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一夜で世界が終わるとしたら  作者: 烏猫秋
第2章〜外の世界を知る〜
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第36話 入学式Ⅳ


 やっと肩に乗っていた重りがなくなったよ。そうして足早に自分の席に戻ると、新入生の約五割が寝息を立てていた。


「ぐがぁぁー! ぐがぁぁ!」


 寝息の(いき)超えてました。

 

「楓、起きろよ」


 もうすぐ入学式が終わって、各クラスでSHRショートホームルームがあるので肩をツンツンとして起こそうとする。


「すぅー、すぅー」

 

 しかし、楓は一向に起きる様子がない。

 仕方ない、あの手を使うか。

 両頬をガシッと掴んで、力いっぱい引っ張る!


「痛い! 痛い! いた――」


 思ったより効果が出た。

 周りから変な目で見られないように、すぐに口を手で(ふさ)ぐ。


「んー! んー!」

「しー、静かに」


 楓が抵抗してくるので、空いている左手の人差し指を立てて、口の前に持ってきて静かにするように(うなが)す。

 すると、すっかり大人しくなったので塞いでいた右手を離してやる。


「ありがとう」

「ごめんな、痛かっただろ?」


 女性の柔肌を傷つけた罪は大きい。このことが貫太郎さんに伝わったら・・・・・・考えただけでも怖い。


「もう大丈夫」

「それは良かった。できたら、お父さんにはこのこと言わないで」

「分かった」


 ふぅー、一安心一安心。

 楓はもう大丈夫と言っているが、まだ頬の赤みは引いていない。

 その赤みが楓のかわいさを増幅させているように見えるのは、多分俺だけじゃないよな。

 入学式の最後は、いかにも副学園長っぽい人が締めて幕を閉じた。

 いかにもっていう所は察してください。

 頭の頂点がね、うん。

 その後、俺たちは先生の先導の下、各教室に向かった。

 廊下は全て絨毯(じゅうたん)()かれており、体育館で少し冷えた身体を温めてくれた。何か全体的に高級感が感じられる。

 世界レベルでハンターの数を増やすためには、これくらい当たり前ってことか。けど、浮かれてはいられないな。

 教室に入ると、中は廊下と同じく全体的に高級なつくりになっていた。

 周りからも感嘆の声があがっている。


「自己紹介始めるから、前のスクリーンに映っている座席表を見て座ってくれ」


 ここまで連れてきてくれた男の先生が、みんなに着席を促す。

 俺の席は・・・・・・・おっ、一番後ろじゃんか。しかも楓が隣、これは強い。 

 

 

 


 

 


 


  

 

 

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