第11話 先輩の鬼畜稽古Ⅲ
水面が光を全反射して、きれいな風景をつくる。
陸での運動の次は川での運動かよ・・・・・・・・。
ザバァっと音を立てて飛び込む。
服を着たまま入るのは基本だ。服が水を含んで重くなってしまうのは、仕方がないことだ。
「―――意外と浅いな」
水深は約1.6メートルくらいか。
俺の身長だったら立っている状態で、ぎりぎり頭が出るところだ。
歩いて向こうの岸に行こうと思えば行けるが・・・・・・先輩はガッツリ泳いでるし、俺も続くか。
どの泳ぎで行くかはもう決めた。ここでは、クロールを選ぶのが賢いだろう。泳法の中で最も速いとされている泳ぎ方だ。手をS字に動かし、入水時の手の角度は45度、息継ぎは斜め後ろを見る、バタ足は太ももから打つ、これは『心身学』の海での身体使い方で先輩に教わった。
「プハァ、プハァ、プハァ、プハァ」
息継ぎがだんだん荒くなっていく。
さっきのが完全に響いてるな・・・・・・・・。あと、手に沁みて痛いな。
木の枝を掴んでその遠心力で前に進んでたから、手が傷ついてその傷に水が沁みてるんだな。
しかも、かなり冷たい水だから痛みが倍増する。
「ちゃんと付いてくるのよ! 次のメニューがラストだからね!」
?
水の中だから全然聞こえないんだよな。
先輩がもう上がったのは見えたけど、さっき何て言ったんだ?
ラスト? どれがだよ。
まあ、何か次がラストっぽいし、急いだほうが良さそうだな。
「プハァ、プハァ、プハァ・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ。次は何だ?」
川から上がり、激しく肩を上下させながら先を見る。
「あそこに向かってる?」
幸運にも先輩の姿はまだあったが、何だか怪しげな雰囲気の所に走っていた。
神殿にも見えるし、コロシアムにも見えないことないし・・・・・・・分からんな。
とにかく向かおう。
自慢の脚であの謎の場所へ向かう。
「嫌な感じがするな・・・・・」
やはり走りではこちらが勝っているか。
走りを進めている内に、先輩との距離はだんだん縮まってきた。
謎の場所に近づけば近づく程、混乱してきた。
マジでこれ何なんだ?
「あっ! どこに!」
先輩が謎の場所へ入って姿を消した。
あの中で何があるんだ?
さっきから疑問しかあがってこない。
この訓練が初めてだということと重なって、さらに混乱度が増す。
右も左も分からないが、とにかくこの場所の中心に向かう。
すると、
「ようこそ! 決闘場へ!」
両手を大きく広げて叫んでいる先輩が居た。
あー、やっぱり嫌な感じは当たってたな・・・・・・・・。
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