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左近の桜、右近の橘。  作者: みんくん
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第3話

それからと言うものは本当に大変だった。

何が大変だったかって女性が呆れて帰ってしまい、私はその場へと押し倒された。


「左枝、ごめん、僕ちょっと抑えが効かないかも…」

そういい彼女は私にまたがって体を重ねるようにしてキスをする。

初めての事だが恐怖感は意外となく、先輩がグイグイと来るからそこがなぜか可愛く思え、私が抵抗することはなかった。

「左枝、好きだよ…一目惚れだ、さっき君を初めて見たとき僕は君に一目惚れをしたんだ…んっ」


小さな水音と荒い息と衣すれの音が響く部室内、先輩の手は私の胸を触り優しく、でもどこか荒々しく揉む。


先輩の背中に手を回しギュッと抱き寄せる。

驚いたのか目を見開いて私の顔を見る先輩にちょっとイタズラ心が湧いて私は起き上がって先輩の耳元で囁く。


「先輩、私の太もも、なんだか濡れてる気がするなぁ…」


ビクッと先輩の体が硬直し今まで以上に先輩の顔が赤くなった。

「そ、それは、その…」


可愛い、綺麗だ、そんな先輩をもっと…いじめたい。


「その、なんですか?」

「僕も僕だけど君も相当だね…相当意地悪だ」

「私の初めてを奪ったんですよ?それより、その、なんですか?」


口を尖らせて拗ねる先輩の耳元でさらに囁く。

首が縮み耳を私の顔から放し先輩は顔を赤くしている。

意外にも耳が弱点みたいだ。


「その…こ、興奮して」


ここで部室のドアが開いた。

飛び上がるくらいに驚いた私と先輩はそのままの体勢で顔だけドアの方へと向く。

今どう見ても先輩が私の上に座って私が先輩を抱きしめて耳元で何かを囁いている状況だ。

しかも先輩の顔は真っ赤で見る人が見ればのレベルではなく、誰が見てもこれはアウトだろう。

教師じゃないことを祈るりつつドアを見てみると…


結果さっきの女性だった。

「え…?あれ、待って、今私の目からはどうもユウじゃなくて貴女が主導権を握っているように見えるのだけど…気のせいよね…?」


ここぞとばかりに立ち上がり私からさっきの女性に駆け寄る先輩。

「助けておくれヒラ、ユウが僕に意地悪をするんだ」


私を指差しヒラと呼ばれた女性の背中に隠れる先輩。よく見るとヒラと呼ばれた女性は先輩と同じ上履きを履いており、多分先輩の友達なのだろう。

だが何故だか私はヒラさんにくっつく先輩を見て嫌な気持ちになった。


「どうせアンタから仕掛けて返り討ちにあっただけでしょ…?でも意外ね、あたなどっちかと言えばされるがままみたいなイメージだったのだけれど…」


「私もそうだと思ってたんですけど…一生懸命キスしてくる先輩見てたら可愛くて…ちょっといじめたくなっちゃって、その…」


「アンタ後輩に何してんのよ…ほら、私にくっついてないで離れなさい…もう」

「いけずだなぁヒラは…僕と君の仲じゃないか」

「あんたねぇ…仮にも彼女に手ぇ出したなら彼女一人に絞りなさい、と言うか私はただの友達で好きな人は別に居るの、ユウみたいな男モドキじゃなくてしっかりとした男の人がね」

「そ、それは流石にひどくないかい…?」


ちょっと涙目の先輩。ああ可愛い。


「えっと貴女たしか左枝って呼ばれてたわね?」

「あ、はい、桜 左枝といいます」

「私は平安 宮古よ、そういえば…貴女達多分相性ピッタリなのね」

「え?僕たちが?」

「そういうのわかるんですか…?」

「あぁ、そうじゃなくって、左近の桜、右近の橘って聞いたこと無い?」

「あっ、」

「え?何だい?なんの話しをしているんだい?」

「私の名前と先輩の名前がちょうどその言葉と一致するんです」


先輩は少し考え込んだ後、やっとあぁ!と言う顔をしていた。


「そうか、左枝が左近の桜、僕が右近の橘って訳か」

「はいそうです」


「ふふっ、きっと貴女達二人、いいパートナーになると思うわ」

「はいっ!」


部室に私の返事が響き、空いた窓から空へと消えてゆく

これはこれから始まる物語の序章でもあり、終章でもある。

そんな私たちの拙い恋物語。

読んでくださりありがとうございました。

次話もどうぞ、よろしくお願い致します。

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