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-第三話-【魔法の森と幻の花】

ある第一学年の基礎魔法の実技試験日。

その日はいたって簡単な基礎魔法、『魔力制御』がどこまで出来るのかというものを実技担当の教諭が見るものだった。

第一学年全員が校庭に集められ、一人ずつ名前を呼ばれていく。

最初に呼ばれたのは


「イザベラ・ローザリンド!」

「はい!」


エミールが入学した年の首席合格者だった。

家は伯爵家で、高飛車な性格ながらもその腕は確かだった。

取り巻きも多く、皆「イザベラ様頑張ってくださいまし!」と応援の言葉を投げかける。

イザベラは「心配など必要なくてよ」と自信満々に自身の魔法道具である扇子を掲げ、


「風よ、吹け!」


と唱えた。

すると辺りにふわりと優しい風が吹く。


実技担当の教諭も「さすがの実力だ」と褒め、イザベラも「当然ですわ」と言って笑ってみせた。

それを見ていたエミールは「すごいなあ」と素直に関心していた。


一人一人が実技試験を終えていく中、ついにエミールの番がやってきた。


「次! エミール・アレンフォード!」

「は、はい!」


エミールは緊張の面持ちで、左手の中指にはめられた指輪に魔力を込める。


(兄様に買ってもらった指輪……お願い)


「風よ、吹け!」


しかし、その瞬間風がふわりと吹くどころか、嵐のような暴風が吹き荒れた。


「わ、わっ!!」

「何をやっとるか、エミール・アレンフォード!!」


教諭の怒声が響く。

イザベラを含め、多くの第一学年の生徒たちが影でくすくすと笑っている声が聞こえた。


「お兄様があの氷の貴公子様なのに」

「魔力制御もろくに出来ないなんて」


エミールは恥ずかしくなって俯いてしまう。


そんな様子を校内の窓から見ていたのはマルグリット学園長だった。


(――今の魔力は……?!)


実技教諭や第一学年の皆が「出来損ない」と言う中、マルグリット学園長だけは「何かが違う」と感じ、その普段は目隠しをしている目を晒した。

魔識眼ポリクロームアイ!」


常時開放型の魔法ではあるが、しっかりと分析する場合には詠唱することもある。

そしてマルグリット学園長は驚いたように目を見開いた。


(――あれは……魔力制御が出来ていないのではないわ……『魔力暴走』よ……!)


――魔力暴走。

特に元より魔力量が膨大な者が稀に制御出来ずに起きる現象である。

ましてエミールは入学したての第一学年。

その小さな体に秘められた魔力量を、マルグリット学園長だけが『視え』ていた。


(――それにあの珍しい新緑色の魔力……一体エミールは何の固有魔法を持っているというの……?)


しかし試験会場に学園長が飛び込んでいっては騒ぎになってしまうだろう。

エミールには申し訳ないと思いつつ、マルグリット学園長は目隠しを元に戻すと自身の研究室へと足早に去っていった。


(――新緑色の固有魔法……そんなものあったかしら……)


