し、ブリッジまでを壊滅させながら飛んできて、遂にルークの手に収まる.「お前は私が葬らねばならん」


 独房に囚われていたレイだったが、大きな振動の後に警報が鳴り響き、扉が開く.恐慌状態に陥った船内を、フォースで語りかけるルークの声に従って進み、チューバッカ、BB8と合流.奪われた武器も取り戻す.ストームトルーパーと戦いながらファルコン号を目指す三人.しかし脱出を目前に、レイが突然立ち止まる.カイロ・レンとのシンクロが始まったのだ.レイは二人を先に行かせ、広大なデッキでレンを待ち受ける.レンは騎士団を引き連れ、レイの前に現れる.


 コルサントでは、脱出したレジスタンス首脳部が、あまりにも強大になったファースト・オーダーへの対抗策を話し合っていた.レイアは、新共和国軍の艦隊を横取りして未知領域に脱出し、最後の抵抗勢力として温存するという作戦を提案する.C3POは「それは共和国憲法に違反する重大な反逆行為です.クーデターですよ」と言い、それに賛成する者も少なくなかったが、ランドやフィン、アクバー提督らがレイアを支持し、クーデター案が採用される.レジスタンスのメンバーが作戦実行のために出払った後、部屋でひとり息をつくレイアの側に、ポーだけが残る.「何としても共和国軍を乗っ取るつもりですか」「他に希望はないのよ」「それなら、こうするしかない」とポーはブラスターの銃口をレイアに向ける.「スパイは俺です.ずっと前から」「知っていましたよ、ずっと前から.でも、あなたはランドの救出作戦を元老院に報告しなかった.私の信じた通りに」「あなたを尊敬しているんです! 共に戦った仲間たちも大切に思っている! だから、このまま逃げてください.これ以上余計なことをせずに」「それは出来ません」「あなたは、法と秩序を踏みにじってでも戦おうというんですか? それがあなたの正義なんですか? そんなやり方はファースト・オーダーと同じだ!」「かつて旧共和国が滅びた時、偉大なジェダイ・マスターたちすら過ちを犯しました.まして私ごときには、何が正しいかなどわかりません.ただ、今やれる唯一のことをやるだけです.さあ、ポー、私を撃ちなさい.それがあなたに今やれる唯一のことならば」ポーは銃口を下ろし、うなだれる.レイアは部屋を出て行く.


 「スプレマシー」の玉座の間では、ルークとスノークの激しい戦いが繰り広げられていた.スノークの身辺を護衛する親衛隊エリート・プレトリアン・ガードは目まぐるしい攻撃をルークに向ける.スノーク自身は、煙のように消えては現れ、現れては消えながらライトセーバーの斬撃を加えてくる.しかし、ルークはフォースの力を駆使して怒涛の猛攻を防ぎ、いなし、一人ずつ親衛隊を葬っていく.遂にはスノークを残すのみとなり、凄まじい剣戟の末、ルークがスノークのセーバーを弾き飛ばす.そのセーバーを左手に引き寄せたルークは、二刀流でスノークに歩みよっていく.憎悪に表情を歪めたスノークは、「無限のパワーをくらえ!」と叫んでフォース・ライトニングを放つ.二本のセイバーでそれを受け止め、鍔迫り合いのようにじりじりとスノークに迫るルーク.


 一方、レイはカイロ・レンとレン騎士団を相手に必死に立ち回っていたものの、劣勢は隠しようもなかった.チューバッカはファルコン号の銃座で群がりくるトルーパーを追い払っていたが、多勢に無勢、乗り込まれるのも時間の問題である.レイは戦いながらレンに語りかける.「あなたはまだ完全にダークサイドに堕ちたわけじゃない.戻ってきて!」「父をこの手で殺した俺が、ダークサイドに堕ちていないわけがないだろう!」「お父様はあなたを愛していた.あなたが善の心を取り戻せば、きっと許してくれる!」「善とは何だ! 幼いパダワンたちを殺すよう命じた元老院のことか? 事件を隠蔽するために、何も知らないお前の両親を暗殺した共和国軍のことか? 善の心を取り戻せば、スターキラーに吹き飛ばされた790億人の魂も俺を許してくれるのか!?」二人は剣戟を交わしながら、時にシンクロして互いに入れ替わりながら、そして過去の辛く悲しい記憶をフラッシュバックさせながら、語り合い続ける.一瞬、遠い思い出が二人の脳裏に蘇る.それは、新生ジェダイ・オーダーが襲撃されたあの日のこと.集中砲火で崩れかかる僧院の中、幼いベン・ソロがまだ赤ん坊だったレイの小さな指を握る.「僕が必ず君を守るからね.待ってて……」僧院の隠し通路から出て行こうとするベンを、苦渋に満ちた表情で見送るルーク.「ベン、フォースと共にあらんことを」その時、レイは小さな小さな手をベンに向けて伸ばしていた.行かないで、と.次の瞬間、放心したレイの喉元にレン騎士団の刃が迫る.カイロ・レンは無意識にその腕を斬り落とし、レイを救っていた.


