二つの祖国と一つの列島
1945年、日本は敗戦国としてアメリカとソ連により分割統治が行われた
日本列島は二つに分断される
1950年、北緯37度の線を境に南を日本民主国、それより北を日本社会民主共和国として独立
今も37度線に福城関という場所で両国は睨み合っている
分断から41年後、1991年。大きな対立はなく平和だったものの、その均衡は簡単に崩れてしまう
情報機関、日本対北情報局(JNIB)に勤める讃岐塔太郎はヒョンな出来事から北日本の南侵攻計画を聞いてしまい
それを阻止する為、列島統一をする戦いに出る。
祖国が分断され41年、俺にとっては今日は親父の命日でもある。
親父からよく聞かされたのは昔の日本は活気があって、みんな毎日楽しそうだったとポツリ、だからいつかまた一つに戻って
故郷がある北日本の蝦夷富士を見たいと、またポツリ一言、死にかけの親父は微かに微笑み、俺にそう話した
親父の夢はまだ叶っていない
近年ソ連の体制改革によるアメリカとの関係改善で唯一残った分断国家である日本で国際オリンピア大会を開こうと
両国で議題に上がったが、未だ続く両国の軋轢がそれを許さなかった。
親父の列島統一の願いを俺は叶えてやりたい。
焼け野原から一転この東京には摩天楼が乱立している、そこにいる俺たちはシティーボーイだ。
南日本、東京、新宿
「おうい、讃岐!讃岐ここだ!!!!」
「誰だ!、あーお前かよ」
こいつは俺の同僚の志島守、JNIB対北偽造工作課の一人、そして俺もその一人だ
「志島、お前も休みだったのか、?〜」
「あのなぁーお前今日は午後から招集がかかってただろう」
「あれ、そうだっけ」
「そうだ、かかってた」
「内容は」
「内容は飯を食いながら話そう。こんな道端じゃ民間人に聞かれてしまう」
「飯ね。OKだ」
東京駅のカフェにて
「ズズズ、はぁー、今日お前がいなかったから俺が怒られたんだぞ、管理不足だって。あのハゲ親父、うざいんだよなぁー」
「あ〜〜〜〜〜悪かった悪かった、うん、俺のせいだ、あとあの人は若い頃色々すごかったんだぜ?、あの南洋島の激戦地から生きて帰ったんだ、ハゲてるけど俺は尊敬してる。」
「尊敬してる、ねぇ〜」
「おい、志島、内容だよ内容教えてくれ」
ここで俺は冷や汗をかいていた
コーヒーで体が熱くなっているのに、嫌な予感がして、体の芯が冷えるかのように、ポツリ一言言おうとしたが言葉が出ない
志島はポツリ
「北日本が数ヶ月以内に日本に侵攻してくる。」
「は?」
聞き返してポツリ
「は?」
またポツリ
「は、じゃなくてそろそろ奴ら俺たちと戦争しようと準備中らしい」
「いやいや、それの情報元は?」
「リークだ、匿名の」
カーテンから溢れ日がポツリと差し込む
風は今も吹いている
「北日本からの越境者だ、匿名のハガキが届いた、しかも部長の机にだ、俺たちの課宛に届いたわけだ」
「でもどうして今になって北の連中がこっちに攻めてくるのかいまいち理解できん、デマなんじゃないか?」
「そこが、ミソだ」
「もしかしてソ連の対米姿勢のせいか?」
「多分な、トップが世襲制のあの一族は多分自分たちの王国が崩れてるのを恐れている、
だから傀儡国家である俺たちで戦争をしてソ連の気を引くつもりなんだろう、というのが俺の見解だ、まあこれが本当だったら、な。」
その後1時間ほど話していたが俺は半信半疑のままこれを聞いていた。
アパートに帰ると玄関前痩せ細ったボロ布の少女が座っていた
少女の髪はボサボサで、体は骨に皮がついただけのような貧相な体。
「おい少女、どこから来た、」
「セン,,,,ダイ.....仙臺」
訛ったその言葉でポツリ少女はもう一言
「仙臺直轄市」
「仙台だと!?!?」
この少女は北日本の首都から来たのか!!!!!
越境者は保護される法律がこの国はある、だが俺はそれをしなかった
「少女よ、名前は?」
「町田菜田紫亜」
「ナターシャ、日本人らしくない名前だな、君は北日本から来たのか」
すると少女はこくりと頷いた何度も何度も、細い首でその頭が折れそうで心が痛い
「ナターシャ、今日はお兄さんの家で寝よう」
少女はまたこくりと、ポツリ
「ごはん、ください」
またポツリ
「ご飯ください」
この少女は学校には通っていなそうな感じがした。
単語をポツリとしか話せないのか!??
俺は同僚の女性
居間照子をよび子供の扱いを教わることにした
ガラららら
照子がポツリ
「おい讃岐、この子供越境者だって!、なんで保護させないの!!」
「だって、越境者の教育プログラム施設は結構酷いだろう、この子は言葉もよく出ないし、
公務員の俺の方がまだいい暮らしさせれるだろうと思ってな、保護は反対だ。」
「んまあ、そうだけど....んんー」
「お前も手伝え、俺は女児の服を買いに行くのは気まずいからな、金は渡すから買ってきてくれないか」
「断る」
「いいじゃないかーこの子はかわいそうだ、飯も作っても食えないし」
「笹かまぼこ」
「笹かまぼこが食いたいのか?」
「うん」
笹かまぼこって、親父が仙台でうまいって言ってたやつか....
