残念ながら脳筋
多分これからは3日に一回投稿すると思います。
もしかしたら2日に一回……
でももしかしたら……
頑張ります…
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6話 残念ながら脳筋
「貴方のことなど認めません!
来たる剣王戦で勝負ですわ!」
どーもイケメン(自称)で成績優秀(自称)のユネルです。……ってこれ言うの何回目だ?…まぁいっか
と、いうより今はそれどころじゃない
何故か王国騎士団長の娘に果たし状を突きつけられてます。
どうしてこうなった…
それを知るには数分前に遡る必要がある
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数分前
「や、やりすぎた」
呆然とする人たち、後悔するおれ、何故かキラキラした茶瞳で見つめてくるノア
こうなっては仕方ない
「行くぞノア」
騒ぎが大きくなる前にここを離れなければいけない
「ユ、ユネルくん!」
「なんだ?」
「ぼくまだ計ってない…」
は、恥ずかしいぃ
ちょっとカッコつけてノアのこと連れて去ろうとしたら失敗したとか末代までの恥だわ…
「…わかった。すぐ計って来い」
「うん!わかった!」
ノアは嬉しそうに返事をすると自分で武力測定器を起動した
勝手にやっていいのかよ…
「えーい」
少し真伸びした掛け声
しかしその声の主とは思えないほどその振り下ろした切っ先は鋭く対象に当たる
「ユネルくーん。何ポイントだったー?」
あ、確認するのはおれの役目なのね
「ちょっと待ってろ。今確認する」
おれはまだ驚愕のあまり動けない計測員と肩を震わせているビブレーの傍を抜けポイントを確認する
「えーとなー、4056だ」
お、前より伸びたな
もともとノアはレイピア使いだ。学校にある模造刀は片手剣型しかないのでレイピアを使っていないと考えるとなかなかの数値である
ふと振り返ると計測員は度重なる衝撃で口がぱくぱくしている
ちょっとかわいい…
そんなことを考えながら師匠にどう言い訳するか考えていたら
「ちょっと!」
「ん、なんだ?」
「ユネル先輩不正しましたね!ノア先輩もです!」
ビブレーがものすごい剣幕で突っかかって来た
「おいおい、言いがかりはよしてくれサブレー。大体俺たちがそんな不正したなんて証拠どこにもないだろう?」
「その異常な数値自体が大きな証拠です!王国騎士団長をしているお父様だって1500代なのですよ!?
その数値を貴方たちが超えれるはずがありません!
それと私の名前はビブレーです!そんな変な名前にしないでください!」
いいじゃないか、サブレー。とても美味しいのに…
つーか、あのイケメン団長は娘の前で本気出したことないんだな
「そんなこと言われてもな、せんべー。実際数値で出たものが事実なんだよ。それと俺たちは不正なんかしていない。そうですよね?計測員さん?」
おれが計測員さんに水を向けると顔が二重に見えるくらい早く首を縦に振り始めた
「くっ!なんとしてでも認めないつもりですか。ならいいでしょう。来たる剣王戦。そこで決着をつけましょう。
それと私の名前はビブレーです!そんな美味しそうな名前にしないでください!」
せんべい派だったか…渋いな…
「いや、勝手に話を進められても困るし。第一剣王戦はトーナメントだよ?当たらない可能性だってあるわけだしーー」
そうなのだ
剣王戦はトーナメント方式で争う
出場者は
一年戦闘クラス2名魔法、回復クラス2名の計4人
二年、三年も同様で合わせて12人が雌雄を決する
ルールは個人戦、制限時間は20分、基本魔法、上級魔法、固有魔法の使用は禁止で魔力の運用(さっきおれがやった全身に魔力を行き渡らせるやつとか)は許可されている
それと当然武器の使用も許可されているがあまりに強大な力を有する武器ーー魔剣とかーーは禁止されている
また、勝ち上がるごとに成績が上がるというおまけまでついている
先程も述べた通りトーナメント制なので当たる確率は結構低いと思うんだがーー
「全部勝てばいいだけじゃないですか」
まさかの脳筋でした
理知的に見えるのに頭の中は残念なんだね…
「えぇー、だって君おれじゃなくてもノアと当たったら負けるよ」
おれがとりあえず思いついた懸念を述べるとビブレーの顔がみるみる赤くなっていく
「貴方凄いですね。私をここまで怒らせたのは貴方が初めてですよ…」
「あぁ、そう。それは光栄なことで」
あえてここで煽っていく
これがユネルクオリティ
「まだ減らず口を…
しょうがないですわね。これはもともとノア先輩に渡す予定だったのですが…
貴方の方が死にたいらしいので貴方に差し上げますよ」
ビブレーが懐から取り出したものに地味に驚いているノアを尻目におれは疑問を投げかける
「それ、なに?」
「果たし状ですわ!」
果たし状?またそれは古風なものを…
「貴方のことなど認めません!
来たる剣王戦で勝負ですわ!」
ここでようやく冒頭の場面へ戻る
ドヤ顔で宣言するビブレー。対するおれの手は…
「いや、遠慮します。失礼しまーす」
とりあえず逃げの一手
一回引いて作戦を立てるぜ
「「行かせません(わ)!」」
ユネルの逃げる!
しかし逃げられなかった!
ん、待て、一人増えてる
「誰?」
「リツァイ・アポカリプト、一年生次席ですわ、ユネル先輩」
うわー、また名字持ちかよ。しかもアポカリプト家かよ...最近いい噂聞かないなぁ
めんどくさいな…
「君も剣王戦出るの?」
「当然ですわ!」
めんどくさいのに当たる確率増えたじゃん…
ないわー…
すると今まで黙って見ていたノアが口を開いた
「別にいいんじゃないかな?ユネルくん
どーせ当たったとしても倒せばいいだけだし気にすることないんじゃない?」
ここにも脳筋が…
いや、待てよ
案外ノアの言う通りなんじゃ…
ここで勝負を受けとけば自然にビブレーと戦えてなおかつ依頼も達成できる…
受けるか…
いや、おれは考えてこのことを選んだんだから脳筋じゃないよ?
ほんとだよ?
「いいだろう、その果たし状受けてやろう」
「ふん!その自信粉々にしてあげますわ!」
おれの言葉に尊大不遜に頷くビブレー
「先輩からの忠告だ。せいぜい夜道には気をつけることだな」
「ふん!返り討ちにしてあげますわ」
ん?なんか違う意味に取られてるような気が…
まぁ、いいか
そして俺たちは2週間後に迫る剣王戦へ向けて準備を開始したのだった
ミンナ ノウキン ダヨ
キンニク キンニクゥー