廃れた栄光
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《コンド視点》
神殿の扉は、宝珠を翳した途端、
まるで息を吸い込むように静かに開いた。
重厚な石扉が勝手に動き出す光景というのは、
初見であれば相当驚くはずだが──
「近づいたら勝手に開いた。
中は暗かったから足元気をつけろよ」
……と、リハイトから事前に“アロマルム様の神殿”の様子を聞いていたおかげで、予想の範囲内ではあった。
……とはいえ、警戒心が消えるわけではない。
彼等がアロマルム様から課された試練は、
“増え続ける魔物をすべて殲滅する”という、
到底易しいとは言えない内容だったらしい。
もし、そんなものがいきなり始まったら──
探偵を連れている今はなおさら、厄介だ。
英雄力の覚醒。
これが少しでも円滑に進めばいいのだが……。
胸の奥で形の定まらない不安が揺れる。
「……。」
それでも、表情には出さないよう努めた。
探偵は、というと……
興味深げに神殿の内部を見回している。
白い光が差し込む回廊に、彼女の髪がふわりと揺れた。
こんな時に、
余計な不安を与えるわけにはいかない。
「……よし」
僕は深く息を吸い、なるべく落ち着いた足取りで
彼女を連れて神殿の中へ進んだ。
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「っ……」
「うわ……やっぱり眩しい!」
暗闇を抜けた先に広がっていたのは、
思わず言葉を失うほどの――
「あ、あれ……?」
なんとも殺風景な空間が広がっていた。
探偵曰く、アロマルム様の神殿も同じ造りだったらしく……その時も長い暗闇の道を延々と歩かされたという。
暗い場所が苦手というわけではないが……
あの道を率先して通りたいとは、やはり思えない。
「それにしても……本当に何もない。
……なんだか、寂しい場所だ」
独り言のつもりでごく小さく漏らした声は、
自分でもわかるほど無防備なものだった。
今のは加護神様に対して、
少し…不敬だったかもしれない。
すぐに反省し、これ以上余計なことを口にしないよう急いで口を閉ざした。─────その時だった。
「うん、まったくその通りだよ。
こちらとしては、もう少し“くつろげる”空間を用意してほしいくらいだ」
背後から、"僕達のものではない"……
落ち着いた声が響いた。
「あぁもっとも……帝国の民達が、
既に亡き者である僕の為に
そんな気の利いた真似をするはずもないけれどね?」
「……え」
僕は、すぐには振り向けなかった。
「……?」
恐る恐る隣の探偵へ視線を寄せると、
彼女はすでに声の主と対峙していた。
その声を――いや、その人物を。
僕は……確かに、知っている。
でも、なぜ? どうして、貴方がここに……?
胸の内に渦巻く衝動を、
必死に心の中へ押し込める。
深く……深く息を吸い込んで、
震えを抑えるようにゆっくりと後ろを振り返った。
「ご機嫌麗しゅう、御客人?」
そこにいたのは、
涼しいほど穏やかな顔で佇む人物……。
目を引くバーミリオンの髪、若草色の澄んだ瞳。
あぁ……忘れようがない――忘れられるわけがない。
ここにいるはずのない人。
もう二度と会えないはずだった、僕の――
「リー…タクト、さん……?」
「やあ。久しいね、コンド」
僕の従叔父。
そして僕がずっと憧れてきた人。
エデンカル帝国“前”皇帝─────
リータクト・アラエル・クトール・エデンカルが
生前と変わらぬ姿で、そこに立っていた。
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「いやぁ……本当に大きくなったね、コンド」
従叔父はそう言いながら、十年前よりずっと背の伸びた僕の頭をポフ、ポフ、と軽く叩いた。
……昔も、よくこうしてくれたな。
その懐かしさが胸の奥を温かくして、
同時に涙が込み上げる。
あぁ…嬉しい――本当に嬉しい。
でも、こんな形で再会するなんて
思ってもみなかった。
「どうして……リータクトさんが、ここに?」
ようやく絞り出したのはそれだけ。
他にもっと言いたい言葉は沢山あったはずなのに。
「ん〜、簡単に言うと……
僕は加護神として、魂を“喚び戻された”んだ」
「喚び戻された……?」
従叔父の手は、なかなか僕の頭から離れない。
けど正直、離れてほしくない。
我ながらまだ子どもだ、と自嘲してしまう。
でも探偵が横にいると思うと、
どうにもむず痒い……。
だから気まずくて
盗み見るように彼女を見ると、
「こ、こ……子ども……」
「あ……ごめん探偵。確かに今のは幼稚すぎたよね。
従叔父さんに会えたのが嬉しくて……つい」
気がつくと探偵が目を丸くして僕らを見ていた。
年下の子に“子どもっぽい”と思われるなんて……
少し…いや、かなり恥ずかしい。
……駄目だ。
僕は皇族なのだから、弱さなど見せず、
完璧な大人でいなければ――
そう思って従叔父からそっと距離を取ると、
探偵は僕ではなく、彼を凝視していた。
「探偵……?」
様子がおかしいので声をかけると、
彼女は従叔父を見たまま、突然叫んだ。
「コンドの従叔父さんって……子どもだったの?!」
「……へ?」
間抜けな声が出た。
一瞬、何を言われたのかわからなかった。
僕が困惑する中、従叔父はすまし顔で微笑む。
「子ども……あぁ、確かに。今のコンドと同じか、
それより下かもしれないね、年齢」
「えっ、そうだったの?!私てっきり……コンドとユーゴさんの間ぐらいだと思ってた!」
───あぁなるほど!
