第71話 お泊り会Ⅲ
長い戦いの結果、ルイのタオルは楓によって没収された。
2人は髪と体を清潔にし、息を吐きながら湯に浸かる。
「はぁ~」
「ふぅ~、気持ち良い」
思わず恍惚とした表情を浮かべてしまう。
頭に意識を集中させると、何かが脳内で動いているのが感じられて、不思議と眠気に誘われる。そんな様子のルイを一瞥して楓が話しかける。
「タイムイーター、傍観してただけだけどかなり強かったね」
「うん」
「歩夢はあの時まで、タイムイーターと戦ったことなかったんだよね?」
「ルイの記憶では、あれが初対戦のはずだよ」
ルイの中では兄さんは毎日真剣に稽古に励み、理想とする存在だ。ルイもそうだが、ハンター寮で住んでいたときは、対人戦の練習しかしていないはずだ。
「それで倒したのか・・・」
歩夢がタイムイーターを倒したシーンを思い出したのだろう。楓が遠い目をして虚空を見つめる。
「兄さんは強いからね。それで、あのタイムイーター、ステージⅡってことは少なくても誰かの時間を奪取してたってことだよね」
「あのオリジンの色は赤色だった。だから、奪取されたのは一般人か、それとも最悪の場合だと家族か・・・・」
「家族・・・!?」
「むしろ、その可能性が高いと思う」
「何で?」
「タイムイーターによって亡くなった人の約60パーセントは、親族間に殺されたというデータがあるってお父さんが言ってたから」
「怖いね・・・」
親族間ということはいつ襲われるか分からないのだ。誰が、いつ、どこで、自分のことを付け狙っているのか分からない。時には疑心暗鬼になり、誰も信じれなくなるかもしれない。
そんな世界なのだ。
楓が言っていたデータの話が、どのようにして分かるのかは簡単な話だ。
突然死。つまり、タイムイーターに時間を喰われた可能性がある死体はすべて国立または王立の、タイムイーター研究所の鑑識課に強制的に送られる。そこで、噛みつかれた跡からDNAを検出して対象と比べた結果、約60パーセントの塩基配列が対象と限りなく似ているのだ。
塩基配列が限りなく似ているということは、よっぽどのことがない限り親族間だということを意味する。
約60パーセントが親族間での時間の奪取、言ってしまえば殺しだ。
そんなことが現実に起きている。
本当に怖い世界だ・・・。
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