未鑑定品には要注意②
プレイヤーによっては憤怒について呪いという名のバフと呼ぶ人もいる。
しかし、その強烈な効果に通常は自分から使おうとする人はいない。
そもそもこの呪印自体が付与されていることが滅多にない。
『呪印/憤怒』
『狂化』物理/魔法攻撃のダメージを2倍にする。詠唱不可。
『狂戦士』3回までダメージ無効付与。HPを1残して消失。
『憤怒』周囲の敵味方問わず自動攻撃。操作不能。
圧倒的な強さを秘めた呪いなのだがスリップダメージ等に弱かったり、味方に向かって攻撃したりとデメリットも強い。
一部ソロのプレイヤーキラーがやられ際に使って来ることもあるが、操作不能になり倒した相手からアイテムを強奪できなくなるため完全な嫌がらせにしかならない。
そして何よりも厄介なのは通常の呪いと違い解呪が難しい事だ。
それにしても、金狐の情報は確認していたが、まさか銀狐があるとは思わなかった。
掲示板で明かされていた金狐の能力は確かこうだ。
『霊刀/日輪ノ金狐』
『霊刀』物理攻撃力を魔法攻撃力へ上乗せする。
『金狐』HPの割合が多いほど様々なデバフを攻撃に付与する。
『日輪の加護』太陽が出ている時、体力と魔力の自然回復力を強化。
俺が雪山へ来た理由の武器である。
万が一憤怒が付いてしまっても、自然回復は納刀時しか恩恵が無いので日輪の加護は発動せず、HPが尽きてそのまま街へ戻される。
デスペナルティに関してもレベルが上がりたてである俺にとっては、所持金の1割を失い30分ほど街から動けなくなる程度である、資産は自宅へ置いてきたので問題は特にない。
呪いが無ければ普通に帰り、呪いで動けなくなれば死に戻り、特に問題はない計算だ。
しかし、この銀弧の能力は憤怒に対して余りにも相性が良すぎた。
『妖刀/月輪ノ銀弧』
『妖刀』魔法攻撃力を物理攻撃力へ上乗せする。
『銀狐』HPの割合が少ないほど様々なバフを自身に付与する。
『月輪の加護』月が出ている時、攻撃力と会心率を強化。
『狂戦士』の効果が『銀弧』の能力を最大まで活かし、『妖刀』で上がった攻撃力のダメージを『狂化』によって倍化させる。
結果現在ステータスが『銀弧』の能力で大変なことになっている。
プレイヤーネーム:ミズハ
職業:トレジャーハンター レベル83
HP1/4230 MP830/830
状態:呪印憤怒/妖刀/銀狐/月輪/物攻 Lv25/物防 Lv10/魔防 Lv10/オールステータス Lv10/会心確定/状態異常無効/ダメージ無効 5回/死亡時復活 1回
この状態が30分に1度更新される。
考えている間にも狼や熊などを千切っては投げていたし、たまに出てくる中ボスっぽいホワイトタイガーも軽くひねっていた、まずこの周辺で負けることはないだろう。
しかし、そんな俺もあと数分後には倒れるだろう。
空腹度 1/100
どんなに強くなってもやはり空腹には勝てない。
限界を迎えた瞬間視界が黒く染まり、長い狩りが終わった。