第36話 入学式Ⅳ
やっと肩に乗っていた重りがなくなったよ。そうして足早に自分の席に戻ると、新入生の約五割が寝息を立てていた。
「ぐがぁぁー! ぐがぁぁ!」
寝息の域超えてました。
「楓、起きろよ」
もうすぐ入学式が終わって、各クラスでSHRがあるので肩をツンツンとして起こそうとする。
「すぅー、すぅー」
しかし、楓は一向に起きる様子がない。
仕方ない、あの手を使うか。
両頬をガシッと掴んで、力いっぱい引っ張る!
「痛い! 痛い! いた――」
思ったより効果が出た。
周りから変な目で見られないように、すぐに口を手で塞ぐ。
「んー! んー!」
「しー、静かに」
楓が抵抗してくるので、空いている左手の人差し指を立てて、口の前に持ってきて静かにするように促す。
すると、すっかり大人しくなったので塞いでいた右手を離してやる。
「ありがとう」
「ごめんな、痛かっただろ?」
女性の柔肌を傷つけた罪は大きい。このことが貫太郎さんに伝わったら・・・・・・考えただけでも怖い。
「もう大丈夫」
「それは良かった。できたら、お父さんにはこのこと言わないで」
「分かった」
ふぅー、一安心一安心。
楓はもう大丈夫と言っているが、まだ頬の赤みは引いていない。
その赤みが楓のかわいさを増幅させているように見えるのは、多分俺だけじゃないよな。
入学式の最後は、いかにも副学園長っぽい人が締めて幕を閉じた。
いかにもっていう所は察してください。
頭の頂点がね、うん。
その後、俺たちは先生の先導の下、各教室に向かった。
廊下は全て絨毯が敷かれており、体育館で少し冷えた身体を温めてくれた。何か全体的に高級感が感じられる。
世界レベルでハンターの数を増やすためには、これくらい当たり前ってことか。けど、浮かれてはいられないな。
教室に入ると、中は廊下と同じく全体的に高級なつくりになっていた。
周りからも感嘆の声があがっている。
「自己紹介始めるから、前のスクリーンに映っている座席表を見て座ってくれ」
ここまで連れてきてくれた男の先生が、みんなに着席を促す。
俺の席は・・・・・・・おっ、一番後ろじゃんか。しかも楓が隣、これは強い。
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