照子がポツリ
「まあ、いいわよ、別に見た目でわかることはないし、あーでもその髪の毛と体は北日本じゃなくてもヤバいわ」
2時間後
俺たちは苦難の果てに笹かまぼこと女児の服を買い
ナターシャに食べさせた
ナターシャは白いその肌に微かな微笑み赤らんだ顔をした
照子は母の介護の為に帰り
ナターシャに質問した
「おいナターシャ、君の親は?」
「親は、どこ」
「そうじゃなくて、お母さんお父さんはどこかな、一緒に逃げてきた?」
「ひとり」
「一人で来たの?」
また頷いた
「10歳ぐらいの少女が一人で37度線を超えてくるとは思えない」と独り言でポツリ
よく見ると彼女の体は砂まみれだった
「OMG」
家が汚れちまうぜ!
「ナターシャ、風呂入ろう」
だが年頃に近い女児と風呂に入るのは良くないだろうと思い今度は大学生の妹を呼んだ。
30分後
ガラララ
「お兄ちゃん、どうしたのって、誰この子、誘拐?」
「経緯は後で話すから風呂に一緒に入ってやってくれ」
「どうして」
「頼む!!!」
「んーまあいいよ、私子供好きだし」
6分後
風呂場から大声が
「お兄ちゃんンンンン」
なんだと思いガラララと扉を開けると
ナターシャは妹の腕の中で眠っていた
ナターシャは砂で顔が汚れており風呂に入ったらまるで雪のように白い肌が彼女にあった
俺はナターシャをベッドで寝かせ妹に見守らせて
スーパーに買い出しに行った
「大学生は暇そうでいいな..」
スーパーにてナターシャに食べさせるための弁当を買いまくり
周りの客は奇異な目で俺を見たがそんなの関係ない
夜風を切り、急いで戻り
妹と一緒に夜ご飯を食べ
テレビを見ていると速報が
(北日本総裁、日本国を敵対国として位置付け)というものだった
妹はそれを見て驚いていたが、俺はもうそんなの知っていた
その時ナターシャがうなされていた、まるで体を痛めつけられたかのように
北日本のニュースが終わると、ナターシャはまた穏やかに眠った。
翌朝
ナターシャが部屋をうろついてるのがうるさくて目を覚ました
「おはよう」とポツリ
3人で朝ごはんを食いい
妹は友達と共にカラオケへ
俺は仕事に行こうと思ったが
ナターシャを一人にするわけにはいかないだろう
「ナターシャついてこい」
ナターシャの手を引き車に乗せ
職場へと向かった
東京 霞ヶ関
霞ヶ関に情報局が入るビルがある
オフィスに入った瞬間
部長の怒鳴り声がボツり
「おい讃岐!!!!、何やってんだお前ええええええええええええええ」
「すみません部長、ちょっと事情がありまして」
だが、全員の視線は俺ではなく、明らかナターシャに向いていた
部長の怒鳴り声を遮り志島がポツリ
「おいお前子供いたのか?」
「待ってくれ」
この時妹に事情を話すのを忘れていた、だがその方が好都合だろうなあ。
ナターシャはポツリ
「こんにちわ、みなさん、私はナターシャです」
普通に喋れるじゃないか。
俺は全員の前で事情を話した
だが職員内では意見が半々だった
保護か保護させないか、だがこんなことで喧嘩してどうしようもないと部長が一喝
今日は北日本への妨害電波を発射していた
ナターシャは照子を筆頭に女性職員に人気だった
みんなまるで動物園でうさぎに餌をあげるように
ご飯をあげていた
その好意にナターシャも女性職員に甘えていた
部長に呼び出され
階段へと
「讃岐、あの子は本当に北日本から来たんだな?」
「はい、本当です。」
「ではなぜ保護させなかった」
「あの子には普通の人生を送ってほしい、北日本人でもなく越境者でもなく日本人として」
「そうか、そうか、わかった。.....その子はうちでなんとかしよう」
「部長、本当に言ってるんですか?」
「ああ本当だとも」
部長はやっぱりいい人だ。
業務を終え帰宅する
俺はナターシャに質問した
「ナターシャ、今日はどうだった。」
ナターシャはなぜかポロポロとぽつりぽつりと涙を流しながら
口をポツリと開いた
「みんなやさしい」
「そうか、よかったな」
まるで実の娘かのように思えてきた
でも本当に、北日本と数ヶ月後に戦争するっていうのか??
そしたらこの子はどうなる
越境者は処刑されると聞いた事がある。
幸せを知った人間が死ぬのは俺は辛いだろうと思う
親父みたいに死ぬまでこっちの生活を忘れないで後悔して死ぬかもしれない
それは、こんな子供に経験させるのは嫌だなぁ。
「ナターシャ、手を合わせて」
パチン
「いただきます」「いただきます」
ナターシャの正体とは...