 弟子の心に芽生えたライトサイドの煌めきを、スノークは瞬時に察知し、驚愕する.「カイロ・レンを殺せ! ジェダイの娘もろとも、今すぐ殺すのだ!!」スノークの雄叫びはフォースの力で艦内のあらゆる将兵の脳内に響きわたる.爆発寸前の艦から脱出しようとしていたファースト・オーダーの将校たち、ファルコン号に攻め寄せていたトルーパーたち、事態を飲み込めず硬直していたレン騎士団の面々、彼ら全てが、フォースに操られたように、一斉にレンとレイの方に向き直る.その刹那、僅かな隙を見逃さなかったルークがライトニングを左のライトセーバーで弾き飛ばし、右のセーバーでスノークの胸を貫いた.傷口からフォース・ライトニングが噴き出し、ルークの体を焼く.スノークは絶叫と共に雲散霧消し、ルークはその場に崩れ落ちた.


 コルサントの新共和国軍基地.帝国軍の復活に混乱し、手薄となっていた司令部に突入したランドとフィンは、新共和国軍の将軍たちを縛り上げ、コルサント艦隊を離陸させるべく奮闘していた.フィン「R2、発着コードはまだ改変できないのか?」ランド「コードを変えられても、人員が足りない.これだけの艦隊を、レジスタンスだけでは動かせない」そこに、元老院からのホログラム通信が届く.「ファースト・オーダーの大艦隊がコルサントに向けてワープを始めた.軽率な行動はくれぐれも慎め.これより元老院は再度の和平交渉を進める…」ホログラム通信機を叩き壊すローズ.同時に、R2がショートして司令部のコンピュータを離れる.「私のせいじゃないよ!」とローズ.C3POが言う、「軍の司令コードは大変ハイレベルです.R2でも手に負えませんでした.これでは艦隊を飛ばせません.やはり元老院の言う通り、軽率な行動は慎むべきでは……」「黙ってろ! おい、このままじゃ何もしないままファースト・オーダーに制圧されるぞ.司令コードを教えてくれ!」焦るフィンは捕らえた将軍たちに詰め寄るが、その一人が吐き捨てるように言う.「艦隊の離発着は、緊急コードでも大佐以上でなければ操作出来ない.この基地には、貴様らの言いなりになる高級将校は一人もいないぞ」苛立ちを隠せないフィン.そこに、ポーが入ってくる.「R2、緊急コードに設定してくれ.その先は俺がやる」驚くフィンたちをよそに司令パネルを操作するポー.コルサント艦隊の全艦に火が入り、離陸モードとなる.マイクを手に取ったポーが、新共和国軍の兵士たちに語りかける.「俺は新共和国防衛軍特務諜報部、ポー・ダメロン大佐だ.この数年にわたってレジスタンスに潜入し、その動向を軍上層部に報告し続けてきた.つまり、スパイだ.だが、レジスタンスと共にファースト・オーダーと戦い、死線を潜り抜けた結果、自分のやるべきことがわかった.戦うこと.戦い続けることだと.だから俺はスパイをやめる.レジスタンスの一員になる! 今、ファースト・オーダーの大艦隊がコルサントに向かっている.元老院と軍は降伏するつもりだ.降伏するヤツらに船は要らない.でも俺には、俺たちには船が要る.だから全部もらっていく.もし、一緒に戦おうっていうバカなヤツがいるなら……来てくれ.船に乗り込んでくれ.以上だ」 ポーの言葉を聞いた共和国軍将兵たちは、互いに顔を見合わせると、力強く頷き、次々と船に乗り込んでいく.ローズはポーの肩を叩き、「もう少しうまい誘い文句はなかったの?」「演説なんて柄じゃないんだよ」フィンは喜びながらも戸惑いを隠せず、「説明してくれよ、スパイってどういうことだ?」ポー「今話した通りだよ」「一度裏切ったから、もう大丈夫ってことさ」とランドが豪快に笑う.続々と離陸準備を始めるコルサント艦隊.ポーたちも、レイアが待つレジスタンス旗艦「ラダス」へと走っていく.


