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一夜で世界が終わるとしたら  作者: 烏猫秋
第3章〜緊急事態!!〜
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第89話 不運Ⅰ


 ルイ、楓、シズの3人はシズの『ブレイン・サーチ』を頼りに、物陰に身を隠し歩夢と優里の行動を観察していた。


「歩夢君たちはアクセサリーショップを出て次の店に移動中です」

「了解。じゃあ兄さんの後を――」

「ちょっと待ってください!」


 シズは能力に映ったモノに震撼(しんかん)した。

 それは、大きく、不気味で、見る者を恐れさせる圧倒的なモノだった。

 身体が熱くなり、脂汗が顔に張り付く。

 

「一体どうしたっていうの? もしかして、兄さんが反応から消えたとか?」


 シズの張りつめた言いようとは違い、ルイは緊張感の欠片もない言いようで言葉を返した。

 

「違います・・・・・・このショッピングモールにステージⅢ以上のタイムイーターが迫ってきています」


 その顔は、恐怖におののいていた。


「え!? 嘘、だよね・・・・・・?」

「・・・・・・私の能力に狂いがなければ、もうこの近くで被害者が出ているかもしれません」


 そう言った瞬間(とき)だった。


「きゃああああぁぁ!!」

「ば、バケモノだあぁぁ! みんな逃げろ!」


 戦慄を含んだ悲鳴がショッピングモールに響き渡る。ショッピングモールは1階から5階まで吹き抜けになっているので、その声はいやがうえにも反響した。


「琉衣、私たちはどうしたら・・・・・・」

「まずは、こういう時は、ええっと・・・・・・きゃぁっ!」 


 頓狂な声を上げてしまう。それには当然原因があった。

 目の前を人が落ちていったのだ。彼女たちが居る4階の上、つまり5階から。


「優里は負傷者の治療を!! 俺はあのバケモノを叩く!!」

「はい!!」


 ルイには落ちてきたのが何なのか、すぐに分かっていた。見間違えるはずがなかった。

 なぜならそれは最愛の兄、歩夢と親友のモモの影だったからだ。


「兄さん!!」


 5階から1階に無傷で着地した歩夢は、優里を腕から降ろしてすぐに治療に行かせる。

 そして、バケモノと対面した。


「これはステージⅢ以上いってるんじゃないか? にしても、あの時とは比べ物にならないくらいにデカぶつだ」


 対面したタイムイーターは、身長3メートルを優に超える長身で歩夢を見下ろす。

 すごい威圧だ。けど、逃げるなんて愚かなことはしない。

 今ここを守ることができるのは――


「俺だけだ」


 

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