第6話(彼女たちのお誘い)
こうして玖瑠美の疑惑を晴らした俺は、一息つく。
とりあえず変態設定をつけられるのは回避した。
何とかなった、と思っているとそこで、状況を見守っていた遥香が俺からもう一人の方を見て。
「義典、普段から可愛いとか、女の子みたいって言われるのにコンプレックス を持っているのに何でそんな可愛い女の子のキャラにしているの? 猫耳までつけてあざといというか何というか……」
「ぼ、僕だって男です。だからかわいい女の子は好きに決まっているじゃないですかぁああああ」
そこで涙目になりながら義典は遥香に言い返していた。
その気持ちは分からないではない。
やはり義典も見た目は二次元にいそうな可愛い系男子ではあるが、友人として話しているときはどの女の子が可愛いかといった話である。
二次元の可愛い女の子に関しての話でもそうだ。
ちなみにそのあたりの趣味が合うので俺は友人をしている。
という程度に自身を“男”だと思っている義典にその質問は酷だったと遥香は気づいたのだろう。
「ごめんごめん。でも……知り合いを見かけたから追いかけてきただけだけれど、とりあえずは友人が道を踏み外して『女の子の制服が欲しい、むしろ食べたい』という変態でないというのは分かったから……」
「……変態度が勝手にパワーアップしているのはいかがなものかと」
「? そうだっけ? まあいいや」
「というか義典には聞かないのか?」
そこで俺は、俺ばっかり嫌疑をかけられるのはいかがなものかと思い、義典に話をふる。
義典はびくっと体を震わせたがそこで遥香が、
「いや……さっきの話の関係で聞くのも何かこう……それに、義典がそう言った『女子の制服のにおいをかぎながら埋もれて眠りたい』という人物には思えないからな」
「……さっきから内容が更に酷いことになっているような気がするのですが」
「え? ちがうの? だったらなんで女子の制服が欲しいの? 男は」
などと逆に遥香に俺は返されてしまい、どう答えればいいのか分からなくなった。
他に女子の制服に関してどういう用途があるんだ? と俺は真剣に考えているとそこで俺は服を引っ張られるのを感じて振り向くと、そこに玖瑠美がいた。
玖瑠美は頬を染めながら俺に、
「そ、その、辰也もその……女子の制服に顔をうずめたりしたいの?」
「……イエ、ソレハアリマセン」
「そ、そっか~」
と玖瑠美は安心したようにそう言っていた。
だが俺としてはもうこれ以上この話題は続けたくなかったので、
「それでほかに話はあるか? だったら俺、他の女子に見つかる前に逃げ出したいんだが」
そういうとそこで玖瑠美がはっとしたような顔をして、
「そ、そうよ。どうして私達が辰也たちを追いかけてきたと思っているのよ!」
「え? 変態を抹殺するため?」
「そ、そうじゃなくて、知り合いを見つけたから追いかけてきたって私、言ったじゃない! そ、それはその、辰也が女子の制服が欲しいって言っていたらそれはそれで……わ、私も考えないといけなかったけれど、そうじゃなかったし」
玖瑠美がそう言って俺に言い返してくる。
どうやら俺達に別の目的があるらしい、そう思っているとそこで遥香が、
「そうそう、私たちが追ってきたのは……私たち四人で、パーティを組まないかって誘いに来たんだ」
そう言ったのだった。