 「スプレマシー」のデッキでは、雲霞の如く押し寄せる兵士たちを、レイとレンが息の合った連携で倒していく.レン騎士団を薙ぎ倒し、離陸したファルコン号に飛び乗るレイ.レイはレンに手を伸ばし、呼びかける.「一緒に行きましょう! あなたはシスじゃない!」「だが、ジェダイでもない.俺は結局、どちらにもなれなかった」「私も同じ、ジェダイでもシスでもない」「さらばだ妹よ、フォースと共にあらんことを……」レンは振り返り、トルーパーの大軍と、デッキを包む爆炎の中に去っていく.「兄さん!」 泣き叫ぶレイを収容し、ファルコンが飛び立っていく.


 「ラダス」のブリッジには、レジスタンス及びコルサント艦隊の総司令官となったレイアが座っている.その傍らに立つC3POが「これで私たちは、反乱者になってしまいました」とぼやく.「思い出してちょうだい.三十年前にも、私たちは反乱者だったわ」とレイア.背後には、ファースト・オーダーの大軍が続々とハイパースペースを越えて集結しつつあった.副官となったローズが「このまま現宙域に留まっていては攻撃を受けます.コルサント艦隊はまだ揃い切っていませんが、早く逃げないと……」と告げる.レイアは毅然とした表情で言い放つ.「一隻たりとも見捨てるわけにはいきません.迎撃部隊に任せましょう」


 殿を務める迎撃部隊はレジスタンスの中核メンバー、特に前大戦からの古参兵で構成されていた.指揮官はアクバー提督である.「若い連中がたくさん仲間になった.私たち老兵が守ってやらねばならん」と提督.「若者も乗っているんですがね」 と傍らのフィンが呟く.デッキから出撃するパイロットたちの中には、ランドとポーの姿もあった.ランド「引け目を感じて参加したのなら、死に急ぐなよ」ポー「レジスタンスのエースが飛ばないわけにはいかんでしょう、ただそれだけですよ」「フォースと共にあらんことを」 Xウイングに乗り込んだポーは、新たな相棒R2D2に語りかける.「レイはどうしてるだろうな.だがまあ、こんなヤバい戦場に、彼女がいなくてよかった」


 ファースト・オーダーの大艦隊を指揮するのは、ハックス将軍である.周りにはファズマらファースト・オーダーの士官の他、これまで姿の見えなかった旧帝国の老将軍たちが居並ぶ.「一隻たりとも逃さん.今日がレジスタンスの、新共和国の終わりとなるのだ!」と興奮するハックス.しかし、老将たちはそれを冷ややかに眺めている.


 遂に艦隊戦が始まった.アクバー提督「数こそ多いが、烏合の衆だ.アタッカーは足の遅い旧型を狙え.引っ掻き回して時間を稼ぐぞ!」 ランド、ポーら攻撃部隊が出撃し、数合わせのためにハックスが駆り出した旧式のデストロイヤーを狙い撃ちにする.「陣形を乱すな! 火力を集中しろ!!」とハックスは叫ぶが、アクバー提督は完全にファースト・オーダー艦隊を翻弄する.激戦の最中、フィンが提督に「コルサント艦隊の離陸が終了しました.あと少しで全艦脱出出来ます!」と伝える.一方、ファースト・オーダーの旗艦では、ハックスが相変わらず喚き続けていた.そこに一人の老将が歩み寄る.「ハックス司令官、指揮を替わりましょう」「プライド元帥、これからが本番だ.私は…」「衛兵、司令官はお疲れだ.しばし私が指揮を執る」トルーパーを従えたファズマがこれに応じ、呆然とするハックスは両脇に抱えられて退出する.プライド元帥が作戦盤に両手を下ろし、周囲の老将たちに不気味に頬笑みかける.「さあ諸君、帝国の戦いを始めよう」


 急激に攻勢を強めるファースト・オーダー艦隊.レジスタンスにも続々と被害が出始める.アクバー「この陣形は、プライド元帥か.よくも生き延びていたものだ、帝国の亡霊め! だが、もう遅いぞ.迎撃隊全艦、離脱準備に移れ!」 そこに、フィンが苦渋の表情を浮かべて報告を上げる.「提督……かなりの数の大型輸送船が、今まさに離陸を始めています.レジスタンスに参加したいというコルサントの市民たちです.我々が後退すれば、狙い撃ちにされます……」「なんだと?」 コルサントでは、数々の発着場において、輸送船に殺到する市民たちの姿があった.彼らは口々に、帝国支配への反発と、レイアへの賛同を唱えている.アクバーは深く瞑目した後、言った.「自由はまだ死んでいなかった.だが、そのために我々は死なねばならん.迎撃隊全艦、輸送船団の盾となるぞ!」


