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裏世界はゲームで出来ていた  作者: 神山 リョウイ
10/12

ゲーム開始 Ⅴ

広樹はそのネバネバした黒い物を取ろうとあたりの壁で手を擦る。取るのに必死だった広樹は後ろに居たものに気づかなかった。

その時泥人間の焦った声が聞こえた。


「……っ! 広樹さん!」


その瞬間広樹は横から大きなもので殴られ吹っ飛ばされてしまったのだ。ドラゴンの体が首がとれた状態で動いていた。

液体に足を取られた泥人間は消えた。広樹は急いで宙に浮き、もう一度剣に力を込めた。次は本当に殺すようにと。


剣は赤紫色の光を放つ。広樹は思い切りドラゴンの体に剣を振り下ろした。

だが体はそう簡単に切ることができない。

ぐっと力を込め、ドラゴンに剣を当てた。だが、ドラゴンから出る液体が剣までも溶かして行く。

広樹には手の打ちようが無かった。

今泥人間を呼んでも死んでしまうだけ、泥人間は飛ぶことができない。イラついた広樹は舌打ちをしてドラゴンを睨み叫んだ。



「さっさと消えろ!」


そう言った瞬間、ドラゴンは姿を消した。だが頭はまだ溶けかかったまま残っている。それに液体も床にあふれていた。広樹は宙に浮いたまま、前に進むことにした。少し行くと液体も無くなり、光が差していた。



「出口かな」


そう呟いて地面に降りる。ゆっくりと光のある方へ近づいていく。なんだか少し奇妙だ。出口なら普通明るい光が射すはずだろう。それなのに黒と言うか紫という感じの光が見えている。


光が出ているのはものすごく大きな壁についている小さな穴のようなからだった。広樹は眉間に皺を寄せ、穴から中を覗き込もうとした。だが何も見えない。近づけて目を見開いても、目を凝らしてもやっばり何も見えないのだ。


「可笑しい」

広樹は一人で呟き他の光を探した。あたりは薄暗く、光はその鍵穴から出ているものだけだった。


深呼吸をして光を出す魔法を使う。

もう自分の物のように自由自在に魔法を使うことができる。

明るい電気スタンドのようなものが広樹を照らした。途端に押と書いたボタンが見えた。


広樹は一人でボタンを押すのが不安だったのか、押す前に赤い笛を二回吹き泥人間を呼んだ。笛を吹くとすぐさま現れた。



「このボタン押していいと思う?」

そう聞くと泥人間は目を見開いて言った。

「とうとうここにたどり着いたんですね。信じてました。

ここを押す前に他にも今残っている仲間を全員呼んでください」

「え? どういうことだ?」

「ここから先は私たちの助けなしではいけないので」

「へぇ、なんで?」

「私たちは夕陽がどこに閉じ込められたのかと、その状況をモニターのようなもので見せられていました。そしてこの先にあるのが時計が動かされている中心です。そこに夕陽さんは居ます」

広樹は何が何だかわからなくて、首をかしげた。


泥人間を犠牲にしてはいけないとそう思ったことが何度かある。それに今はみんなを助けたいという気持ちがすごく強くなっていたのだ。

だが、泥人間は俺の目を見て視線を一切外さずに言った。


「私達の力がないとあなたはダイヤに辿り着けない。ダイヤを取り返せるのはもう貴方しか居ないんです」


広樹は静かに頷くしかなかった。

そして笛をくわえ何十回も吹いた。残り四十人位だろうか、泥人間が集まった。


「広樹さん、魔法は使えますか?」

「まぁ使えるけど」

「それなら話は早いです。何か布のようなものに包まってください」

「どうやって?」

「魔法で布を出すんです」

「……やってみる」


広樹は手を前に出し目を瞑った。

泥人間たちの驚く声が聞こえ目を開けるとそこには広樹の背丈より少し大きな布があった。水には強そうな硬い布。


「みなさんこれで広樹さんを包みましょう。ボタンを押した途端、何処か違うところへ移動します。消して布からは出ないでください」

泥人間はそれだけ言うと広樹を布で包み始めた。ボタンは誰が押すのだろうか。

広樹のそんな気持ちを読み取ったかのように泥人間は言った。

「もう一度魔法を使うんです。そこのボタンを押す想像をしてください」

「……わかった。やってみる」


広樹は布でぐるぐる巻きにされた。少し苦しいが再び目を閉じてボタンを押した。


その瞬間床は抜け、周りにいた泥人間は広樹の周りにべったりとくっつきながら下へと落ちていった。



下まで落ちた時、ぐちゃっと布の中に泥のような物が入った。いや間違いなく泥だろう。広樹は言われた通りにじっと布の中で無事にダイヤへたどり着くことを願った。


途中に聞こえてくる泥人間の苦しむ声、辛そうな息遣いが広樹の心を締め付けた。



「ごめん……ごめんみんな」

布の中で自分の服を掴み小さな声で謝る。

早くダイヤのところまでついてくれ。

早くこの苦しみを終わらせてくれ。


「ひろ、きさん……もうす……ぐ、ですから」

泥人間はもう少なくなっているだろう。

みんなの声は次第に小さくなり聞こえなくなっていく。


しばらく静かな時間が続いた。

そして一人の泥人間が広樹が包まっていた布を開いた。


「広樹さん、もう大丈夫ですよ。この先が最後の問題が出るところです。必ず正解してくださいね。信じてますから……」


その言葉を最後に泥人間は溶けてなくなっていった。全員泥の中へと紛れ込んだようだった。俺はほとんど変わりなくダイヤがあるであろう入り口へと向かう。



また暗い道が続く中、ゆっくりと歩く。広樹の足音が響いている。

再び光が見えてくる前に見た紫色の光だ。

無意識でその光の方へと広樹は走っていった。近づいていくにつれ光は強くなる。



広樹は部屋のようなところへと出た。

そこには一面紫色になっていた。部屋の真ん中にはキラキラと輝いているダイヤが置かれていた。

「……あった!!」

広樹はついに紫のダイヤを見つけたのだ。

嬉しそうにすぐに取ろうと手を伸ばすと何かに手が当たった。透明な綺麗なガラスのケースでダイヤは守られていた。


広樹が取るのを失敗した瞬間、あたりは真っ暗になりスクリーンのようなものが出てきた。

ガタガタと大きな音を立てて出てくる。

地面が大きく揺れ、広樹は立っていられなくなり後ろへと倒れこんだ。

スクリーンが広樹の前に出され、そこには文字が映っていた。



「よくここまでたどり着いたな、最終問題だ。


質問の答えに正しいものを選べ。

一度でも間違えればお前は二度と元の世界へ戻れなくなる。


問題数はたったの一門だ。


問題 : この世界を作ったのは次のうち誰?


一番、川田裕翔

二番、清水魁斗

三番、川上雅樹

四番、川上広樹


制限時間はない。ゆっくり考えるといい」




広樹は目を見開いて少し固まった。

なぜならそこには広樹の名前と広樹の父親の名前が書かれていたのだから。







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