第30話 緊張の合格発表Ⅱ
「やっと着いた。と言っても5分しか歩いてないけど」
家から見える校舎もデカいけど、校門から見る校舎の方が圧倒的にデカく見えるな。
シンベル学園の校舎は、城を連想させるような造りをしており、見る者に美しさを覚えさせる。
生徒は3学年合わせて合計60人なのに、何でこんなデカいんだ? まあ気にしてもしょうがないか。
「貫太郎さんに感謝だね」
「そうだな」
ありがとう、貫太郎さん。
徒歩で通える学校はやはり強い。
「あ、あそこ。たくさん人が集まってるよ」
「合格者は掲示板に貼りだされてるって言ってたから、多分それの集まりだな。俺たちも行くか」
「うん」
その集まりの中には、目から涙を流しその場に佇人、喜びを爆発させて走り回る人、一人ひとり様々な感情を表している人が居た。
言わずとも、当然二人とも合格が理想だ。
う~ん。
背伸びをしても見えそうにないから、あの手を使うか。
「ルイ、ちょっといいか?」
「なに?」
「肩車するぞ」
「えっ? ちょっと、あっ――」
こうでもしないと見れないからな。ルイにはすまないが、ちょっとの間耐えてもらう。
ルイはスカートを着ているので、俺は今そこに頭を突っ込んでいるということになる。変態だと軽蔑しないで、仕方なくなってることだから。
「恥ずかしいよぉ・・・・」
「ちょっとの間だけだから我慢してくれ。それで、見えるか?」
ルイもだけど、俺も同じくらい恥ずかしいから。
「ちょっと待ってね――」
人差し指を立てて、指揮棒を振るように指を動かして名前を探す。
目の前が見えないよー。
スカートのふりふりの部分が、顔に当たって気持ち悪い。
「あった! 兄さんとルイ並んで載ってる!」
良かった~。無事合格できたようだ。
俺はすぐにルイを降ろして、掲示板に眼を向ける。肩車していた内に、かなりの人数がいなくなったようで、掲示板がよく見えるようになっていた。
上から『坂口歩夢(200点)』『坂口琉衣(190点)』『七夜楓(185点)』『ビニマ・レインワンド(180点)』という風に、点数順で20の名前が並んでいた。
ん? ちょっと待って。
「俺の上に誰か名前あるか?」
「何言ってるの? 兄さんが200点満点でトップだよ」
俺がトップ?
眼を擦ってもう一度確かめて見る。
「――あ、誰もいない」
予想外なことに、俺は合格+トップで入学することができた。
これもみんなのおかげなんだよなぁ。後でちゃんと、姉さんと先輩たちに連絡しておかないと。
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