早く、エミールの持つ固有魔法の正体を知りたくなってしまったのだ。

これもまた、魔法学園の学園長でありながら長年魔法研究を続けているものの性みたいなものかもしれない。


そうして、エミールと、モリー・ハーヴェイという少年2人が居残りとなってしまった。


モリー・ハーヴェイはハーヴェイ領を治める男爵家の五男で、取り立てて期待もされていなければ落ちこぼれというわけでもなかった。

ただひたすらに、心優しく穏やかで、のんびりとした性格のため、魔力制御の授業でもぼんやりとしていて聞いていなかったものだと思われる。


「まったく。魔力制御は魔法の基本中の基本! それが出来なくてどうする」


エミールは嵐を巻き起こし、また、モリーは魔法すら発動しなかったのだった。

2人ともしゅんとするどころか、「仲間がいた」といった様子で安心したように笑みを交わす。


「風でも水でも何でもいい。自分で得意だと思う魔法が一度でも制御できれば合格とする」


居残り組の2人は精一杯、合格に向けていろいろな基礎魔法を試すのだった。


何度も魔力暴走を起こしては実技教諭に怒鳴られるエミールに、ぽわっとだけ魔法が発動して「出来ましたぁ」と言うモリー。

教諭はため息をつきながらも、基礎中の基礎が出来るまでは付き合わねばならなかった。


そしてふと、エミールは自身が起こした大嵐でモリーの深緑色をした天然パーマの髪に絡まった枯葉を見つける。


「あ、モリーくん。ちょっとじっとしてて」

「え、なぁに?」

「風よ、吹け!」


すると、ふわりと風が吹き、モリーの髪に絡まっていた枯葉だけを綺麗に吹き飛ばした。


「なんだ、やれば出来るじゃないかエミール・アレンフォード」

「え? あ、今のでよかったんですか?」


不思議そうに言うエミールに、教諭はまた頭を抱えた。


「ええ、エミールくん先に合格しちゃったの? 僕も頑張らなきゃ」


エミールは先に合格してしまったが、モリーを残していくことに気が引けたので、結局日が暮れてようやくモリーが合格するまで付き合う事にした。



――その夜。


「はあー。今日の試験疲れた」


寮のベッドにエミールがぽすんと横たわる。


「基礎魔力制御の試験だったか?」


ヴィクターに尋ねると、エミールはつらつらと試験の話を始めた。

ヴィクターはエミールの話している姿を見て(可愛いな……聞き心地のいい声だ……)としか考えていなかったが、エミールが合格をもらった時のことを聞き、『あること』にふと気が付いた。


「そういえばエミール。お前、ソフィアさんにも同じく風の魔法をかけて髪を整えてやっていたよな」

「え? あ、うん。そういえばそうだね」

「もしかしたら……お前は『誰かのため』に魔法を使おうとすれば魔力制御が出来るようになるんじゃないか?」

「誰かのため?」


一回目の成功はソフィアの髪型を直した時。そして二回目はモリーの髪に絡まった枯葉を落としてやった時。

そのことから鑑みるに、エミールが魔力を制御することが出来るのは、「誰かのために魔法を使う時だ」とヴィクターは考え至った。


「うーん、そっか。……そうかな? そうなのかも」

「今度、もしまた基礎魔法を使うことがあったら、誰かのためを思ってやってみるといい。例えば水の魔法なんかは、喉が渇いた人がいたとする。その人に水を与えるつもりで魔法を使ってみればいいんだ」

「へぇ……そっか、なるほど!」

「それにな」

「うん?」

「兄様だって最初から完璧に魔力制御が出来たわけじゃないんだぞ?」

「えっ、ヴィクター兄様が?!」


弟の前では常に完璧であるヴィクターがそんなことを言い出し、思わずエミールは目を丸くする。


ヴィクターは過去を思い出す。

そう、ローゼンバウム伯爵家にいた頃のことだ。

王立グリモワール・アカデミア魔法学園に入学するために、一人でひたすらに魔力制御と自身の固有魔法の研究を惜しまなかった。

それもこれも、エミールと早くローゼンバウム伯爵家から出るためだった。

そして、エミールを守るために強くなる必要があった。


ローゼンバウム伯爵からは「アレンフォードのガキが生意気に魔法なんぞ訓練しおって」などと小言を言われつつも、伯爵のいない間にこっそり図書室に入り、魔法書を読みふけったりしたものだった。

その努力の成果が、こうして『特待生』としての待遇だったのだ。


その背景を聞き、エミールは「兄様でも最初から完璧じゃなかった」ことに少しだけ安堵した。

自分だけがアレンフォード家で一番の出来損ないだと感じていたからだ。


「お前は魔法を使い始めてまだ日が浅い。失敗くらいいくらでもするさ。でもそれでいちいちめげていては、成長は出来ないぞ?」

「僕も……ヴィクター兄様みたいになれる?」

「なれるさ」


言うと、ヴィクターはエミールの肩を抱き寄せてその漆黒のくせっ毛をわしゃわしゃと撫で回した。




――マルグリット学園長の秘密の研究室。

マルグリットはエミールの魔力の色について文献を漁っていた。


(あんな鮮やかな新緑色の魔力なんて見たことがないわ……風の属性だったらもう少し落ち着いた緑だもの……)


あらゆる分野の魔法書や精霊学の本などを読み漁り、ぴた、とある頁でマルグリットの手が止まる。


(――新緑色――……そんな、まさか……?)


