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一夜で世界が終わるとしたら  作者: 烏猫秋
第2章〜外の世界を知る〜
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第23話 入学試験Ⅳ


「――では、受験番号200から210までの受験者は、準備をしてください」


 アナウンスの声で10人の受験者が一斉に動き出す。


「じゃあ、行ってくるね」

「無茶はするなよ」

「分かってるよ」


 ルイを見送って、俺は観戦席に移動して傍観する。

 さてと、佐々奈先生の実力見てみますか。


「受験番号200番、会場中央に」


 小柄な男の子が会場中央に歩いてくる。

 

「受験番号200番! 進藤(しんどう)(かける)です! よろしくお願いします!」


 男の子は意気軒昂(いきけんこう)と自己紹介をするが、


「骨のない奴が来たな・・・・・・・まったくこの仕事は疲れる」


 先生は対照的に、男の子に聞こえない声の大きさで(だる)いと訴えている。

 説明の時はですますで喋ってたけど、それは表面だけってことか。意外と内面は性格クールなんだな。


「5カウントで始めます。5・4・3―――」


 この大観衆に見られながらも全力を出さないといけないって、キツイよな。

 今、この会場の観客席には約500人の人がオーディエンスとして座っている。温かい声援もあるだろうが、当然ブーイングも起こる可能性はある。その時に、どれだけ精神を保って戦えるかが一つのカギになってきそうだな。


「―――2・1試験開始!」 


 開始と同時に走り出したのは、男の子の方だ。一方、先生はまったく動く様子がない。

 いくつもの修羅場を(くぐ)リ抜けてきた猛者の風格が強く出てるな。


「一撃だけでも・・・・・!」


 そう言って、正面から掌底打(しょうていう)ちを叩き込もうとする。

 が、


「隙のことを考えていないのか? これが本当の掌底打ちだ!」


 簡単に避けられて、腹のあたりにカウンターを喰らってしまう。

 身体が勢いよく飛んで行く。そして、会場の壁に当たって男の子はかなりの衝撃を肺に受ける。

 おいおい容赦ないな。けど、今の攻撃ワザと場所ずらしてたな。

 一瞬で放たれた掌底打ちだったので、はっきりとは見れていないが心窩(しんか)には入れないようにしてたな。

 結果で言うと、男の子は模擬戦闘の試験開始から30秒もかからないうちに、辞退を余儀(よぎ)なくされた。

 この試験で完全に選別に入ってるな。

 筆記試験で良い点が取れても、模擬試験で0点だったら意味ないもんな。タイムイーターと戦う時に、頭が回る奴が1人いたら安心できるんだけど、そんなのは関係ないか。

 シンベル学園は、武力至上主義の場所なのか?

 

 


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