探偵の言葉を聞いてようやく腑に落ちた。
彼女が云う“子ども”とは、
従叔父の容姿のことだったのだ。
探偵が"子ども"だと感じたのは、
彼が僕と変わらないほど幼い……若い容姿をしていたからだろう。
探偵には言っていなかったが、
従叔父は僅か八歳という若さで皇帝となった
"歴代最年少の皇帝"だった。
子どもだからと周りに頼りきらないで、何もかもそつなくこなす彼に、憧れの念を抱かずにはいられなかったのを……今でもよく、覚えている。
……思い出したくはないが、亡くなった十年前、
従叔父は今の僕と同じ十五歳だった。
「君のことは知ってるよ、探偵。
一応自己紹介しておくと、
僕はリータクト・アラエル・クトール・エデンカル。
よろしくね」
「は、はい!よろしくです……リータクト様。
うわぁ…皇帝って名前が長いんですね……!
もっとシンプルにリータクト・クトールとかじゃないんだぁ」
僕が従叔父の功績を思い返していると、いつの間にか彼と探偵が名前について話し始めていた。
「長い、か……。
皇族は名前の最後に治める国名がつくからね。
コンドだって“コンド・アズラーイール・クトール・エデンカル”だし」
「なんて?」
従叔父が当然のように口にした僕の名を、
探偵は聞き取れなかったらしい。
僕が代わりに言おうとすると――
「えっと、コンド・アズラーイール……」
「待って、その“アズラーイール”って何?
なんかそれ、会議の時も聞いた気がするけど……どこから来たの?」
……完全に遮られた。
すかさず従叔父が口を開く。
「ああ、それは“アニマ”だね」
彼は柔らかな声色でそう言うと、
どこか…懐かしむように目を細めた。
「アニ…?アニマ?」
「アニマとは“魂の名”のことだよ。
この世界に生まれ落ちる者は皆、一つだけ授かるんだ」
簡潔で美しい説明だが、
その語り口には、“慎重に言葉を選んだ気配”が僅かにある。
「魂の名?」
それを聞いた探偵は更に首を傾げていた。
だ…大丈夫だろうか、その角度……。
「…なんでそんなものが?」
彼女の問いに、
従叔父は一瞬だけ視線を宙に彷徨わせた。
「……さぁね?細かい理は、
僕らのような凡人には計りかねるよ」
“僕らのような凡人”――
皇族が使うと、どこか詩的な遠回しさになる言い回しだ。
知っていながら語らない者特有の、品の良い断り方でもある。
「古くから、“創造神の御心によるもの”
とだけ伝えられている。
ただ、創られた目的については諸説あってね。
芸術を尊ぶ心、とか……
この星の生命に宿る“色”を象徴するため、とか。
まぁ……どれも推測の域を出ないけれど」
そこまで言うと従叔父は微笑み、
それ以上は掘り下げさせないよう上品に話を締めた。
どうやらこれ以上アニマについて語る気は無さそうだ。
「探偵……アニマのことはレインに聞いてみて。
きっと“使い方”も教えてくれるから」
「使い方……?」
どうやら探偵は、アニマを“使う”ものだとは思っていなかったらしい…。
僕の言葉にも大きく首を傾げていた。…けど、彼女の魔法の先生であるレインなら、的確に説明してくれるはずだ。
……うん。
だからひとまず、ここは丸投げしてしまおう。
…………ごめん、レイン。
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《探偵視点》
コンドと彼の従叔父、リータクト様は、
身内らしい柔らかな空気で談笑していた。
さっきまで「加護神様と話すなんて恐れ多い…」と
そわそわしていたコンドが、相手がリータクト様だと気づいた途端に子どもみたいにはしゃいでいるのが、少し……微笑ましい。
二人の会話に水を差すのも悪いので、
私にしては珍しく、部屋の隅で空気を読んでいた。
「探偵ー!」
やがて、昼が近づく頃――
ようやくコンドとリータクト様が私を呼んだ。
「ごめん。つい話し込んじゃって…」
「ううん、気にしないで!
