お話を聞かせて
俺は美咲のことが大好きだし、成人男性としてエッチな気持ちももちろんある。
でもここは何としても自分を抑えないと。
いや、できるかなー。
「じゃ、じゃあ一緒に」
「うん!」
とにかく二人で風呂場に行った。
自分と美咲の下着とパジャマを用意しておく。
美咲は俺の隣でどんどん脱いで行く。
脱衣所は狭いので、先に美咲を脱がせた。
「……」
「タカちゃん、どうしたの?」
「い、いや」
俺も急いで脱いで風呂場に入った。
美咲の身体は綺麗だった。
身体はちっちゃいが胸はちゃんと出ている。
美咲は恥ずかしがることもなく、全てを曝け出している。
「!」
俺は思わず美咲の身体に手を伸ばした。
肩に触れて美咲を抱き締める。
やっぱり我慢が出来ない!
「タカちゃん?」
「美咲!」
「エッチなことはダメだからね」
「!」
ここでその記憶が出るかぁ!
「うん……しないよ……」
「ね!」
浴室はバスタブに湯を満たしていたので温かかった。
シャワーが温かくなるまで、少し美咲を立たせたまま、その身体に見惚れてしまった。
美咲にシャワーを浴びせ、身体を洗ってやった。
柔らかいタオルで丁寧に全身を洗う。
オッパイやお尻、それに……
俺の頭が自然に熱くなってくる。
視線がくぎ付けになる。
「エッチなことダメだよ?」
「わ、分かってるよ!」
なんで美咲は分かるんだぁ!
でも懸命に自分を抑えた。
美咲を椅子に座らせ、髪の毛を丁寧に洗う。
美咲が気持ちよさそうにしていた。
美咲の髪は肩までの長さだ。
時々それを結っていたが、俺には出来ない。
これから覚えないと。
そうだ、美咲はおしゃれが好きな子だったのだ。
お化粧も覚えようと決意した。
美咲を湯船に入れ、自分も手早く洗って一緒に入った。
「タカちゃん、気持ちいいね!}
「そうだな!」
身体が密着したことでまた欲望を抑えるのに必死だったが。
美咲は目を閉じて微笑んでいる。
広い風呂で良かった。
二人で入っても余裕がある。
風呂から上がりパジャマを着せて、美咲の髪を乾かした。
ドライヤーの温風を浴び、美咲がまた気持ちよさそうな顔になる。
「あ、そうだ!」
風呂上がりに美咲にクリームを塗らなくては。
俺は一度着せたパジャマを脱がせ、クリームを手にとった。
「これ、どのくらいだ?」
美咲は俺を見ている。
まあ、適当でいいか。
俺は掌にチューブを絞り、美咲の背中に拡げた。
優しく摺り込んで行く。
「ま、前も塗ろうな」
「?」
ドキドキしながら美咲の胸にクリームを延ばした。
胸の先端が掌に当たる。
「あ」
美咲がちょっと声を挙げる。
いけない!
俺はすぐにお腹にうつり、足にもクリームを塗った。
最後に両腕に塗り、何とか自分を抑えながら終わった。
「ふー」
美咲は不思議そうな顔をして自分の匂いを嗅いだ。
「いい匂いね!」
「そうだな」
美咲の匂いだった。
やっぱり、このクリームの香りだったのだ。
俺はまたパジャマを着せて一緒に寝室へ行った。
ベッドはキングサイズにしているので、二人で横になっても随分と広い。
美咲が大きなベッドで喜んだ。
「おっきいね!」
「さあ、美咲、眠ろう」
「何か読んで」
「え?」
そうか、子供の頃の美咲はお母さんに寝る前に本を読んでもらっていたのかもしれない。
でも生憎ここには子供に読み聞かせるような本が無い。
「ごめんな。明日は用意するから、今日は俺の話でいいかな?」
「うん! タカちゃんのお話!」
美咲が喜んで俺に身体をくっつけてきた。
先ほどのクリームの良い香りがする。
美咲への愛おしさが募る。
「ある時、おじいさんとおばあさんがいました」
「うん」
「おじいさんは山に芝刈りに」
「え、どこの山?」
「香川県のウスラ山」
「そっか」
どこだよ、それ。
適当に話を作った。
「おばあさんが川に洗濯に行くと」
「洗濯機は?」
「そこにあったんだよ」
「ふーん」
「すごく広い家なんだ」
「そっか」
どうしよう。
こいつはただの幼児じゃない。
大人美咲の余計な知識が邪魔をしやがる。
ええい、もう適当にやるぞ。
「川の向こうから、大きなスイカが流れて来ました」
「え、モモじゃないの?」
「俺はスイカが好きなんだ」
「タカちゃん、昔からそうだったね」
「そうだろ?」
「私も好き!」
「そうか」
話が進まねぇ。
「おばあさんの目の前でスイカが割れました」
「へぇ」
「すると中から隕石魔獣スイカマンが飛び出て来ました」
「えぇ!」
「でも大丈夫、おじいさんが隕石レーダーを見ていたので、すぐにおばあさんの危機を察知しました」
「はやくぅ!」
「スーパージェットバイクに乗って、おじいさんは山を駆け下ります」
「いそいでぇー!」
「でも途中に隕石魔獣スイカマンの手下がたちふさがります」
「なんでぇ!」
なんでだかな。
俺ももう分からん。
「でも大丈夫、息子のモモテツマンがかけつけました」
「ん?」
「ちなみに電車で来ました」
「そうなんだ」
「阪急淡路線から乗り継いでな」
「ふーん」
「モモテツマンは転生してスライムになってる」
「そーなんだ」
「クモ子とも仲いいんだよ」
「クモ子?」
「一時はアインズ・ウール・ゴウンとも戦ったのね」
「ほぇー」
「どんな怪人もワンパンなんだ」
「すごいね」
「モモテツマンはチェーンソウでスイカマンを両断しました」
「やったね!」
「おじいさんも敵を斃してきて、三人で美味しくスイカをいただきました」
「よかったね!」
「な!」
……なんちゅう話だ。
美咲の頭を撫でていると、すぐに寝息を立てた。
美咲の体温が温かい。
明日はちゃんとした絵本を買って来よう。
俺に創作の才能は無いのが分かった。




