第35話 入学式Ⅲ
「新入生の入場です。拍手で迎えてください」
楓と話していると、アリーナの中から入場の合図がかかった。
俺たち新入生20人は、左胸のポケットに白いコサージュを挿して、在校生、教職員、保護者、来賓の方々に拍手で迎えられて会場に入った。
壇上では学園長、保護者代表、在校生代表の挨拶が行われている。
率直に今の心情を伝えるとしたら、一言だけ言いたい。
「マジ眠い」
俺は腕を抓って頑張って耐えているが、隣に座っている楓はうとうとしてほぼ寝ている状態だ。
一人一人の挨拶が長すぎて、みんなそろそろ限界だ。
俺の挨拶はちょっと短くしようか。
そして・・・・・・時は来た。
「続きまして、新入生代表の挨拶です。今年度入学試験主席、坂口歩夢」
「はい!」
返事をして壇上に上がり、顔を上げる。
くっ・・・・! 視線が・・・・!
ここに立って見ると分かるけど「あいつが今年の主席か」「何となく生意気だから、後で絞めるか」などと、自分が品定めされているかのような不快感を感じる。
まだ人の眼に慣れていない俺の悪い所だ。これから慣れていかないとな。
「御紹介に与りました、新入生代表坂口歩夢です。暖かな光とともに、春の花が爛漫と咲く今日この日に、保護者、来賓の方々に見守られ、教師、在校生の方々に迎えられ、このシンベル学園に入学できたことを大変嬉しく思います」
「私は物心がついた時から、稽古・勉学に励んで参りました。しかし、毎日同じことを繰り返していて私は思いました、新しいことを学びたいと。そこで私の姉、坂口由紀から紹介してもらったのが、このシンベル学園です」
「シンベルに来てから、私の偏った知識は総合的なものに広がりました。この学園では、私にとって新しい出会いがたくさんあると思います。そして、そこで出会った人々と修練を積めような関係を築きたらと思います」
「保護者、来賓の皆様、常に私たちの周りを気にしてくださり、ありがとうございます。是非、これからもよろしくお願いします。教師、在校生の皆様、竜頭蛇尾にならないように、三年間勢いを衰えさせずに励んで参りますので、ご指導よろしくお願いします。新入生代表、坂口歩夢」
一礼すると、大きな拍手が起きる。
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