それは、『現在ではこの世に存在しないはずの魔法』の頁だった。




魔力制御実技試験からしばらく経ったある日。

第一学年首席のイザベラがなぜかエミールに絡んでいた。


「オーッホッホッホッ! ごきげんよう、ボンクラエミール・アレンフォード」

「あ、イザベラさん。こんにちは」


ぐぬ、とイザベラは扇子を握りしめた。

思いっきり嫌みを言ったつもりなのに、当のエミールはそれをただの挨拶としか受け取っていないことに腹を立てたのだ。

そして、エミールが彼女の憧れる『氷の貴公子』ヴィクターの弟であることがまた気に食わなかったのだ。


「イザベラさんはすごいね。魔力制御も完璧で。僕なんて本当にボンクラで」


えへへ、と笑うエミールに、イザベラの神経が逆なでされる。


(――そこ、肯定するところですの?! 言い返しなさいな! あなたも元とはいえ貴族でしょうに!)


「――あの、それで、僕に何か用……ですか?」


一応、『伯爵家の令嬢』ということで、元ではあるが子爵家であるエミールはイザベラに敬意を払う。

そのことに関してもイザベラの癪に障った。


イザベラは一つ咳払いをして自身の感情を抑えると、少し意地悪に言ってみた。


「この学園の近くに魔法の森があるのはご存知?」

「え? ああ、はい。知ってます。危ないから入るな、って先生から聞いたような……」


そこで、イザベラはにやりと笑った。


「そこにはとてもとっても珍しくて美しい花が咲いているそうですわよ。お兄様に差し上げたら、喜ばれるんじゃなくって?」

「え、本当?」


(――ふふ、純粋なバカって御しやすいですわね)


「あ、でも危険って言われてるしなあ……でもそんな幻の花ならヴィクター兄様にプレゼントしたら喜んでくれるかもしれないかも……」

「ええ、ええ、そうですわ。親切で教えて差し上げたのですわ」

「そうなんだ、ありがとう! イザベラさん! 今度探しに行ってみるね!」


(――ウフフ、おバカさん)


「そうなさいな。ではわたくしはこれで。オーッホッホッホッホッ!」


自慢の金髪の縦ロールをなびかせながら、イザベラが取り巻きたちと共にエミールの前を去っていった。


(――幻の花かあ……どんなお花なんだろう)


