第46話 初めての実技講習Ⅰ
「坂口歩夢くん、どうぞ」
先生の満面の笑みが怖い。
俺の後ろにはシズさんと楓が待っている。
背中からも視線を受けて、なかなか緊張が解けない。
「測りますね」
(これって、一つ覚醒済みになってる!? と言うことは『オリジン』を覚醒させるほどの特訓を積んできたってこと!?)
あれ? 先生どうしちゃったんだろう?
さっきから先生が俺の胸の辺りを見て停止している。
ま、まさか! そういう趣味だったり?
いやいや、そんな訳ない。まずは先生を現実世界に引き戻そう。
「先生、先生」
「は、はい!」
「あの、結果はどうだったんですか?」
「結果ね。ええと、あなたの種は5つです。このまま行けばハンター序列トップ10には絶対入れると思います、はい」
マジでか。
「ちょっと待って、坂口君」
教室に戻ろうと席を立つと、先生から待てがかかった。
何で俺だけ?
先生が俺に耳打ちしようと手招きしているので、恐る恐る先生に耳を貸す。
『あなたの能力、教えて』
♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢
いやぁ~、あの先生は危険だ。
あの赤い眼で見られると、自分のすべてが見通されているかのように感じる。
今でも背中がゾッとする。
教室に戻ると「やっと戻ってきたぜ」という顔でみんなが俺たちを見ていた。
今になって後悔したけど、測定室から教室に戻るときにシズさんと話しておけばよかった。
あの先生の所為で動揺して全く喋れなかった。
「七夜さんはいくつだった?」
「私は4つだったけど・・・・・・」
「すごーい!」
「マジかよ!」
聞いた話によると『オリジン』の平均数は2から3らしい。
だったら俺の5つっていうのは、恵まれてる方なのか。
まあ、姉さんの弟だしな。これは誇りに思っていいだろう。
「スタンダールさんはいくつだった?」
「私も4つでした」
「やっぱり後ろの席の人はすごいね!」
「容姿端麗才色兼備。マジ結婚して欲しい」
「ありがとうございます」
シズさんはスルースキルが高め、と。
話し方も丁寧だし、2・3年次からもアタックが来そうだな。美人さんは大変だ。
そんなことを考えていると、みんなの視線が俺の方に向いていた。
みんなどうしたの?
これって、話の流れからして俺の『オリジン』の数だよね。
「俺は・・・・・・・・・・・・5つで――」
「やっぱり主席は違うね!」
「5つはレベルが違うわ」
「さすがですね」
です、まで言わせて!
人に褒められるのは慣れていないので、苦笑いでその場が収まるのを待つ。
すると、そこに賛美とは異なる声が一つ大きな声で上がった。
「坂口歩夢!! 俺は絶対にお前より強い!!」
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