第74話 妖艶の美少女Ⅱ
声だけでは思い出せなかったが、振り向いて顔を見るとすぐに会長だと分かった。
その理由は簡単だ。入学式の在校生代表の言葉で、国上会長が新入生の俺たちを温かく迎えてくれたからだ。
学園内では容姿端麗、才色兼備の会長として多くの下級生から慕われている。
会長は制服の胸元のリボンを乱して、俺の目を下から見上げて見つめる。
さっきから心臓の拍動が休まらない。
多分、それは会長の胸元から少し姿を覗かせている真っ白で透き通った、今にでも手を伸ばしたくなるほどの柔肌が原因だろう。
「何を驚くことがあるの?」
「驚いてませんよ」
「歩夢くんの顔から推測するに、そんなことより何で私がここに居るのかが気になるみたいね」
さすがはシンベル学園の生徒間トップに立つ代表だ。俺の表情から、今俺が考えてることを推測された。
すごい・・・・って感激してる場合じゃない!!
「その通りですけど、その前に胸元の乱れ直してください!」
「おっと、これはごめんね。会長として服装はしっかりしないとね」
いつまでも緊張状態ではいられないので、思い切って言ってみる。
すると会長は服のボタンを全部とめて、リボンを平行になるように正した。
「おかしくない?」
「はい、大丈夫ですよ」
「ありがとう。で、私が何でここに居るのかだったね」
「俺にはまったく見当がつかないんですけど・・・・」
「まあ、それも仕方ないわ。これは私の思い付きというか、出来心のようなものだから」
ゾクッ!
出来心と聞いた瞬間に身の毛がよだつ。
「それって、何か身に危険を感じるんですけど。出来心って、悪いことのときに使う言葉なので」
「違う違う! まったく悪いことなんか考えてないから! 安心して」
俺が震えた声でそう言うと、会長が必死で弁明をはかった。
こんな会長の姿見たくないよ・・・・。
会長は完璧な人間だという概念が俺の中にあるので、新入生である俺に対してこんな風に必死になっている会長の姿はあまり見たくはない。
そうは言っても、そうさせたの俺なんだけどな。
「会長がそこまで言うなら信じますけど、本当に恐怖を感じましたよ、さっき」
「本当にごめんなさい。新入生、いや新副会長と言うべきかな。新副会長に不快な思いをさせちゃったね」
ん?
聞いてはいけないフレーズが、俺の耳に入ったような気がするような、しないような・・・・。
「何て言いました?」
「ああ、言ってなかったっけ。歩夢くん、君はシンベル学園副会長への就任が決まりました」
聞いてねえよ!!
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