表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一夜で世界が終わるとしたら  作者: 烏猫秋
第1章〜環境がおかしい〜
7/95

第7話 空谷の跫音みたいな?Ⅱ


 スキップ気分のまま(うち)開きの扉を押し開ける。


「おう! 歩夢じゃねえか!」

「お久しぶりです。いつの間に帰ってきてたんですか?」


 何だと!? 先客がいただと!?

 その先客は、1か月程前にタイムイーターの狩りを頼まれて外に出ていた男の先輩だ。

 肩幅は俺の1.5倍くらいあり、身長は約2メートルのゴリゴリマッチョだ。年齢は俺より一回り多くて、頼れるお兄さんって感じだ。

 ていうか、外ってどんな感じなんだろうな?

 実を言うと俺は記憶のある限り、外に出たことがない。なので、このコンクリートの部屋の外に広がる世界というものに、とても興味がある。


「さっき戻ってきたばっかりだ。外で食うまずい飯より、ここの飯が食いたいからな」

「ここの食事で俺たちの体はできてますもんね」

「違いないな」


 他愛(たわい)もないこんな会話が俺は好きだ。

 ここに住んでいるハンターは、昼食と夕食をこの食堂でとる。朝食は、無駄な脂肪がつかないように無しになっている。なので、ここに住んでいるハンターからすれば1日2食が基本だ。


「カランカラン、カランカラン。昼食の時間だよ~!」


 食堂のおばさんがベルを鳴らし、昼食開始の合図を出す。

 おばさんは、この食堂に20年間務めているベテランだ。実際に見たら分かるが、何かしらのオーラを放っているかのように見える。

 さすがはおばさん、貫禄がすごい。


「歩夢、早く食べようぜ。早くしないと荒波に飲まれちまうぞ」

「分かってますよ」


 足早に先輩の後に続き、おばさんから昼食を受け取る。食事はトレイに乗っており、きれいに並べられている。

 今日の献立はさんまの塩焼き、具だくさん味噌汁、白米大盛りの3種だ。当然のことだが、毎食バランスが考えられており、健康に配慮されている。

 俺たちは、食堂の入り口に最も近い部屋の端に陣取った。これは戦争のようなものなのだ。自分のお気に入りの席に座りたいならば、12時ピッタリに食堂に入る。でないと、他の人に席を取られていることが大半だ。今日は運よく人が少なかったのが救いだ。

 俺は短い稽古だけだけど、先輩方はもっと苦しい特訓してるんだろうな・・・・・・・。

 遠い目になりそうなのを抑えて、現実に戻る。


「最近、何か悩み事とかはないのか?」


 さんまを口に入れながら、先輩が唐突の質問をしてくる。

 あぶねっ! 唐突すぎて味噌汁吹きそうだったわ。


「そうですね。悩みって訳じゃないんですけど、たまに外ってどうなってるのかなって気になったりはします」


 口元に垂れた味噌汁を服の袖で拭きながら、質問に答える。

 先輩からのアドバイスっていうか、真面目な話を聞きたい。


「外か~。そういえば、歩夢は一度も外に出たことがないんだよな」

「はい」

「う~ん。俺からはちょっと言えないな。聞くならお姉さんに聞いてくれ」


 悩んだ結果それかい!

 何か先輩が話せない理由があるんだろうな。ここは、俺が下がったほうがいいな。


「分かりました」

「すまんな。俺から言い出したのに、答えれないって」

「いや、全然いいですよ。話せない理由があるのに、無理させるのも気が悪いですし」

「相変わらずいい奴だな」

「ありがとうございます」

 

  

面白いと思った方は、是非ブクマ登録と評価よろしくお願いします!

モチベーションアップになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