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左近の桜、右近の橘。  作者: みんくん
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第27話

一線を超えてしまった。

そのことが未だに信じる事ができない。

だけど私の目の前で裸で寝ているこの人は紛う事なき私の大好きな先輩だ。

幸せそうな寝顔をしている。


でも私はこの人と昨日…思い出すだけで恥ずかしくて身悶えする。

私がゴソゴソやっているせいで目が覚めたのか先輩はほぼ開いていない状態の目で私に微笑む。


「さえ、おはよ」

まだ寝ぼけているのか呂律も怪しく、ん~と言う甘い声を出して私にスリスリとする。


「よしよし、先輩可愛いよ、よしよし」

先輩の頭を撫でるとふわぁぁぁと言う聞いたことのないような声を出す。


本気で可愛い先輩を私はもっとなでた。

先輩の髪がボサボサになり、それでも先輩はぼーっとしており、私は勝手に台所に入って水を汲んだ。


「先輩、お水ですよ。冷たいので気をつけてくださいね」

先輩は水を受け取るとチビチビと飲み始める。


飲み始めてからは意外と早く、一気に頭が覚醒したのか顔が真っ赤になっている。


「その、言い訳をさせてくれないか…?」


焦って私につがりつく先輩。


「却下です?」


先輩は枕に顔を押し当てて叫びだした。


昨日完全に発情していた私も先輩も制服を適当に脱いでその場に放置したせいでシャツやらジャケットやらスカートやらにシワができている。


「先輩…制服これ…どうしましょう」

「このまま着ていくしかないね…あいにくこの家にはアイロンなんて物はないからね…」

「え?じゃぁどうやってワイシャツとか…」


クリーニングに出しているとか言いそうだなこの人

私がジト目で先輩のことを見ていると、先輩は堂々と胸を張って答えた。


「洗って洗濯機から出してハンガーにかけてそのままさ!」


何かを言ったら負けな気がする。

「じゃぁ先輩、朝ごはん作りましょうか」

「あ、うん」


テキパキと作業をこなす私とたどたどしく包丁を握る先輩。


「先輩、もしかして…?」

「ね、猫の手!にゃー!」


包丁をおいて猫の手を顔の横に持ってきて首をかしげる。


ひどく可愛いその姿に私は見とれた。


「さ、左枝…なにか反応しておくれ…何かこう、猛烈に恥ずかしくなる…」

「可愛いですよ先輩」


微笑む私と顔を赤くする先輩。


「い、いきなりは反則だろう…」


両手で顔を多い赤面を隠していた。

無事完成した朝食は目玉焼きと厚焼き玉子(甘め)に焼き魚と味噌汁、ごはんとにきんぴらごぼうという定番メニューだった。


「こ、こんな立派な朝ごはんを食べるのはどれくらいぶりだろうか…」ゴクリ

ヨダレを垂らす先輩を横目に私はちょっとゆっくり目に準備をする。


「左枝、まだ食べちゃだめかい?僕はもうお腹がペコペコだよ!」

「まだダメですよ、一緒に食べましょう、ね?」

「うーん…仕方ないなぁ…」


どこか犬を思わせるその態度に笑いつつ、ゆっくり目に準備を進める。


盛り付けて並べて野菜ジュースを準備してテーブルに着く。


「左枝、早く食べよう!ほら!」

「慌てちゃダメですよ、さぁ祈りをあげましょう、」

「もしかして左枝僕に意地悪して楽しんでないかい!?」

「え?今更気づいたんですか?」


ニコニコと返すと先輩の背後に雷が見えた。


左枝、恐ろしい子!!といった感じに。


「これ以上意地悪したら先輩のお腹と背中がくっついちゃうので食べましょうか」

「「いただきます!」」


美味しそうにバクバクと食べていく先輩。

「これも美味しい、あぁ玉子が甘くて最高だ…魚も塩加減が絶妙で!!」


食べる速さは早いけどご飯とおかずの量をしっかりと計算した上で食べているのかオカズを全品食べ終わるのと同時に綺麗にご飯も食べ終わっていた。


「ごちそうさま…左枝、本当に美味しかった…左枝、毎日僕にみそ汁を作ってくれないか!」


私の手を握り突然のプロポーズ。


「はいはい、今日の夜ご飯はもっとすごいですよ!」

肉じゃがにしようかそれともカレーにしようか、そんなことを考えていると彼女はちょっと意外そうな顔をしていた。


「どうしました…?私の顔にご飯粒ついてますか…?」

「いや、君が今日も泊まってくれるって知らなくて…嬉しいなぁ…嬉しいなぁ」


心からの言葉だろう。その嬉しいという言葉は演技にしては余りにも色々な感情が込められすぎていた。


「一人だと凄い寂しいんだ…だから左枝が居てくれるとね…すごい安心できるんだ…」


そんな事を言われてやっぱり帰りますなんて言えるわけがない。

私は今日も先輩の家に泊まるためにパジャマを一度取りに行こうと考えていた。

読んでくださりありがとうございました。

次話もどうぞ、よろしくお願い致します。

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