第55話 時間とはⅠ
「今日はみんな・・・・じゃないな。藤田が休みだ。今日勉強するタイムイーターの知識はこれからの学園生活の基礎になるんだがな。まあ、体調不良は仕方ないか」
そう言って先生は残念そうな顔をする。
もちろん2、3年生で学ぶ知識も大切だけど、やっぱり1年生の時に学ぶ基礎の知識が一番大切だもんな。
「今日は午前と午後みっちり座学だから気合い入れろよ」
マジか、今日は実技講習ないのか・・・・・。
いや、違う! こういう時はどう考えるんだったけ?
――あ! 思い出した!
「ポジティブシンキング! ポジティブシンキング!」
声に出しちゃった・・・・。
本日二回目のみんなからの視線がとても痛い。
唯一希望がありそうな楓に顔を向けると、細い目をして俺を蔑んでいた。
みんな揃って俺のことイジメて、ひどいよ!
「授業入るぞ。モニターに注目してくれ」
先生まで! 疎外感ぱねぇ。
そんな俺の悲しみは関係なく、授業は進んでいくのが現実だ。
前のモニターに映し出されたものを先生が読んでいく。
「時間とは、時の流れのある一点からある一点までのことを言う。つまり、普通の人間はいつか亡くなってしまうのが事実だ。しかし、それを覆したのが『タイムイーター』、例のバケモノだ」
「奴らは人の時間を奪取して自分の時間に変換する。これを見ろ」
画面が切り替わり、何やら見たことのない球体が二つ並んで映し出される。
黒い球体と赤い球体、形は完全に一緒だけど何が違うんだ?
「二つには共通点がある。それは、二つともオリジンだということだ。黒い方がタイムイーターのオリジンを摘出したもので、赤い方が一般人のオリジンだ。人によって色は異なるが、黒いオリジンは『タイムイーター』特有の色と決まっている」
てことは、俺が『真眼』で見てる赤い気の流れはオリジンの色って考えていいのかな? そういうことだったら、すぐに判断がつくんだけどな。
「どう判断するのか、そう思ったやつは多いだろう。言ってしまえば、能力に頼らないと判断できない。しかも、かなり希少な能力でしかな」
先輩たちが俺の『真眼』を羨ましいと思っていたのは、そんな理由があったからなのか。そうなると、オリジンの測定をしてくれたあの先生も希少な能力の持ち主ってことだよな。
さすがは人口世界第3位の大陸に位置する学園だ。先生のレベルも当然高い。
「次はこれを見てくれ」
何これ!?
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