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一夜で世界が終わるとしたら  作者: 烏猫秋
第2章〜外の世界を知る〜
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第61話 妹の励みⅢ


 この前に行われたオリジン測定(そくてい)で、ルイは4という測定結果が出た。それでもかなり珍しいことだが、さらに担当の先生を驚かせたのは、その結果で出た4という数字の内すでに1つのオリジンが覚醒済みだったことだ。

 これは例年にはない異例(いれい)な事態だ。新入生の内、オリジンを覚醒させている生徒が()()も居たのだから。

 兄さんだけじゃなくて、ルイにも能力はあるんだから!


「ベータトロン!!」

 

 両足から雷光(らいこう)が激しく(ほとばし)る。

 クラスのみんなが唖然とした表情をする。

 これがルイの能力『ベータトロン』だ。能力発動中は亜音速まで加速して見る者を圧倒する。ルイはこの能力を完全にマスターするに、5ヶ月もの時間を(つい)やした。


「やはり、お前も覚醒済みか・・・・。仕方ない、先生は能力を使わずに戦ってやろう。いつでも来い」


 先生としての意地もあるのだろう。能力を使わずに戦うってことは、こっちからしたらかなりラッキーだ。

 これはいけるかも・・・・!

 右足を一歩引いて(かかと)を上げる。


『――!?』


 次の瞬間、ルイの身体がブレたかと思ったら、その身体は先生の目の前まで距離を詰めていた。

 もうこの速さに目は慣れている。

 加速の勢いを利用して剣を横に振る。


「実は先生も慣れている」

「っ!?」


 先生が閉じていた目を開けると同時に、ルイの振った剣がいとも簡単に流されてしまう。

 ここまでは想定内。あとは、テクニックを使ってどうなるか。

 減速させずに、先生の周りを左回りで正五角形を(えが)くように走る。

 さっきから様子見してるけど、先生がまったく動かない。

 これはルイから攻めるしかない。

 左足のつま先を中心に、体を回転させてアクセルターン。そのまま突っ込む。


「ハァァ!」

「アクセルターンか、先生には見えているぞ」


 目を開けると同時に、剣が流される。

 また!?

 先生の目は開いていないのに、何で攻撃を防がれるの!?


「琉衣さん! 先生は感覚器官を最大限まで研ぎ澄ませて、攻撃を予測して防いでいます!」


 さすがは洞察力トップレベル!

 レインが大きな胸を揺らしながらアドバイスをくれる。やっぱり持つべきものは友達だね。

 ということで、ルイが次に取るべき行動が分かった。

 どうにかして先生の感覚器官を(みだ)す!

 

  


 


 

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