第3話(これからの予定を考えた)
誰が『女子の制服』なるものを求めてしまったのか?
それは心の内に秘めていればいいものを、文字として書き出してしまった俺の動静が同学年にいたのである。
もしかしたなら冗談であったのかもしれない。
その場の乗りのようなもので描いてしまっているのかもしれない。
だが、結果はこれだ。
女子達に俺達男子は一緒くたに“変態”と思われて退治されそうになっているのである。
おそらくはあの同級生の女子たちの中では……具体的に言うと、『手に入れた女子の制服』に顔をうずめて匂いを嗅いでいるような……そんな気持ちの悪いものを想像しているのかもしれない。
だから男子を抹殺しようとしている女子の気持ちはとてもよく分かる。
だがここで俺は殺されてしまえば(ゲームのHP(体力)的な意味で)、あそこに書かれている願いが暗くなり、同学年全員に、そう、全員に俺が“好きな人”がいることがばれてしまう。
先ほどまでの名前がない状態であったなら幾らでも誤魔化しがきいたが、今では殺されれば消えるのでその関係で……すでに名前が表示されていて、この“初恋”という名の俺の人生の中の甘酸っぱい記憶のようなものが羞恥心と絶望に塗り固められようとしているのである。
なんてことだ。
俺が一体何をしたというのだ。
彼女いない歴=年齢の俺にどうしてそんな仕打ちをしたのか!?
だ、だがと俺はここで考える。
そのほかの人に知られるというこの危険な事象に関して、出来る限り他の人に知られないようにする方法を今から考えねばならない。
完全に知られないようにするのは、確かに一番いい方法だが、最小限にとどめる、もしくは誤魔化せる状況にもっていかないといけない。
どうする、どうすればいい。
焦る中で俺は必死に考えて、気づいた。
つまり、現在ここで、人がたくさんいる中で倒されるわけにはいかない、ということ。
そしてもう一つは、優勝してはならない事。
人がたくさんいる中で倒されれば、俺の願いの光の部分が消えた瞬間を目撃する人物がここにいるほとんどになる。
つまりここで俺は倒されるわけにはいかない。
だがその一方で優勝してしまえば、俺のその願いが気づかれてしまう。
だって、商品になるし。
だから……おそらくはこれから行動するであろう男子たちと同じ行動をし、ほどほどに倒されたところで……どうせすべての願いを覚えている人物はいないだろうから、倒されてしまえば他の有象無象の一人として俺は数えられるだろう。
どのみち女子の制服など、俺は、確かに興味はあるが願い事に欲しいとは一言も書いてないのだから。
というわけで俺は途中で倒されるべく、名前が表示されるとともに一斉に逃げ出した人物たちと同じような行動をとった。
つまり、この場から逃走である。
「男どもが逃げたわ! 倒すわよ!」
といったような声が響く。
女子の全員が賛同しているわけでは無さそうではあったが、それでも今ここで倒されるわけには行かない。
そう思いながら必死に走って逃げ出した俺だが……同時に、俺のすぐそばにいた少女と、そんな俺達を追うように二人の女性キャラが俺たちの方に走ってくるのを感じたのだった。
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