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日本一のコンサルタントの異世界転生記  作者: Hiro
序章~出会い、別れ、旅立ち~
2/8

新たな生

目を覚ますと、僕は見知らぬ森の中の大きな木の下で横たわっていた。


適度は気温と湿度で、青々とした木々が空高く伸び、鳥のさえずりが耳に心地良く響いてくる。

草と土の青臭さが鼻を刺激し、木漏れ日が僕を照らしていた。


「どこだ?ここは。」


見渡す限り、木ばっかり。

こんな場所、日本では世界自然遺産に登録されている、屋久島や白神山地、知床、小笠原諸島くらいだ。


しかし、ここはそのどこでもない。

なぜなら、ここにある木はどれも、僕の知らない種類の木だからだ。




自然は好きで、よく登山やハイキングに行くため、植物の勉強をしたことがある。

それに以前、興味本位で、植物学者の友達のフィールドワークに付いて行ったこともあったっけ。


「いつか縄文杉と交尾してみたい」


って真面目な顔して言っている、変態植物学者だ。こういう変態、僕は好きだけどね。




まあ、そんな訳で、僕は割と植物について詳しい。

だけど、こんな木は見たことない。

特に、今僕の頭上に伸びている、このバカでかい木。

こんな美しい木が存在したのか?

まるで、北欧神話に出てくる、世界樹ユグドラシルだ。


というか、なぜ僕はこんなところにいる?

研究室にいたはずだ。

急に心臓が痛みだして…


「ん!?」


心臓の様子を確かめようと、胸に手を伸ばしたとき、それに気づいた。

周囲の様子に呆気にとられてまったく気が付かなかったが、僕自身の身体がおかしい。


粗末な服を纏っており、足は裸足だ。

それもこれもおかしなことだが、それ以上に奇妙なことがある。


背丈や手足、それに声。


そのどれもが、幼い子どものそれだった。


「え゛?なんで??どういうことだ???」


なぜ子どもになっている?

一体、何がどうなっているんだ?


死んだはずの僕が生きていること、周囲の様子、自分の姿。

不可解なことが多すぎて、情報の整理が追いつかない。


これらのことを説明できるとしたら…

死後の世界か?

天国とか地獄とか、僕はまったく信じていなかったけど、実在したのだろうか?

それとも、輪廻転生的なやつか?

まさかとは思うが、異世界転生?


まあでも、何であろうと、僕にとっては大して変わらない。

それよりも、どうやら新たな生を受けたみたいだから、とりあえず最低限の生活基盤を確立しないと。


そう考え、僕は辺りを探索し始めた。








目覚めてから1週間が経った。


こう見えて僕は、サバイバル生活は得意だ。




僕には、狩猟採集民の友達がいる。

さっきの植物学者といい、狩猟採集民の友達といい、僕はどうやら、変なやつを惹きつける性分みたい。


長期休暇の海外旅行では、誰も行かないような訳の分からない場所に行くのが好きで、そこでたまたま狩猟採集民の集団と出会い、仲良くなったのだ。

女性に好かれない(というか、男女問わず、僕の友達で常識的な人はほとんどいないけど)代わりに、そういう不思議な人脈が僕にはある。

これはこれで、嬉しいような、寂しいような。


とにかく、そういう縁もあり、狩猟採集の生活は、僕にとって苦ではないということ。

それに、狩猟採集民というのは、現代人よりもずっと健康的な身体をしている。


狩猟採集民の平均寿命は30~40歳と現代人の半分ほどだが、これは子どもの死亡率が高いからだ。大人になってしまえば、現代人とほとんど変わらない。


さらに、狩猟採集民は、肥満や鬱になる確率はほぼ0で、自殺することもほとんどない。そのうえ、集中力も現代人より優れているという。


これだけ聞くと、「人類の進化って、一体何なんだろう?」ってなるよな。

狩猟採集生活も捨てたもんじゃないだろ?




ただ、ここに生息している動植物は、どれも知らないものばかりで、最初は食べられるか不安だった。

おいしそうな木の実もあれば、気持ち悪いるビジュアルの木の実もある。


でも、恐る恐る口にしてみると、案外いけることに気づいた。


本当に不思議な事ばかりだ。

なんでこんな見るからに危なそうなキノコ(?)も食えるんだよ。子どもの身体だからだろうか。

まあ、食えるんだから、何でもいいか。








そんなこんなで、さらに1週間、目覚めてから2週間経った頃だった。


ヤバいやつと遭遇してしまった。


生まれ変わって14日、早くも人生終了の危機である。

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