第17話 歩夢の初耳Ⅲ
「そんなの聞いてないよ!?」
「言ってないから当然じゃない」
「そうか・・・・・・・」
ルイが一緒に付いてくるのか・・・・・・。
また不安の種が出てきたな。
「何も問題はないでしょ」
「問題はないけど、ルイはまだ13歳だよ。同じように入学することはできないんじゃ・・・・」
ルイは、実力は一人前だが中身が少し子供っぽいのだ。なので、知らない所に行くとしたら絶対俺に付いてくる。つまり言いたいことは、俺が15歳で入学するのは普通だが、ルイが14歳で入学するのは無理なんじゃないかって話だ。
え? 何々?
中身が子供っぽいのは、お前が甘やかしてるせいだって?
そんなことなでしょ。
・・・・・・・・・・・・・ごもっともです、俺のせいです。ごめんなさい。
「それなら心配ないよ。学校には飛び級制がとられているから、ルイが受験しても何の問題もないわよ」
都合のいい制度があるんだな、外の世界は。
まあ、不安の種がちょっと消えたのでよしとするか。
「ルイの許可はもらってるんでしょ?」
「もちろんよ。貫太郎さん推薦書を出したって言うから、慌てて説得したわよ。兄さんと一緒じゃ嫌だって言うから、また慌てたけどアユが許可してくれて一件落着だよ。それにしても、仲良しだねアユとルイ」
「ありがと。俺は姉さんも大好きだよ」
「私もアユとルイのこと、大好きだよ」
「・・・・・・・何か恥ずかしいな」
「それはこっちもよ」
少しの沈黙の後、互いに笑みを浮かべる。
楽しそうな笑い声がこの部屋に鳴り響いて、幸せな雰囲気をつくりだしていた。
「この後ルイの部屋寄って行ったら?」
「何で?」
「廊下で会っても長い間話せないでしょ。だから、今からよろしくって伝えておいたら?」
「あー、そうか。うん、そうする」
「もう遅いから今すぐ行った方がいいわね。じゃあまた明日ね、おやすみ」
「おやすみ~」
静かに扉を閉めて、ルイの部屋の前に立つ。
寝てなかったらいいんだけど・・・・・・。どうだろう。
「ルイ起きてるか?」
「兄さん! 今開けるね!」
扉の向こうから元気な声が聞こえる。
もう夜の10時だっていうのに、まだ起きていたのか。
みんな明日の朝も早いから、もう寝てるっていうのにルイは夜更かしさんだな。いつか体調を崩しそうで心配だ。
扉が開いてルイの白い髪が見える。
ルイは白い髪に赤い眼をしている。いや、赤じゃないな。どっちかというと薄い赤だから、石楠花色だな。
髪の毛は腰まで伸ばしていて、つい愛でたくなるかわいさをもっている。
「入って入って」
「邪魔するぞ」
ルイが扉を開けきった所で、俺がドアノブを持って閉める。
ガチャっという扉を閉める音がいつも以上に響く。
もう食堂みたいに騒いでいる先輩は居ない様子だな。
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