 ファルコン号の船内では、レイがチューバッカに取り縋っている.「チューイ、戻って! 中にはまだ、ルークとベンがいるの!!」 チューバッカにも無論ルークを見捨てることは出来ないが、スター・デストロイヤーは船体の各部から火を噴き始めている.その周りを空しく巡るファルコン号.


 玉座の間に倒れ込んでいるルークのところに、爆炎を掻い潜ってベンが現れる.ルークを助け起こすベン.ルークはかつての愛弟子に優しく微笑みかける.「やっと戻ってきたか」「遅すぎました」とベン.「そんなことはない.力を貸してくれ.レイを皆のもとに送り出してやらねば」 ルークはボロボロの体で坐禅を組む.それを支えるベン.両脇には、ヨーダのオビ=ワンの霊体が立っている.凄まじいフォース・エネルギーの集中.


 順次ハイパージャンプしていくコルサント艦隊.だが、まだその準備が整っていない艦も多数残っている.特に、膨大な数のコルサント市民を詰め込んだ輸送船団は、更なる時間を必要としていた.そこに、迎撃隊の防衛網を潜り抜けたTIEファイターが群がるように襲いかかる.まだ踏み止まっている「ラダス」のブリッジで、レイアは戦況を見守る.「ラダス」にもTIEファイターが迫るが、あわやというところでナインナンのXウイングがそれを撃墜.帝国の爪は、徐々に、しかし着実に、最後の希望を摘み取りつつあった.


 殿軍の戦況は遥かに悪く、迎撃隊の艦が一隻、また一隻と沈められていく.アクバー提督の乗艦「ホームワン」も集中攻撃を受け、ブリッジには警報が鳴り響いていた.アクバーはフィンに退艦を命じる.「俺ひとり逃げるなんて出来ません!」と反発するフィン.アクバーは「今この艦に残っているクルーで、先の大戦を経験していないのはお前だけだ.レジスタンスの未来をお前に託したい」と諭す.何度も振り返りながらブリッジを出るフィン.それを見届けたアクバーは、感傷を振り切るかのようにファースト・オーダー艦隊を正面から見据え、指揮を取り続ける.そこにTIEファイターの一機が突っ込んできて、ブリッジが炎に包まれる.


 ファースト・オーダー旗艦のブリッジでは、敵司令艦沈黙の報告に歓声が上がる.プライド元帥がただちに指示を出す.「好機だ.新鋭艦の全てを全速で押し出せ.喉元に食らいつくぞ!」 瀕死の迎撃隊に押し寄せるスター・デストロイヤーの大軍.


 ランド、ポーたち迎撃隊パイロットは、「ホームワン」の轟沈を悲痛な面持ちで確認した.「もう、艦隊を守りきれん」とランド.「一隻でも多く救いましょう」 ポーを中心に編隊を組み直し、悲壮の決意で敵艦隊の懐深く飛び込んでいくXウイング部隊.スター・デストロイヤーに特攻をかける者もいるが、ファースト・オーダーの勢いは止まらない.Xウイングは次々と撃墜されていく.


 その時、ファースト・オーダー艦隊の進行方向にフォース・エネルギーが炸裂.唐突にスノークの乗艦「スプレマシー」が現れる.プライドは狼狽し、叫ぶ.「全艦、回避しろ!」「無理です、間に合いません……」


 「こんなことが出来るのか……」 玉座の間でルークを支えるベンもまた、驚きを隠せなかった.「昔は、戦闘機ひとつ動かすにも苦労したものだが」と微笑むルーク.ベンもまた、全ての苦悩から解放されたように微笑む.「あなたは最高のジェダイだ」「いや、最後のジェダイだよ、パダワン……」 玉座の間が炎に包まれる.


