第66話 覚醒Ⅳ
オリジンを飲み込んだ彼の身体は、強い拒否反応を起こして全身に痛みが走る。
「アァァァァ!! マダダァァ!! マダダァァ!!」
叫び声が大きくなるにつれて形質がだんだん変化していく。
黒い目は反転して白に。背中の筋肉は不規則に大きくなり、背中が丸まる。
「こんなの、もうタイムイーターじゃない・・・・」
完全に変貌彼の姿を見て、俺は唖然とする。
ここまでするか・・・。
「オァァァ!! ハァァァ・・・・・・・・」
しばらく時間が経つと、拒否反応がなくなり彼の息も整ってきた。
まだ拒否反応で筋肉がピクッと動いているが、もう痛みはないだろう。
嫌な予感しかしないのは俺だけか?
「そろそろ先生たちが来――」
「コロス」
「っ!?」
独り言を呟こうとした瞬間、彼の顔が目の前まで迫ってきていた。
とにかく大きなダメージを受けないために、腕を交差して攻撃を受ける。
ドゴォォォォォン!!
高速道路で走っている車に、中型の動物がぶつかったときのように凄まじい衝撃音がグラウンドに響く。
腕の骨が軋む音が生々しく耳に入る。
「どうなってんだ!?」
飛ばされた身体を空中で立て直す。
また身体能力が上がってる!?
今のパンチ、受けてみた感じだとオリジンを飲み込む前の倍の威力はある。
もう素手だけじゃ無理だぞこれ。
諦めの念が少し頭に浮かんだその時、視界内に何かがこちらに飛んでくるのが見える。
俺はケガをしないようにキャッチする。
「これって、鉄剣? 誰がこれを・・・・」
キャッチしたものを見ると、あきらかにそれは鉄剣だった。
てか危ないな! 刀身の部分がこっちに向いてたら死んでたぞ!
ちょうど武器が欲しいなって思ってたところだ。誰か知らないけど、あとで「ありがとう」を言いに行かないとな。
「そのためにも勝つ!」
気持ちが高まっていくにつれて、筋肉が熱くなってくる。
一歩足を踏み出せば、一瞬で10メートルは進めそうだ。
いつまでも受けに回ってばかりじゃいられない。死なない程度の攻撃なら今の彼なら大丈夫だろう。
「斬る!」
刀身のリーチが届く範囲まで距離を詰めて、俺は剣を横に振った。
剣が何か柔らかいものにぶつかる。
手ごたえありだ。
「その程度か?」
「なっ!?」
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