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イモパワー

作者: まゆら

ふたつの重なった影は、しだいに、ひとつの影へと変わった。

一緒に歩いて行こうね?

歩いて行こうね?


「初めまして。」

「初めまてまして、イモイモ〜。」

中学に入学した春

初めてのクラスで、初めて話した人は、席の隣に座るの貴方だった。

意味の分からない挨拶に不快感を抱いたけどね、その後私はどうしても、どうしても貴方と仲良くなりたいと願ったの。どうしてだろうね?

やがて席がえの時が来てしまった。

私は真っ直ぐ黒板を見て、貴方の顔を見ないようにした。だって貴方のマヌケな顔を見たら、泣いちゃうもん。

結局私達はまた隣同士になった。その時は笑ったよ、貴方が何か

「イモパワァ〜。」

とか言うんだもん、わけが分からないのと嬉しいのが合体してね。中学の冬

私達仲良くなって、はしゃいで、はしゃいで、クラスでもお似合いカップルになってたんだよ。貴方の近くに居れば暖かくて、冬の寒さは何処かへいっちゃった。

貴方のあの言葉を聞いたのは、クリスマス。

「俺、いつまでもお前と一緒にバカ騒ぎやりたいねん。だから、俺とずっと一緒に居てくれへん?」

嬉しくて、私が泣いたら貴方が私の体を抱き締めてくれて

「イモいのイモいの飛んで行け。」

って言った。何よ、それって意味も聞かずに大爆笑しちゃったの。貴方の胸のなかで、何時間も笑っていたの。この後、この言葉の意味を聞いたら貴方は

「イモが俺の一番好きな食べ物で、食べてるとき幸せだから幸せパワーがあるんだ。」

だって。またいっぱい笑っちゃった。

気付いた頃は終電近く。私達はまた明日ねって言っていつもの様に別れた。


もう二度と貴方に逢えなくなる事を知らずに…


貴方は次の日のカレーの材料に買ったジャガイモが道路に転がっていったから、それを拾いに行って、事故にあったんだって。

馬鹿だよ

貴方馬鹿だよ…

涙は容赦なく流れる。私ね、貴方の言葉に、返事して無いのよ。

「…私がついてなきゃ、全然ダメじゃない…、だからね?ずっと一緒に居てあげるよ。」

一緒に居てあげるのに…。

ね、ジャガイモ買ってきたよ、このジャガイモ、美味しそうでしょう?

私は貴方のほっぺたに、ジャガイモを近付ける。

ね、イモには幸せパワーがあるのよね?

幸せパワー、感じられた?

「世界一、好き。」

ね、幸せパワー、感じられた?


貴方に逢えて幸せな私の気持ち…伝わった?



桜が咲いた。

去年は貴方と共に歩いた並木道。

今は…

でもひとりじゃない。

貴方と約束した、ずっと一緒に居てあげるって。


ふたつに重なっていた影はひとつの影に変わった。

これからは、

貴方とひとつになって、生きるよ。


ね?貴方が言う

イモパワーがね

どうしてだろう?


私の一番近くから感じられるよ…。


幸せパワーが

私の一番近くから、ずっと…



ね、イモパワー

感じたよ!!

ありがとう…

ありがとう!!


私ね、世界で一番

幸せだったよ!!

ごめんなさい…泣

わけわからない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 僕もイモは好きですか。パワーを感じたことはないです。でも、斬新な表現だと思います。
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