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左近の桜、右近の橘。  作者: みんくん
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第23話

当時の私は所謂いじめられっ子というやつだった。

周りも巻き込まれたくないから私を避け、私は一人ポツンと浮いていた。


この日も私は靴を隠され学校の中を探し回っていた。

校内を歩いていると意外と人が居るものでその人達は私を見ると何あれとか、可哀想とか口々に言った。

でも誰一人として私に話しかけてくれる人は居なかった。


辛くて、悲しくて、どうして私ばっかり嫌な目に遭うんだろうと思い涙が出る。

別にこの嫌がらせが他の人に移れと思っていたわけでもなく、私はただ辞めてほしいだけだった。


教室のロッカーやゴミ箱を探しても見つからない靴。

教師も見て見ぬふりをして靴を探す私を無視した。


「痛っ…」

ゴミ箱に入っていた鋭い何かで指を切ってしまったのだろう、指からは血が出ている。


仕方なくその場を後にして保健室へと入り治療を受けた。

保険室の先生は心配そうに私を見るがそれ以上のことはしない、私に大丈夫かいとも、何かあったのかい?とも聞いてくれることはなかった。


私が保険室を出るとそこには黒く長い髪が綺麗な女の子が立っていた。

その綺麗な髪の毛度透けるように綺麗な肌、整った小さく綺麗な顔に見蕩れ、私は立ち尽くした。


「あの、邪魔なんだけど…」

「あ、ごめんなさい…」


私がどけると彼女は保健室へと入っていった。

ドアを開けっぱなしにしていたからか彼女と保健の先生の話し声が聞こえてくる


「絆創膏ください」

「どうしたの?指切っちゃったの?」

「本で…絆創膏くれるだけでいいんで」

「ちゃんと消毒しないとダメよ、バイキンがはいいっちゃうから」


彼女はいやいや指を出し消毒されていた。

別に痛がる様子もなく、タダタダ嫌がっているだけのようだ。


「これで大丈夫ね、本読むのもいいけど気をつけてね」

「…ありがとうございました」


ペコリと頭を下げ、さっきの子が出てくる。


「アンタまだ居たんだ…どっかで見覚えが…あんた名前は?」


私の顔をジロリと睨みつけ、名前を聞いてくる。

「さ、桜左枝です…」


声を絞り出すが少し震えていた。


「桜左枝…あぁ、同じクラスの」


同じクラスの子だった、私がどれだけ周りを拒絶していたのかが自分でこの時よくわかった。

「えっと…」

「ん?私?飯田椿だよ出席番号3番の飯田椿…覚えてないか」


そう言うと彼女は来た道を戻って行った。


それからまた靴を探して中庭に出ると飯田さんがいた。


「あんたなんで裸足なの?」

「靴隠されちゃったの…」

「それってこれ?」


彼女が手に持っていたのは汚れてボロボロになっているけど私の靴だった。


「飯田さん、それ…」

「さっき図書室の窓から見えたから…別に探していたわけじゃない」


そういう彼女の肩には葉っぱが付いていて、制服が少し土で汚れていた。


「これじゃぁもう履けないね…ほら、それ履きな」


今履いていた彼女の上履きを私に投げ、彼女は代わりに私の靴を履いた。


「うわ、このゴム切れてると歩きづらいねー」


そう良い彼女は中庭から校舎へと入り図書室に行く階段を登っていく。


彼女の靴はサイズが大きくて私にはブカブカだった。

読んでくださりありがとうございました。

次話もどうぞ、よろしくお願い致します。

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