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職業は探偵です!  作者: 夜行 せい
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初調査!

 ネコは住宅街の中に入り、何処にでもあるごく普通の家の前で車を止める。

「着いたぞ。この家が対象者自宅だ」

「ここで見張るんですか?」

「いや、おれにそんな度胸はない。まず家の外観を撮影してこの時間から監視してますよと記録を残すんだ。」

 ネコは運転席から後部座席へ素早く移動し、手慣れた感じでビデオカメラを操作し撮影する。


 うおー、かっけー。

 しかも今の動きやばかったぞ!

 これが探偵か!


「あのー、質問いいですか?」

「今、張り込み位置へ移動する。それからでいいか?」

「あ、はい…」

 ネコは対象者自宅から20メートルくらい離れた小さな公園の横に路上駐車して、エンジンを切り、後部座席へ来る。

「カーテンを閉めてくれるか?」

 ネコと後部座席左右のカーテンを閉めて、オレは、車の後ろの窓のカーテンを閉める。

 車の中は、前から多少光は入ってくるものの昼間にしてはかなり暗くなり、閑散としている。


「なんだ?」

 ネコが右手にビデオカメラを持ち、対象者自宅を覗きながら言う。

「質問あるって言っただろ?」

「あ、はい。ネコさんは何歳ですか?」

「その質問には答えないとダメか? あと『さん』付けはやめろ」

「あ、すいません。嫌なら別に……」


 何なんだよ

 もっとコミュニケーション取ろうと思って質問してやったのに!

 気不味い雰囲気になったじゃねーかよ!


「何歳に見える?」


 キャバ嬢みたいに聞いてきたー!

 ネコはツンデレか?


「あ、えーと、自分と同じくらいですかね?26歳くらいですか?」

「知りたきゃ自分で調べろ。それがこの会社(ピース)のやり方だ。他のメンバーに聞いても同じ事を言われるぞ?」

「では、皆さん秘密主義ということですか?」

「ヒヨッコくん…だっけ?」

「いえ、新人くんです」

「言いにくいから、ヒヨッコで!」


 勝手に改名された…

 まぁいいが、この人と話すと疲れるな

 しかも、ずっとビデオカメラ構えててこっち見ないし…


「あのー、今から何をしたらいいんですか?」

「浮気調査だ、助手席の後ろのポケットに資料あるから見てろ。」


 オレはA4のプリント用紙が数枚ホッチキスで留められた資料を取り出して閲覧する。

 そこには、案件名[T区 比羅田(ひらた)]と書かれていて、対象者、二対象者、対象者車輌、対象者自宅、二対象者自宅、対象者勤務先のそれぞれの写真がプリントされている。

「この人が浮気しているんですか?」

 オレは対象者の顔写真を指差してネコに質問する。

「それを調べるのが仕事だろ」

「そうですよね」

「でも、十中八九浮気してるぞ」

「どうしてわかるんですか?」

「ヒヨッコは質問多いな。そう言えば頑張るタイプか。おれの苦手なタイプだな。依頼者がなぜ探偵に依頼するか考えてみろ」


 え?浮気してるから?

 そんな簡単な答えでいいのか?


「そもそも依頼者って誰ですか? 資料に出ていませんね」

「おれは調査員だ。仕事を取ってくるのはボス。依頼者とのコンタクトはなしだ。だがそんなこと頼むのは奥さんしかいないだろ?」

「なら、奥さんは浮気しているのを分かっているのに探偵に頼んだってことですか?」

「そうなるな」

「なんでですか?」

「ヒヨッコさー、いちいちうるさいんだけど! 少し考えればわかるじゃん? 見学だけって言ってたんだから少しだまれよ」


 確かに見学だけと言われたが、気になるから聞いただけじゃん!

 こいつ腹立つわー。

 あの会社はこんなやつばっかなん?

 やっていける自信ねーぞ!


「ヒヨッコ今辞めたいと思ったろ?」

「(こいつもカッパ同様の妖怪の類いか?)いえ、まだ大丈夫です」

「探偵は甘くないぞ、こんなことで辞めたいと思うならお前の胃が持たないぞ?」


 仕事うんぬんより、お前のせいでこうなってるんだよ!

 まじ、こいつとは合わない!

 もう分からないことがあったらカッパに聞けばいい。

 こいつに話し掛けるのはやめだ!

 これは沈黙との戦い、そうなんだ!


「動くぞ」

 ネコがボソッと呟く。

 オレはこいつとの沈黙を決意したので無言で対象者自宅を見る。


 対象者が男の子と自宅前に出て来て、キャッチボールをする。

 子供と父親の微笑ましい心温まる日常が、双方の笑顔から伝わってくる。


 この子煩悩な父親が浮気とか絶対にありえないぞ。

 あんな笑顔を見せる人が家族を裏切るはずがない!

 ネコもそう思ったはずだ!

 あれ?そういえば、こいつは何で出てくるのが分かったんだ?

 少し遅れてオレが確認した時にはまだ玄関のドアが開いた瞬間だったぞ。

 まぁ、いい。後でカッパに聞いてみよう、こいつとは話さないと決めたんだ。


 30分くらいだろうか、対象者は子供とのキャッチボールを終えて、二人で家の中に入っていく。


「ヒヨッコ、運転出来るか?」

「え、はい、免許持ってますよ」

「運転席に行け、早く!」

 オレは車の天井に頭をぶつけながら急いで運転席へ移動する。

「スターターでエンジンを付けたぞ、対象者車輌を見ろ。排気ガスが出てるだろ?」

「あんなのよく気付きましたね」

「エンジンかけろ、動いたら尾行するぞ」


 ちょ!尾行って!

 初めてなんですけど!!

 やべー、超ドキドキしてきた!





ブックマークしてくれた方ありがとうございます!

自分も頑張るタイプなのでやる気でます(笑)

感想欄も活用して交流もしていきたいので是非ともどうぞ!

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