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転生チート?オンライン  作者: しぶすん
アナザーワールド
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「なんか……本当に僕がこんな装備を買っていいのか不安になってきた……」



ライトはルナの説明を聞いた上で自らもプロパティ・ウインドウを開き、中身を確認すると苦笑いを浮かべ弱気に呟く。

ネットゲームに関して、ズブの素人だというのにプレイ開始からほんの数時間でどういう訳か超ハイレベルプレイヤー専用の装備を手に入れようとしているなどと、そんな状況に陥るなどとはログイン当初には当然、微塵も思っていなかった。

少なく見積もっても十万を超える他のプレイヤー達が必死にレベルを上げて己を鍛えているというのに、≪転生者≫という、限りなくグレーな手段でもって(いっ)(そく)()びでそれらを飛び越え、高要求ステータスの強力な装備で更にそれらに差をつけるということにどうしても気後れしてしまうのだ。


他のプレイヤー達からしたら「何を(ぜい)(たく)を言うか」となるだろうが、ライトはそんな状況を享受できるほど神経が太く無いし、「どんな手段を使ってでも強くなる」などというネットゲーマーとしては相当殊勝な志を持っているわけではない。

あくまで新参の一ゲーマーとしてこのゲームを楽しみたい程度の考えしかないライトには、これらの装備は「重すぎる」のだ。



「いいじゃない。使えるものは使えば。

……あんまりゲームの暗黒面を教えるのは気が進まないんだけど……

こういうゲームでは私の剣とかライト君の装備みたいなユニーク品は凄く貴重で、奪い合いの対象なの。

ボスモンスターの(ラスト)(アタック)ボーナスを取るために今まで一緒に戦っていた仲間を排除しようと後ろから攻撃したり、クエストの納品アイテムを独り占めするために他のプレイヤーにモンスターをけしかける……(いわ)(ゆる)(モンスター)(プレイヤー)(キル)を仕掛けたり。

そんな奪い合いが常の世界で、こうして自分に合った、いい装備が纏めて手に入る機会っていうのはまず無いことなんだよ?

それは(まぎ)れも無くライト君の運が良かったからで、君にはこの装備達を受け取る正当な権利があると私は思うな。」



そんなライトの(しゅん)(じゅん)を察してか、ルナは柔らかく微笑みかけそう言うと、辺りに視線を巡らせ「それに、こんなごちゃごちゃした物置に眠らされてるのも可哀想でしょ?」と付け足した。



「うん……そうだね。せっかくだし、マリアさんの厚意に甘えさせて貰おうかな」



そう言うと、ライトは白銀の十字架に右手の人差し指を軽く触れさせる。

すると、剣の横に剣の金額と購入するか否かを問うメッセージが表示されたホロ・ウインドウが浮かび上がる。

そしてそのままの勢いで購入ボタンをクリックすると、台座に突き刺さっていた剣はふっと姿を消した。

言わずもがな、ライトのストレージに格納されたのだ。





そしてライトが同じ作業を三回繰り返すと丁度二十万あった所持シルがきっかりゼロになり、並べられていた四つの装備品は全てがその姿を消していた。



「さ、次はいよいよ装備だね。やり方教えるから、着いてきてね?」



ライトが装備品の購入を終え、一つほうと息を吐くとルナがメニュー・ウインドウを可視化させてそう声をかけた。

ライトがウインドウを覗き込むと、ルナは一つ頷き、メインメニューの中から一つのボタンをクリックして見せた。



「まず、メニュー・ウインドウの所持品をタップして、アイテムと装備っていうボタンに分岐するから装備のボタンをクリック。」



ライトはその言葉に倣い自らもウインドウの操作を進めると、分岐した画面の横に人型の図面のようなものが出現した。



「それが装備フィギュア。装備の変更はその画面でやるから忘れちゃダメだよ?

じゃあまずは武器を装備しよっか。フィギュアの右手をクリックしてみて。」



ルナの言葉の通り装備フィギュアの右手部分をクリックすると、左側の何も無い部分にショートソードとパラティウム・クロスと書かれたスクロール窓が表示され、ショートソードの名前の隣には「E」というアルファベットが表示されていた。

このEという記号は、Equipment

じゃあ、もう一つ表示されてるパラティウム・クロスをタップして、右手のところまでドラッグしてみて。」


「ドラッグ……ふぐえっ!?」



指示に従い、パラティウム・クロスをクリックして右手の部分までドラッグすると、しゅわっ!という音と共にライトの背中に吊られていたショートソードが消え、刹那の間に背中に黒皮の鞘に収められた白銀色の剣が現れた。

するとライトの体はあまりにも急激な重さの変化に対処しきれず、後ろにバランスを崩して強かに後頭部を床に叩きつけてしまい、物置にゴン!という鈍い音が響いた。



「………〜〜!?」


「だ、大丈夫!?ライト君!かなり派手にいったけど……」


「……大丈夫。よくよく考えたら痛覚は無いし、街の中ならHPは減らないんでしょ?」



心配そうに駆け寄るルナに右手をひらひらと振ってそう返し、すっと立ち上がる。


街の中ではプレイヤーのHPはシステム的に保護されており、基本的に数字としてのHPが減ることは無い。

だが、少なくとも今の転倒で俺は精神的なHPがグリーンゾーンからイエローゾーンまで半減した。

このまままた何かをやらかして精神的HPを全損させてしまいでもしたら三日は部屋に引き篭もってしまいそうである。



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