憧れの人が相手なら、誰だって夢中になるよ」
コンドの申し訳なさそうな顔に、私は軽く笑って返す。
そしてリータクト様のほうへ向き直った。
ここからが本題だ。
「お話が終わったってことは……
いよいよ次の“試練”ですね、神様!」
コンドと一緒に少し緊張しながら向き合った私に、
リータクト様は、何故か深い溜息を吐いた。
「はぁ……そう、だったね……」
見る間に元気をなくし……無気力な空気を纏いだした彼の身体を、コンドは心配そうに支える。
「従叔父さん? だ、大丈夫?
顔色が良くない…ような……」
さっきまで“コンドに会えて嬉しい”と表情を綻ばせていたリータクト様が、今は一転……。
まるで嫌で嫌でしょうがないと言わんばかりの表情になってしまった。
そうして暫く、
そのまま気怠げに項垂れていた彼だが、
やがて顔を上げ「大丈夫、一応神だから体調は崩さないよ」とだけ告げた。
へぇ……神様って便利なんだな……
───って、あぁ…また余計なこと考えてしまった。
「試練ね……うーん……そうだなぁ」
リータクト様はどこか投げやりな声でそう呟くと、
神殿の出窓のような広い板張りの場所へゆっくり歩み、腰を下ろした。
「えっ……もしかして今、内容考えてます?」
「うん。僕、加護神になったの最近だからね。
準備期間なんて、ほとんど無かったんだよ」
私が聞くと、
返ってきたのは淡々とした返事…。
ん〜……でもなるほど。
十年前に亡くなったばかりなら、“神歴”はまだ浅いのかもしれない。
なんて、そんなことを考えていると――
「こんな帝国のために……」
ぽつりと零れた小さな声が耳に届いた。
後半はよく聞こえなかったけど、
確かに……今、リータクト様は“こんな帝国”と言った。
え……? 幻聴? いや、今確かに……。
彼はコンドが“国民を愛する皇帝だった”と
尊敬していたはずの前皇帝陛下。
……だが、目の前のリータクト様は、
その像とは明らかに違う陰を湛えている。
気づけば、彼はまた涼しげな表情に戻っていたが、
試練を考える様子にはどうにも覇気がない。
そこには、まるで――
帝国など、もうどうでもいいと……そう言いたげな無関心ささえ漂っていた。
「いま…今の……“こんな帝国”って……
り、従叔父さん……?」
隣を見ると、コンドは私以上に困惑している。
尊敬していた人の変化に、動揺を隠せないのだろう。
「あぁごめんごめん、気にしないで。
それより試練、思いついたよ」
しかし当のリータクト様は、まるで何事もなかったかのように、淡々とその話題を霧散させると、静かに告げた。
「第二の試練、
僕の父上を殺害した“犯人捜し”……ってところでどう?」
『……?!』
コンドと私は、目を剥いて固まった。
まさか、そんな内容が飛び出すとは……。
「……どうして、それを試練に?」
コンドの震える問いに、リータクト様は私達に背を向け、窓の外へと視線を流したまま答えた。
「今の君たちじゃ、とても辿り着けない。
この事件は、そう簡単じゃないからね。
でも、それを解けるくらいの知恵と力は
身につけてもらわないと困るんだ」
……なるほど。
言われてみれば試練らしい。
いや、らしい……のか……?
「……。」
ともあれ、やるしかない。
隣を見るとコンドも小さく息をのみ、
覚悟を決めたように頷いた。
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神殿を出てから、
私達は帝国軍本部へ向かっていた。
そこで、どうしても確かめておきたい事が胸の中で燻って、つい口にしてしまう。
「ねぇ、コンド。そういえばさ、あの事件――
ユーゴさんが倒された夜の次の日、
コンドが『僕に考えがある』って言ってたでしょ?
一人でカッドレグルントに残って、何してたの?
会議では証拠品もあんまり集まってないって話してたよね…?」
私が聞きたいのは端的に、
事件解決のめどが立っているのかどうかだ。
リータクト様が言う通り、
この事件は簡単に片付く類いのものじゃない。
だから、コンドがまだ手掛かりを掴めていないと言っても驚かないし、手伝うつもりもある。
それでも、彼があの日「考えがある」と呟いた事がどうしても気になっていたのだ。
「そうだね……これは絶対に、
探偵に伝えておかなきゃいけない事だ」
コンドはそう言うと
少し真面目な顔になって、私を見た。
「あぁ、でも――先に言っとくけど、
あの日からしばらく町に残っていたのは、
住民の混乱を抑えるためだよ。
これまで禁止していたことを一気に解放する決定をしていて、町の条例だの手続きだのに追われてたんだ」
そうだったのか……。
条例とか行政の仕事って、私あんまり詳しくないから、想像するしかないけど……大変そうだな、とは思う。
うん。後でちゃんと勉強しよう、と心の中でメモする。
「で、あの時言ってた“考え”っていうのは、
昨日もやった……“エコロケーション”を使って
聖獣を探すことを指してたんだ」
「あぁなるほど!そうだったんだ!
