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バンドで紡ぐイロトリドリノ音(Heavenly Light)  作者: 緋色
第2幕 一握りの勇気をボーカリストに
12/32

第12話

「おつかれっしたー!」

バイトが終わり挨拶をしてバイト先を後にする。


「~~~ぁ~」


帰り道、何か歌声が聞こえた気がした。

普段なら気にも留めないのだが、その歌が俺の作った曲に似ていたのだ。


その声は近所の公園から聞こえてきた。

ブランコに座った女の子からその歌は聞こえていた


髪は長くキャップを深く被っている。

透き通るような歌声、さらにいえば少し離れていたとしても聞こえるくらいよく通る声だ。


近づいてみると曲がはっきりと聞こえるようになってきた。

やっぱりこの曲、俺の曲だ。


自分の曲を歌ってくれていてうれしかったのか、

気づいたら隣のブランコに座っていた。


しばらく聞き入っていたのだが、

サビにさしかかると同時に、我慢できずに俺も歌いだしてしまった。


「ら~ぁ~ぁ~」「ら~ぁ~ぁ~」


2人の歌声が重なり静かな公園に響き渡る。

楽しい、こんな気持ちになったのは久しぶりだ。


ライブをしている時に感じる高揚感に似ている。

このまま歌い続けていたい、そう思いながらも、曲が終わった。

 

「その歌、未来愛歌だよな」

「……なんですか?新手のナンパですか、丁重にお断りさせていただきます」


この子、よく見るとめちゃくちゃ可愛い。キャップを深くかぶってはいるが、長くきれいな髪に不意に見えたぱっちりとした目。

かなりモテる部類だろう、幼さの中にも可愛いと綺麗が混在しているような。


女の子は俺から離れるようにして、じとーっとした目で俺を見ている。

警戒心丸出しのネコのようだが、まあ見ず知らずの男が隣に座った時点で下心があると思うのは当然だろう。


知らない男がいきなり声をかけてきたのだ、まさしくナンパではないか。

俺は無自覚ナンパやろうだったのか。


「じゃなくて、その曲どこで聞いたの?」


「んー、ライブハウスですかね」


この曲をやったのは昨年度末の日和さん卒業ライブだけだ。

この子はその時に来ていたってことだよな。


そんなことを考えていると、女の子が警戒を解いて話しかけてきた。


「あははっ、冗談ですよ、天宮センパイっ」


「え、俺のこと知ってるのか?しかもセンパイっていうのは?」


自慢じゃないが学校で俺は陰キャでモブキャラだ。こんな可愛い後輩に知られているような人間ではない。

自分で言ってて悲しくなってくる。


「ライブハウスで聞いたって言いましたよね?」

「3月末のライブハウス・ラズベリー、わたしそこにいました」

「それに、センパイ高槻高校ですよね?わたしそこの新入生なので、せ、ん、ぱ、い」


そういうことか、高校の後輩でライブハウスまで来てくれていたと。


まあ観客のことを細かく覚えているわけではないので、俺の記憶にないのも当然だろう。


「そうだったのか、納得した」

「というかさっきの歌声、歌うまいんだな」


「いやがらせですか?天宮センパイに褒められると微妙にばかにされているような」

「なんでだよ」

なぜ、俺が褒めるといやがらせになるのか、まったくもって意味がわからない。


「だって、センパイめちゃくちゃうまいじゃないですか、ライブでも歌ってますし」


褒められた、だめだ、めっちゃうれしい。顔が緩んでにやにやしてしまっている気がする。


「……あのですね、顔が気持ち悪いです」


褒めてから落とされた、ショックだ。


「でも本当にうまいですよね」


「まあ、昔から歌ってたからなー、完全に独学だけど人並程度には歌えるとは思ってるよ」

「君のほうこそかなりいい声してるよね、うまいだけじゃなくてよく通る」

「ライブで歌うとすごい映えそう」


「そうだ!今度学校で歌ってみないか?」


ちょうど中庭ライブの話をしていたところだ、まあメンバーはいないので俺がアコギでもやるか。

俺は一応アコギも弾ける、作曲用にはギターのほうが都合がいいため、ベースの傍らギターも触っている。


まあ、聞かせられるレベルかというとそれはあまり自信はないのだが。

この子となら弾き語りでもなかなかいいパフォーマンスが出来そうな気がした。


灯火に関してもカホンがある、迫力には欠けるが弾き語りで演奏する分には問題ない。

「まあライブというか弾き語りみたいになるけど」

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