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一夜で世界が終わるとしたら  作者: 烏猫秋
第2章〜外の世界を知る〜
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第43話 まさかの誘い?Ⅴ


「入って入って」


 兵士さんは置いといて、取り敢えず家に上がることになった。

 もしかしてと思って後ろを見ると、まだ頭を下げていた。

 もういいって! 今度ちゃんと謝っておかないとな。


「お帰りなさいませ、楓お嬢様」


 家に入るとすぐに茶髪に碧眼のメイドさんが迎えてくれた。

 服はガチメイド服ではなく、メイドの雰囲気を思わせる程度だ。見た感じだけど、動きやすそうだ。

 元ハンターだったりして。


「ただいま、シビル」

「そちらの御二方はお友達ですか?」

「うん」

「ごゆっくりどうぞ。失礼します」


 メイドさんが奥の部屋に消えていく。

 それにしてもすごい部屋の数だな。少なく言っても10部屋は下らない。

 広いと何かワクワクしてくる。

 階段を上がり、一つの部屋の前で楓が止まる。


「ここが私の部屋だよ」


 そして、ドアを開ける。

 

「きれいに整ってるな」

「かわいい」


 清潔(せいけつ)の一言だ。

 部屋一面に敷かれている白の絨毯(じゅうたん)が、春の肌寒さで冷えた足を温めてくれる。

 白を基調とした壁に薄ピンクのベッドが目立つ。隅には机がポツンと置いてあり、教科書や本がきれいに並べられている。

 部屋の大きさはそこまで大きいということはなく、少し広く感じるという程度だ。


「どこに座ればいい?」

「話しやすいように、ここ」

「了解」 


 部屋の中心には丸い机があり、俺たちはその机を囲むように座った。

 何かの会議が始まるのか?

 座ってから、少しの間話すことがなく沈黙が続く。

 チラッと楓の顔を見ると、何かを待っている様子だった。

 この状況どうしたらいいんだ? 


「失礼します。お茶をお持ちしました」


 晴天(せいてん)霹靂(へきれき)

 この沈黙を破ったのは、意外にもメイドのシビルさんだった。

 やっと理解が追いついた。楓はシビルさんを待っていたんだな。


「シビル遅いよー」 

「申し訳ありません。こちらを用意しておりましたので」 

「え? それってケーキ!? やったー!!」


 シビルさんの背中から出てきたケーキに、楓が子供のようにはしゃぐ。

 見た目だけじゃなくて中身も子供なんだな・・・・・・。

 二人だけを切り取っ見ると完全に母親と娘だな。


「歩夢様とルイ様にもちゃんと分けてくださいね」

「分かってるよ」

「では私は失礼します」

「ありがとうございます、シビルさん」

「美味しく頂きますね」

「いえいえ、当然のことです」

 

 


 


 


 

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