 スプレマシーを回避しようとするファースト・オーダー艦隊だったが、避け切れず、次々と衝突する.スプレマシーは爆発し、無理な回避行動のせいで塊になってしまった艦が続々と巻き込まれ、誘爆していく.歓声を上げるレジスタンスの面々.だが、スター・デストロイヤーに取り付くようにして戦っていたポーたちは、一帯で巻き起こる途方もない大誘爆から抜け出せなくなっていた.ポー「これでみんなは逃げられます.俺たちの死は無駄じゃなかった」ランド「ポー、諦めるな! 俺たちも脱出するぞ!」 しかし、ポーは操縦桿から手を離し、R2に語りかける.「罪滅ぼしは出来ただろうか」R2は悲しげに応じる.「ありがとうR2、付き合わせてすまなかった……」 そこに、復讐に燃えるTIEファイターの編隊が襲いかかる.ポーのXウイングは、攻撃を避けようともせず被弾する.その時、爆炎の中からファルコン号が飛び出し、TIEファイターを次々と撃墜する.「レイ! 何故ここに!」 R2が必死にポーに話しかける.「R2、レイについていけというのか? ランド! 攻撃隊全機、ファルコンに続きましょう!」


 巻き起こる爆炎と崩壊していくスター・デストロイヤーの間を、ファルコンはまるで全てを予知しているかのように潜り抜ける.コクピットでは、レイが必死の形相でファルコンを操っていた.レイの心にルークの声が響く.「レイ、フォースを信じろ.ライトサイドでもダークサイドでもない、宇宙にあまねく存在する、生命の力を信じるんだ……」 眼前に、爆発しながら沈みゆく一隻のスター・デストロイヤーが立ち塞がる.レイは号泣しながら、その中に突っ込んでいく.ファルコンに続こうとするポーに、レジスタンスのパイロットの一人から通信が入る.「無茶苦茶だ! 全滅しますよ!」 「大丈夫だ、レイを信じろ!」 ランドがポーに敬礼し、真っ先に炎に飛び込む.「フォースと共にあらんことを!」 ポーもまたその後に続く. 全機が炎の中に飛び込む.スター・デストロイヤーが大爆発を起こす.しばしの沈黙……しかし、紅蓮の炎を抜けて、ファルコンが飛び出してくる.Xウイング部隊の全機が、その後から姿を表す.彼らの前方には、続々とハイパースペースに入る輸送船団が見える.そして、最後まで踏み止まっていたレイアの「ラダス」も.


 勝利に湧く「ラダス」のブリッジで、厳しい表情を崩さないレイア.「まだ気を抜かないで! 速やかに迎撃隊を収容しなさい.本艦もハイパースペースに入ります!」 慌ただしく走り去っていくクルーたち.それを見届けると、レイアは瞑目し、ひとり呟いた.「おかえりなさい、レイ.おかえりなさい、ルーク.そして……おかえりなさい、ベン」 デッキでは、ランドとローズが抱き合う.ポーはレイにフィンの死を告げる.「ラダス」がハイパースペースに突入する……


 一ヶ月後、未知領域のとある星にレジスタンスの基地が作られつつあった.その一室で、ファースト・オーダーの勢力圏を示すホログラムを、レイアがじっと見つめている.「各地でファースト・オーダーに対する反乱が相次いでいます」とC3PO.ランドが「スノークの死を隠せなくなってきたようだな」 と応じる.「まずはキャッシークの反乱を助けなければ.レイとチューイを呼んでちょうだい」と指示を出すレイア.


 森の中で坐禅を組んでいるレイ.ポーが「レイ、チューイ、レイアが呼んでる」と声をかける.チューイがそれに応え、レイも振り向く.「今行く」と微笑むレイの後ろで、彼女のフォースによって高く持ち上げられていたファルコン号がゆっくりと地面に下ろされる.


 転じて、あるスター・デストロイヤーの艦内.ストーム・トルーパーの一隊が行進していたが、その指揮官がふと足を止め、「先に集合場所に行っていろ.俺は用がある」と命じる.指揮官は艦内の一室に入るとヘルメットを取る.なんと、その素顔はフィンであった.「参ったな……逃げ出すチャンスがない」


 更に艦内の奥深く.プライド元帥はじめ、ファースト・オーダーの将官たちが円卓を囲んでいる.医療用ドロイドが報告を上げる.「体組織の70%を失っていますが、生命反応は持続しています.奇跡です」 「素晴らしい.急ぎ全身を機械化し、蘇生させろ」とプライド.「しかし、それでは人間とは言えなくなってしまいますが」とドロイド.「構わん.帝国には、皇帝が必要なのだ」と言いながら、プライド元帥が背後の医療カプセルを見上げる.四肢を失い、頭すら半分吹き飛ばされたベンが、薬液の中に浮かんでいた……

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