第27話
9月末、そういえば、もうすぐ文化祭がある。
毎年、バンドによるライブ、学祭ライブがあるはずだ。
とりあえずツーマンライブも決まったが、学校のイベントにも出てみたいというのが正直な気持ちだった。
「灯火ー、学祭ライブ出てみたくない?」
「雪兎が出たいなら出る」
灯火は俺の決定に委ねるようだった。
まあ他のメンバーも断ることはないだろうが一応聞いておこう。
お昼休みに、まずは未来のクラスに向かう。
「おーい、未来ー」とクラスをのぞき込むと、
「未来ー!センパイが来てくれたよー!」
「雪兎センパイ!どうしたんですか、わざわざ会いに来てくれるなんて!」
「やっとわたしの魅力に気づいてくれたんですね!」
未来は体をくねらせて、そんなこと言う。
あの、学祭ライブを伝えに来ただけなんだが……。
「あの、学祭ライブのことでちょっと聞きに来ただけなんだけど」
「……はぁ、雪兎センパイはもっと女心を知るべきです!」
怒られてしまった。だって、俺は男の子だもの。
「じゃなくて、未来は学祭ライブ出る気ある?」
「もちろんじゃないですか!絶対出たいです!」
未来も参加希望っと。あとは天音か、気の小さい天音が学校のイベントに参加したがるかな?
でも高槻フェスはもっと凄かったしな、まあ一応聞きにいくか。
「おーい、天音ー」と天音のクラスをのぞき込むと、
「天音ちゃん!せんぱい来てるよ!きゃー!」
「あ、ゆ、ゆきとさん、どうしたんですか?」
なんか天音のクラスメイトがきゃーきゃー盛り上がってる。
なんだ、俺がなんかしてしまったのだろうか?
服は、着てる。下のチャック、大丈夫だ。OK、何も問題はない。
「あー、学祭ライブどうしよっかなーって思って」
「あ、あの、私は出たいです。というか初めから出るものかと思ってました」
それじゃあ満場一致ということで、学祭ライブに参加しますかっ!
俺は学祭ライブに向けて気合を入れるのであった。
俺たちの学校の学祭は学外にも公開はしているのだが、チケット制になっている。
生徒が呼びたい人がいる場合、学校側に申請し、許可をもらってチケットを受け取ることができる。
もちろんチケットがない人は入ることができない。
不特定多数の人たちが集まると、どうしても問題が発生する危険がある。防犯的な意味でもこういった制度になっているのだ。
まあそれでも不正に入ってくる輩はいるのだが、近年何か大きな問題があったとは聞いていない。まあ大丈夫だろう。
俺は父さん、日和さん、あとはどうしても行きたいと言われたバイト先の九条先輩、
そしてもう1枚、来てくれるか分からないが一応、と思い4人分のチケットを確保した。
父さんは学祭に行きたいといって、スケジュールを調整し日本に帰ってくるようだった。
日和さんも、仕事は忙しいが必ず行くと約束してくれた。
九条先輩に渡すと泣いて喜んでくれた。
どうやらミミさんの熱狂的なファンらしい、なんなんだこの人は。
……そして、俺はもう1人見に来てほしい人がいた。
俺は決心を決めて、ある学校に向かう。30分ほど待っていただろうか。
神宮司さんと生徒会長?が正門から出てきた。
「あなたはこの間の……」
生徒会長?が俺に気づいたようだ。
また、拒絶されるだろうか?いや、そんなことは知ったことはない。
俺はすばやく神宮司さんに近寄ってチケットを渡す。
「神宮司さん!学祭ライブ、見に来て!」
「本当にもう興味がないなら来なくてもいい!でも少しでも気持ちが残っているのなら、絶対に来て!」
俺はそう言い残して、自分の家へと帰るのであった。




