第75話 妖艶の美少女Ⅲ
ましてや俺は新入生、つまり1年生だ。1年生が副会長に就任するなんて話聞いたことがない。
「俺の意見は関係なしですか?」
「そうだよ」
即答ですか・・・。
当事者のいない所で、物事が決定することってあるんだな。
「だったら、今の副会長はどうなるんですか?」
「今の副会長はそのまま任期継続だよ。ちょうどもう一人、副会長になるに相応しい人材を探してたんだよ」
「本当に俺が相応しいんですか? 会長の同級生には、俺より強い人がたくさんいると思うんですけど」
「本気でそれ言ってるの?」
「本気ですよ」
「はぁ、君は自分の強さを自覚してないようだね」
「俺が強い・・・?」
珍しいオリジンを保有しているだけで、実力的に見ると学園内では半分くらいの所に位置すると俺の中で考えていたが、会長に言わせてみればそれは違うらしい。
まだ俺は入学して間もない。簡単に言えば、2年生・3年生は俺たちの2倍、3倍の練習を積んでいるということだ。
だから、必然的に実力に溝が生まれるのが普通だろう。
「君はステージⅡのタイムイーターを単独で討伐したんだよ?」
「それって、凄いことなんですか?」
「それは凄いことだよ! 私もステージⅡのタイムイーターと戦ったことがあるけど、その時は3人で協力してやっとのことで倒せたんだから」
ということは、俺は先輩たち3人分の戦闘力を持っているということだ。
やっぱり『真眼』が俺と相性がいいだけで、それがなかったらステージⅠのタイムイーターにもボコボコにされるだろうな。
けど『真眼』のことは、他言してはいけないと姉さんに言われてるしなぁ。
何か会長には申し訳ないな。
そんなことを考えていると、午前7時のチャイムが学園内に鳴り響いた。
朝のチャイムだ。そろそろみんなが登校してくる時間帯になってきた。会長と密会のようなことをしているのを誰かに見られたら厄介なことになる。
まあ、副会長になる時点で厄介ごとに巻き込まれてるようなものだけどな。
「会長、俺は行きますね」
「え、一緒に行かないの? 校舎同じなんだから一緒に行けばいいじゃない」
会長は分かっていない。
俺の立場になって考えてみれば、すぐに分かる話なんだが。
「会長と俺が保健室から一緒に出てきて、一緒に歩いているところを見られたら、俺の身がただじゃ済まないですよ」
「私は気にしないよ」
「俺が気にするんです!!」
会長は容姿端麗、才色兼備で多くの下級生に慕われていると言ったが、その下級生の中には当然会長に好意を持っている生徒もいるわけだ。
だから、会長と俺が保健室登校しているところを見られたら、ただじゃ済まないのだ。
結果、俺が先に保健室を出てその10分後に、会長が何食わぬ顔で教室に向かうということに決定した。
「会長と話してたら疲れる・・・・」
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