第2話
開け放った窓から爽やかな気持ちのいい風が入ってくる。
空は青く白い雲がよく映える春の空。
何故私がいま空を眺めているのかと言えば、抱き合っていた少し後に先輩が「よし、じゃぁそろそろ読書を再開しようか」といって自分の席に戻って読書を再開してしまったからだ。
初めてだったなぁとか、先輩綺麗だったなぁとか、これって恋人になるって事なのかなぁとか、色々な事が頭の中をグルグル回ってそんなことから逃げるように今は空を見ている。
「ユウ、今日も来てあげたわよ」
窓の外から突然聞こえてきた声に肩を跳ね上げ驚く。
先輩を見るとヤレヤレと言う顔をして窓へを歩み寄った。
「いつも言っているけど…窓から僕に話しかけるのやめてくれないかな?本読んでいると気づけないんだ。それに今日は新しい子が来ているんだ、驚かしてしまうだろう?」
「何、あんたとうとうこんな可愛い子に手ぇ出したの!?大丈夫?この変態に何かされてない!?」
先輩と親しげに話すその女性は先輩に負けないくらい綺麗な人だった。
「変な事…?」
「そうよ、チューされたり胸揉まれたり急に抱きしめられたりしてない!?大丈夫!?」
「そんなに僕って信用無いのかい…?」
「当たり前じゃない…と言うか貴女なんでそんな顔を赤らめて…まさかあんた本当に何かしたんじゃないでしょうね!?」
今にも窓を超えて部室内に入ってきそうな雰囲気の女性。
先輩を見ると困ったよう微笑み顔で私を見ていた。
「な、何もされてません…ほ、本当です…」
「本当に何もされてないの…?私の目を見て言える…?」
「な、何も…」
言い切れずに目線を逸らす私、顔を青くする女性。アハハと面白そうに笑う先輩。
「ちょっ、アンタマジで手ぇ出したんじゃないでしょうね…?」
「アハハ」ニコッ
「あんたねぇ…本当に手ぇ出しちゃダメじゃないの…この子のこれからを左右するような事なのよ、冗談抜きで」
「でも最初に目瞑ったのは左枝だよ?」
「それでもよ…アンタ責任取り切れるの…?いや確かに収入もしっかりしてるし将来安泰とまで言われているのは知っているけど…」
収入?将来安泰?どういうことだろう?
「こらこら、その話は皆には内緒だって行ってあるだろう?それに僕はこれでも一途なんだ、一度好きになったら意地でも手放さない自信があるよ、それこそ、左枝が嫌と言ってもね」
そう言いながら私を抱き寄せ再び唇を奪う。
目を見開き驚く私と顔を赤くしつつもヤレヤレと額に手を当てる女性、そして真剣な目で私の目を見る先輩。
これから多分私はこの人のことをもっと好きになるんだろうなぁと思った。
読んでくださりありがとうございました。
次話もどうぞ、よろしくお願い致します。