露店の薬屋ゲイルさん
「適当に歩いてみようかな」
周りを見てみると、同じように周りを見渡している人が多くいた。たぶん彼らもプレイヤーなのだろう。初期リスポーン地点はこの広場だけでなく、街のうちに複数あるのだが、この広場の人数がそこまで多くないうちに広場を探索することにした
小さくした身長のせいでいつもより低い視点に少し戸惑いながら歩いていくと、広場の隅の方で露店が開かれているのを見つけた。その中で、色とりどりな液体が置かれている店によってみることにした
「あの〜、すみません」
「いらっしゃい!どれが欲しいんだい、嬢ちゃん?」
「あ、えっと、何を売ってるのか気になって来たんですけど…」
「ん?ああ、嬢ちゃん異界の人なのか。じゃあ説明するな?この青い液体が入ってるやつはポーションっつって、怪我した時に飲んだり傷口にかけたりするとその怪我が治るっていう薬なんだ。まぁ、あんまり大きな怪我は治らねえんだが」
ひとの良さそうな店主はそう言うと、だいたい10cmぐらいの液体が入った試験管を見せてくれた。
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ポーション
ランクD 品質60[普通]
飲むとHPを30回復する。使用後15秒はポーション類を使っても効果はない。傷口にかけても使える
一般的なポーション。
飲むとちょっと苦い、かけると染みる
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このランクというものはアイテムの種類別に設定されていて、
F<E<D<C<B<A<S<SS<EX
というふうになっている
品質は、そのまんまアイテムの品質を表していて、最低値が0、最高値が100となっている。品質の高さでアイテムの効果も変化するらしい。そして、
数値の右にある枠はそのアイテムの特徴を表していて、たまに変な特徴を持ったアイテムがあるらしい
あとNPCの人達はプレイヤーのことを[異界の人]とか[異界人]って呼んでるらしい。まぁ私はプレイヤーって言われるより異世界っぽくて面白いと思う
「この紫色したやつは解毒薬だ街の外にある[陽だまりの森]には毒持った虫のモンスターがいるから、もし森に入るんだったら持っておいてそんはないぜ?ちなみに傷口にかけても効果はないから気をつけろよ」
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解毒薬
ランクD 品質50[普通]
飲むと毒の症状を回復する。
一般的な解毒薬。渋みが強い
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「他に今売ってんのは、薬の素材とかぐらいだな、なんか欲しいもんはあったか?」
「えーと、少し待ってください」
まず私いくらお金持ってるんだろう…たしか所持金を見るにはメニューを開くんだっけ
「メニュー」
小声でメニューと唱えると、自分のステータスや所持品、ヘルプなどが書かれたウィンドウが表示された。今は何も持っていないが、所持品は自動でアイテムボックスの中に送られるらしい。所持金の欄もステータスの下にあった
所持金 5000G
「ポーションはいくらですか?」
「おっとすまん、言ってなかったな。ポーション1つ300G、解毒薬は400Gだ。」
「うーん…ポーション3つ下さい」
「はいよ、なら900Gだな」
ウィンドウを操作して900Gを出し、それを店主に渡した
「まいどあり、また来いよ!」
お金を渡すのと同時に、手元にあった3つのポーションは青い光に包まれて消えていった。所持品を確認すると、しっかり3つポーションが入っていた
「次はどこに行こうかな」
広場をウロウロしているうちにだんだん騒がしくなってきた広場の中心に目を向けてみると、先程の数倍のプレイヤーがいるようだ。
「まずこの街の全体図が知りたいな」
メニュー画面のマップには
[始まりの街 ソル 西広場]
と、現在の場所は表示されているのだが、周りは黒一色で染まっているので街の大きささえ分からない
「聞いてみるか」
1人で悩んでいてもしょうがないと思ったので、さっきの露店まで戻って、忙しそうでなければ店主に聞いてみることにした
運良くちょうど客が途切れたところらしく誰も並んでいなかったので、話しかけてみる
「あのー」
「いらっしゃ…ん?さっきの嬢ちゃんじゃねぇか。どうしたんだ?」
「この街のことを教えて欲しいのですが、今大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。ちょうどポーションが売り切れて補充しに帰るとこだったからな」
「ありがとうございます!」
「別にいいさ、それで、街のどんなことを知りたいんだ?」
「街のどこに何があるのか、ですかね?」
「そうだな…まずこの街は4つの区域に別れてるんだ、北区は住宅が集まって出来ている、東区は色んな職業のギルドが集まっている場所だ」
「ギルド?」
「ギルドってのはそのギルドの扱う職業の人達が所属する組合のことだ。詳しいことはギルドに行って聞いてみな。」
「分かりました」
「話を戻すな?俺たちが今いるここ、西区は俺みたいにポーションを作る薬屋だったり、飯作る店があったり、武器や防具を作る鍛冶屋が集まる場所で、商業区とも言われてる。南区は農業が盛んだから農業区って言われてる」
「なるほど、ありがとうございました、店主さん!」
「いいってことよ。あと、俺のことはゲイルでいいぜ、また何かあれば話してくれ、普段はここで店出してるからな」
「分かりました、ゲイルさん!…あ、私はリズって言います。また何かあったらよろしくお願いします!」
「おう、じゃあな!」