フェニシアだけじゃなくて、ジーギスもエコロケーションで…」
私は、昨日起こったことを思い出す。
コンドのエコロケーションの効果を見せつけられた後だから、すんなり納得できた。
彼の言う「考え」は、聖獣を悪用されないうちに見つけ出す――つまり、先に手を打つことだった。
「現場に残っていた魔力の痕跡は少なすぎて、犯人を特定することはできなかった。でもね、僕は帝国内のありとあらゆる場所でエコロケーションをかけて、あるものを見つけたんだ」
「え?見つけたって……何を見つけたの?」
私が聞くと、
コンドの口から出たのは……
「───ジーギスの死骸だ」
冷えた言葉だった。
「ヒュッ…」
……思わず喉から変な音が出る。
宝珠を取り除いて正気に戻せたのに…
死骸……?聖獣、死んじゃったの?
"死"……その言葉を聞くと、
どうしても心臓がきゅっとなる。
「でも安心して。探偵のおかげで、あの日僕らはジーギスを討伐しなくて済んだ。これが大きな点でね…もしあの時、ジーギスをそのまま討伐していたら、冷の聖獣は帝国から完全に消滅していたかもしれない」
「え、消滅はしてないの…?
でも、見つけたのは“死骸”って言ったのに……」
私が疑問をぶつけると、コンドは静かに頷いた。
話を聞けば、最悪の結末は免れたと分かるはずだ。
「君があのとき“聖獣を捕える作戦”を考えてくれたおかげで、僕らには聖獣の性質を学ぶ期間が生まれた。そしてジーギスはその間に、自分の力を次の聖獣へ継承していたんだ。
……だから犯人は力を失ったジーギスを捨てた」
なるほど……それで“死骸”として見つかったのか。話を聞きながら、私の頭の中で点がつながっていく。
「あ、新しい聖獣は?!どうなったの?!」
もし次の聖獣がまだ見つかっていないのなら本当にまずい。悪用される未来しか想像できない。
「安心して」
私が不安げに問いかけると、コンドがすぐに応えた。
「ジーギスは次の聖獣を祠の中に匿ってくれていた。だから、新しい聖獣はもう保護されている」
「よ…よかった……。
ひとまずは安心、かな?」
それを聞いて、胸の底の冷たさが少し和らいだ。
冷の聖獣が悪用される可能性は格段に下がったはずだ。けれど、これで終わりとは到底言えない。
次は犯人にどう迫るかだ。
私達は確実に証拠を集め、犯人へ近づかなければならない。
……必ずやり遂げないと。
その後、コンドは聖獣について残された資料の乏しさを語ってくれた。
聖獣は、人々が集う土地に一匹いれば、
その場所を"あらゆる災い"から守る存在らしい。
この"災い"……には、瘴気も含まれる。
つまり、
カッドレグルントのような広大な人里で聖獣が消えてしまったら、守りはぐっと薄くなる……という事。
きっとジーギスは、これまで人知れず町を守り続けてくれていたのだろう……。
聖獣なしの防衛は心もとない。
聖獣は、もっと大切にされるべき存在だ。
「探偵には言ってなかったけど、君がジーギスの完全消滅を阻止した功績は、軍に高く評価されたんだ」
私が冷の聖獣に思いを馳せていると、
彼は教えてくれる。
「……本当に、あの時君がいてくれて…よかった」
そして……
もし彼自身とリハイトだけで、ジーギスを聖獣と知らずに討っていたら――と、コンドは身震いしていた。
それは確かに……想像するだけで寒気がする。
───しかしここで、ふと…疑問が湧いてくる。
聖獣がそれほど大切なら、
なぜ祠はあんなに廃れていたのだろうか…。
聖獣に関する書物も、
コンドが埃を払って見つけた一冊しかなかった。
町の人々に……
聖獣の存在が忘れられていたのはどうしてだろう…?
宝珠のことも含め、重要な情報が
"正しい人達"に伝わっていない現状がある。
……何かが、おかしい。
まるで誰かが、英雄や加護神、聖獣に関する情報を"意図的に消している"ようにも思える。
───でも、
「……一体誰が、何のために?」
考えれば考えるほど嫌な予感が募って……私もコンドに続いて、ぞくりと震えた。