エミールは「危険な森」ということも忘れ、「ありがとう、エミール」と喜んだ顔を見せるヴィクターの事しか頭になかった。



「よ、よろしいんですの? イザベラ様。幻の花は本当にあるかどうかわかりませんのよ?」

「よろしくてよ。あんなボンクラが氷の貴公子様の弟であること自体がおこがましいこと、その身をもって思い知るがいいですわ」

「そうですわね。入学当初から目立ちすぎですもの」

「漆黒の髪なんて気持ちの悪い。それに比べてヴィクター様の美しい銀髪と言ったら……」


廊下ではこそこそと、イザベラとその取り巻きがエミールを陥れる算段を企てていた。


――エミールのような黒髪は、セレスト王国ではかなり珍しい。

まして、アレンフォード子爵家では代々銀髪が多かったため、漆黒の髪を持つエミールが本当に実子であるかということも疑問視されていたことも事実だった。

しかしエミールもまた、アレンフォード家にしか遺伝しない金色の目を持っていたことで、なんとか「アレンフォード家の子」として見られていたに過ぎなかった。

もし母親と同じエメラルド色の目をもって生まれていたら。

その迫害はヴィクターもエミールも知るところではなかっただろう。


エミールはその日の授業が終わるとさっそく、学園近くにある『魔法の森』へと足を運んだ。

「危険」だとは言われていたものの、特に柵や立て看板などはなく、地続きで森に足を踏み入れることが出来た。

そしてしばらく歩いていると、エミールはようやく『魔法の森』と呼ばれているその理由を知ることとなる。


「……あれ? さっきまで歩いてきた道が消えてる……? こんなところに木なんて生えてたっけ?」


入口こそ綺麗な花畑であったが、奥に進むにつれて木々が増えてくる。

そして、一度通った道を戻ろうと振り向くと、さっき確かに踏んだ地面は消え、そこには大木が立っていたのだ。


「え? あれ? もしかして僕迷っちゃったかな……どうしよう……」


引き返そうにも引き返せず、エミールはそのまま進む他なくなってしまった。

そして、とうとう日が暮れ始める。


「わ、どうしよう……暗くなったらヴィクター兄様心配しちゃうよね……」

「どうしたのっ?」

「わっ?!」


突然ぴょこんと目の前に現れたのは、ウサギの耳を持った少年だった。

小柄なエミールよりもさらに背が小さく、年齢で言うと7~8歳と言ったところだろうか。

青い目をくりくりとさせてエミールを興味深く見ている。

そして近付き、フンフンと匂いを嗅ぐ。


「えっ、わっ、なになに?」

「おにいちゃん、まいご?」

「えっ……あ、そ、そうみたい……えへへ……」


『おにいちゃん』と言われたのが照れくさくて、エミールは笑みを浮かべる。


「ふぅーん。ここが魔法の森だって知ってて入ってくるなんて勇気があるね!」

「あ……うん。幻の花、っていうのを探してて……」

「そうなんだ」

「知ってる?」

「わっかんなーい」


言うと、ウサギ耳の少年はぴょいんと跳ね、木の枝の上に座った。


「あははっ、おにいちゃんこっちこっちー」

「あっ、ま、待って」

「こっちこっち!!」


エミールはウサギ耳の少年を見失わないように必死で追いかける。

しかしウサギ耳の少年は、追いかけっこを楽しんでいるようにも見えた。


「それで?」

「うわっ?!」


突然目の前に顔を近付けてきたウサギ耳の少年に、エミールは驚いて声を上げてしまう。


「幻の花を探して、どうしたいの?」

「あ、えと、その……ヴィ……兄様に、プレゼントしたくって……」

「へ? プレゼント? それだけ?」

「えっ? 僕、なんか変なこと言った?」

「いや、変わってるなあ、って」

「そ、そう?」

「お兄さんの事、大好きなんだね!」

「うんっ!」


エミールの満面の笑みに、つられてウサギ耳の少年もにこりと笑った。


「そういう事なら、出口まで案内してあげる! さっきまで変な魔獣がうろうろしてたし」

「ひえっ、ま、魔獣?!」

「だから、しっかりボクの手、つかんでてね!」

「あ、うん!」


そう言うと、ウサギ耳の少年はエミールの手を引いて駆け出す。

エミールも、ウサギ耳の少年の手を離さないようにしっかりと握りながらそのあとを追った。

周りを見れば、ウサギ耳の少年が通る道々の木々が道を作るようにさあっと横に開いていく。


「はい、到着~~」

「ありがとう! ……えっと、それで、その、きみは? 名前は? あ、僕はエミール・アレンフォード」

「なまえ? うーん。ママにはぽてたって呼ばれてる」

