俺が教師になったワケ
俺は今、教室の扉の前に立っている。
それも教師として
俺は高校の時、不良だった。
同級生が昨日のテレビだの誰と誰が付き合ってるだのの会話に吐き気がして、教室で同じ空気を吸ってるだけで肺が腐ってく気がした。
学校から出たことがない教師に世間を厳しさを語られ、侮辱された。
全てがどうでもよかった。
総てが灰色だった。
ぐだぐだ流れてく日常に絶望する。
汚くて、薄汚れて、無駄に頑丈で、なんの意味もない世界。
君に会ったのは、確か俺がコンビニで酒パクってるときだった。
今でも覚えてる。
「なにしてんのこのバカ!!」
初対面で、身長も体格もある俺に、君は小さな体を震わせながら怒声を浴びせた。
それが出会いだった。
まさか同じ高校で、しかも隣の席だったときは驚いたよ。
「世の中はくだらないと思うかもしれないけど、そこであえて生きるのが人生だよ。」
「どんな人にも、きっとどこかに好きになれる場所がある。君にそれを探す気がないだけ。」
君の言葉が俺に光をくれた。
暗闇の中震えてた俺を、優しく包んでくれたね。
俺は学校に戻った。
軽蔑したり、悪意を向けてくる奴もいたけど悪くない場所だって思えた。
いい奴も中にはいる。
友達と呼べる奴も出来た。
俺は、君に思いを伝えた。
出会えて良かったこと、感謝していること、そして君を愛しいと思っていること。
本当に緊張した。
あんなに緊張したのは人生で初めてだったよ。
だから、
「ありがとう。私も好き。」
その言葉は、本当に嬉しくて、今でもハッキリ思い出せる。
「私は、みんなを、生徒みんなを救えるような、そんな教師になりたい。」
そう言って、教師への道に迷いなんてなかった君。
俺は笑いながら似合わねぇって言ったけど、君なら絶対なれるって信じてた。
そして、そんな教師になった君と、何したいかまだわからないけど俺が、いつまでも二人で居られるって信じてた。
信じてたのに…。
病院のベッドの上でやつれていく君。
俺は何も出来なくて、でも側にいたくて、だけど学校に行けって怒った君。
だけど、絶対に側から離れない俺に
「仕方ないなぁ。」
って苦笑した君。
俺にはそれしか出来なくて
ただそれが悔しくて…
悲しくて…
辛くて…
「忘れないでね。君は決して一人じゃない。」
と、手を握ってくれた君のぬくもり
「私は幸せ者だな。だって大好きな人の側で死ねるんだもん。」
と言って笑った笑顔
「今まで本当にありがとう。本当に本当に本当に大好きだよ。」
そう言ってキスした君の唇のぬくもり
俺は決して忘れない。
一生、いや死んでも忘れない。
「君は生きて。私の変わりじゃなく君として生きて。私は大好きな君に生きて欲しい。辛いかもしれないけど、私は愛してる君に生きて行って欲しい。」
俺は生きるよ。
君の変わりじゃない。
俺は俺として、俺のやりたい事をする。
決意を胸に
教室のドアを開けた。




