エピローグ
以上系47話、読んでくださり本当にありがとうございました。
是非あとがきまで読んでみてください。お願いいたします。
ちゃぽんと水滴が水面に落ち、波紋を作る。
その波紋は私や先輩に届く前に消えてなくなった。
「左枝、温泉っていうのはどうしてこんなに気持ちがいいんだろうね?」
「本当ですねぇ…」
温泉に浸かりふにゃぁっと溶けかかっている若干二名。
というのも私と先輩は北海道の高級旅館に泊まりに来ていた。
予約などは先輩が行ってくれて、私は他の旅行の準備などを勧めていた。
とりあえずパソコンや必要な機器をスポンジで保護されるペリカンケースへと入れて蓋をする。
ちょうど良く来た宅配業者に旅行先への宅配を頼み、私と先輩はほぼ手ぶらで旅館へと着いた。
時刻はすでに9時を回っていて、これは飛行機の時間上の問題でこんな時間になってしまったのだ。
案内されたのは何故か上層階のスイートルームだった。
「み、右葉さん、ここって…」
「うん、スイートルームだよ、おしゃれだろう?僕はここの雰囲気がすごい好きなんだ」
そう言う先輩は一足先に届いていた私と先輩の荷物を開封し、中からパソコンなどの機器を取り出す。
「これでいつでも執筆ができるぞ!」
そう意気込む先輩はパソコンの電源は付けず、なぜか衣類を物色し始めた。
「右葉さん、何やってるんですか?」
「何って、温泉に入る準備さ、ここの旅館は各部屋に露天風呂があるんだ、特にスイートルームはとても高い場所にあるからね、とてもきれいだよ」
そういい先輩が温泉のある外へと出ると、暗い空には満点の星空が広がっていて、私は生まれて初めてこんなに綺麗な星を見た。
「…」
「ハハハ、綺麗だろう?僕も初めてこの空を見たとき、何も言葉が出なかったんだ…この綺麗な空を見て僕は星の旅人という小説を書いたんだ」
そうか、この既視感はあの小説だったのか。
「何か既視感あると思ったんですけど、私が読みながら想像していた空は、正にこんな空でした」
「そうか、左枝は星の旅人を読んでくれたのか…綺麗だろう?僕はこの空をみんなに伝えたかったんだ」
星空の描写に力が入っていて、本当に綺麗だったのを覚えている。
今しかない、そう思って私はポケットに入れていた小さな箱を取り出した。
同じ頃、先輩も後ろ手に隠していた小さな箱を私に見せる。
「え?左枝、それって…」
「え?右葉さん…?」
戸惑いながらもパカっと開けると、中には指輪が入っている。
「アハハハハ、やはり僕と君は考える事が似ているんだね…左枝、僕はまだ君にしっかりとした告白をしていないからね、ここでしようと思っていたんだ」
「わ、私もなんです…先輩に、右葉さんにしっかりと告白をしていないことに気づいて…だからこの指輪を渡してって考えてて…」
ちなみに先輩と私の指の太さはほぼ一緒である事を確認済みだ。
「左枝、僕に言わせておくれ」
コクリと頷く私。
「左枝、多分これからもずっと一緒に笑って、一緒に喧嘩して、一緒に泣いて、それでもって一緒にまた笑って、そんな風にこれからもずっとずっと僕と一緒に暮らしてください。結婚はできなくても…僕と一緒にずっとずっと、一緒にお婆ちゃんになるまで一緒にいてください」
そういう先輩は私の目をまっすぐに見て、私に話しかける。
私も先輩の目を見て口を開く。
「不束ものですが、これからもどうぞ、よろしくお願いします」
先輩はそっと私の左手を取り、薬指に指輪をはめた。
私も先輩の左手を撮り、薬指に指輪をはめる。
「左枝、愛しているよ」
「先輩、愛しています」
唇と唇が触れるだけの軽いキスをして、私と先輩はお互いを愛し合うと誓う。
これからも物語はどんどんと紡がれていく。
ずっとずっと二人の物語が。
左近の桜、右近の橘。Fin
みなさん、ここまで左近の作、右近の橘。をお読みいただき、また、左枝と右葉を温かく見守ってくださり、本当にありがとうございました。
この作品は本当に思い出深い作品であり、私が初めてこんなに長く書いた作品になります。
基本的に私はもともとアニメの二次創作SSなどを書いており、長さに関しても大体10話分書けば相当長くかけた方でした。
三度目の挑戦となるオリジナル設定で更に苦手なことをドンドンとやっていこうと以前話したようにクジを制作して三枚引くという感じで、出てきたものが「軍服、ホラー、イジメ」の三つでした。
どれも自然に入れるのがとても難しく、特にホラーに関しては多分今後も絶対に手を出さないと思う分野ですね…。
そしてイジメに関しては私自身本当に入れようか迷ったのですが、入れることにしました。
本当に悩んで悩んで左枝や右葉、椿に楓達に半分泣きながらごめんねごめんねと言いつつ書き上げました。
本当に悩んで今でもあれでよかったのか、何も殺すことはなかったんじゃないかと後悔ばかりです…。
技術もなく、稚拙な文章で読みづらかったと思います。ごめんなさい。
ですが、私が持てる力をすべて発揮して書いたのがこの作品です。
面白くなかった、正直読んでるのが苦痛だった。そういうふうに思う人の方が多いと思います。
ですがもし、少しでも面白かったと思ってくれる人が居るのなら、書いてよかったと思えると思います。
コメントをくれ、評価をくれとは言いません。というか私なぞが言う資格なんてありません。
なので皆様に伝えたいことはただただこれだけです。
この作品を、左枝と右葉の物語を最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました。




