第20話 入学試験Ⅰ
―――国立シンベルハンター育成専門学園。
それは、世界の中でも3番目の人口を持つ国、シンベルに建てられたハンター育成の専門学校だ。入学の試験を受けに来る人は毎年1000人を優に超えるが、入学が許されるのはたったの20人。つまり、倍率は50倍になる。
その一握りの中に入るために、俺たちは外の世界に出てきたのだ。
すまないが、外に出てから家に着くまでの話は割愛させてもらう。ただ、一言感想を言っておきたいと思う。
「世界はでけぇ」
本当にこの一言に尽きる。
今までに見たことのない大きな人波が、最も衝撃が強かった。
俺の知ってる食堂での嵐は、本当に小さな風に過ぎなかったんだな。何か悲しい。
貫太郎さんが用意してくれた家は、2階建ての一軒家だった。マジでご立派、2人で住むにはさすがに大きすぎる。しかし、家の場所はしっかり考えられており、学園まで徒歩5分の場所にある。
その時俺は思った。
合格前提で用意されてね?
もし、俺たちが合格できなかったらどうするんだよこの家。まあ、貫太郎さんがそこまで俺たちのことを見込んでくれているということか。
難関中の難関と言われている国立シンベルハンター育成専門学園。俺とルイの実力はそこまで変わらなので、俺が合格していたらルイも合格していると考えていいだろう。
「兄さん、今日は模擬戦闘のテストがあるから早く行こう」
そうだ、今日は模擬戦闘のテスト日だ。
筆記試験は昨日チャチャっと終わらせてきた。物心ついた時から学んでいた『心身学』なので、かなり自信はある。ルイに手ごたえを聞くと、同じように良かったと言っていたで、後の問題は模擬戦闘だけになる。
「分かった。もう出ようか?」
「うん、行こう」
ルイが遅く行って困るよりも、早く行って安心して試験に取り組みたいと言っているので、俺も賛同して早くに家を出る。
家に鍵をかけて、通りの方に眼をやる。
「まだ慣れないよな」
「そうだね。眩しくて眼が痛いくらいだよ」
外の通りには、通りを挟んでたくさんの家が建ち並んでいる。その中には、お店などがあって人々の笑い声が聞こえてくる。
賑やかな方が俺は好きかな。
「模擬戦闘って1対1か、1対多かどっちだと思う?」
「う~ん、それはまだ分かんないな」
やる気満々だな。
ここは兄として俺も負けてられないぞ。
「学園まで競争するぞー!」
「えっ!? 本当に!?」
「もう始めるぞー。3・2・1ゴー!!」
急ぐ必要もないのに、俺たちは何故か学園までダッシュで向かった。
俺たちの向かっている様子を見て、見知らぬおじさんおばさんが「頑張って来いよ!」「最後まで諦めたらダメだからね!」など、応援の言葉をかけてくれた。
ありがとう!
さあ、本気で模擬戦闘頑張ってくるぞ!!
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