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通貨
この世界において銀貨一枚が大よそ千円の価値と考えていいだろう。
一般的な冒険者にとって、銀貨一枚は一日分の食費を賄えるだけの価値があった。尚、スラムや下層階級では五日分か或いはそれ以上の価値である。
底辺に位置する人々が圧倒的多数であることを考えれば、冒険者として成功するのが豊かさへの近道かもしれない。一獲千金の夢を抱いて王都サイスに人が集まるのは道理なのである。
貨幣価値は地域によって誤差はあるが、銅貨百枚で銀貨一枚に相当し、銀貨百枚が金貨一枚に相当する。銀貨百枚と金貨一枚を並べたとき、厳密にはこの二つは同価値ではなく、金貨一枚の方が価値がある。
日常的な取引で使用する貨幣は銅貨、銀貨が主流であり、金貨は信用としての担保や褒美として下賜されるため、市場に流通することは余りない。
それだけ金には希少価値がある。