「ぽてた? ……まま?」


聞き慣れない言葉に、エミールは首を傾げる。


「えへへ、ママはね、ボクと違って人間なんだけど、いっつも頭を撫でてくれて、とっても優しいんだ~」

「まま、って、母様のこと?」

「かーさま? うーん、人間の世界ではそう言うのかな??」


2人とも妙に合わない会話に「?」が飛び交う。


「え、じゃあきみって、人間じゃないの?」

「おにいちゃん~この耳を見てよ。ニンゲンに見える?」

「あ、うん。そうだよね……人間にはウサギの耳なんてついてないよね……」

「まあ、きみたちの世界で言うなら妖精? みたいなものかなあ」

「よ、妖精さん?!」

「それじゃボク、ママが待ってるから帰るね! おにいちゃんも『にーさま』に早く会えるといいね!」

「あっ、ねえ、また会える?」

「さあね~? ボクは気まぐれだから。でも、もうこの森に近づいちゃダメだよ」

「あ……うん。わかった。道案内ありがとう」

「どういたしまして!」


そういうと、「ぽてた」と名乗った妖精少年は一瞬のうちに姿を消してしまった。


「妖精さん……初めて見た…………。――ん?」


ふと気が付くと、「ぽてた」の手を握っていた手に、見たこともない不思議な七色に輝く花が握られていることに気が付いた。


「わあ、これってもしかして……!」


エミールは慌てて寮へと帰っていくのだった。


「妖精はね、素直で純粋な人にしか見えないんだよ」


木の上で、「ぽてた」が言いながらいたずらっぽく笑っていた。



「ヴィクター兄様! ただいま!」

「遅かったじゃないかエミール! 心配したんだぞ!!」


寮に帰るなり、ヴィクターが慌てて『完璧な兄』の顔を作って出迎える。

エミールが帰るその瞬間まで、「エミールが帰ってこない……可愛すぎて誘拐されたかもしれない……どうしよう、エミールがいなくなったら俺は生きていけない……」とめそめそめそめそしていたのだった。


「はい、これ!」

「――って、なんだ? 花?」

「うんっ! 同級生の子に教えてもらって探しに行ったら、妖精さんにもらったの! 幻の花なんだって! ヴィクター兄様にプレゼントしたくて!」


(天使…………)


昇天しかけながらもヴィクターはその差し出された不思議な色を放つ花を受け取った。


「もしかして、指輪の礼か?」

「うんっ!」

「そんなものいいのに……でも、ありがとうな。大事に飾るよ」

「うんっ!!」


(クソ可愛い。妖精にもらったって、俺も妖精にもらったようなものだぞ……)


考えながらも無表情で、ヴィクターは使い切った魔法薬のビンを洗い、そのビンに水を入れて花を活けた。


「えへへっ、綺麗だね!」

「そうだな」


2人で花を愛でる。


そしてエミールは、「ぽてた」が言っていた「ママ」が気になってヴィクターに尋ねた。


「あ、そうだ。ねえヴィクター兄様、『ママ』って知ってる?」

「『ママ』……? さあ……」

「妖精さんが言ってたんだけど……」

「ふーむ……」


2人は全く同じポーズで首を傾げて見せた。




翌日、エミールは満足げな顔で教室の席に着くと、やはりイザベラが高笑いをして現れた。


「オーッホッホッホッホッ! ごきげんようエミール・アレンフォード。それで? 幻の花は見つかりましたの?」

「うんっ! 見つかったよ!」

「え……」


一瞬固まるイザベラ。


「う、嘘をおっしゃい! だってあれはわたくしが適当に言った出まかせ……」

「イザベラ様!」

「はっ!」


しかし当のエミールは「?」と言った顔をしている。


(ど、どういうことですの~~~?)


ぐぬぬ、とイザベラが持っていた扇子を折りそうになる。


「ほ、本当に見つけたというのなら、ここに持ってきていらっしゃいな」

「その必要はないな」

「キャアッ?!」


そこに現れたのは、氷の貴公子―――そう、ヴィクター本人だった。

手には昨日エミールから渡された花を手にしている。


「妖精さんに会ってね、妖精さんにもらったんだ~」

「な、何をメルヘンなことを言っていますの。妖精なんているわけ……」

「でもほら、こうして花はあるだろう?」

「しばしお待ちあそばせ」


イザベラは言うと、秒で図書室へ行き、植物大図鑑をもって戻ってきた。

そして頁をめくっていくと、まさにその魔法薬のビンに飾られた花と同じものが載っていたのである。


「え、えーとなになに……? 《幻の妖精花フェアリーブロッサム:森に住む妖精が特別な相手にだけ贈る花。滅多に目にすることはできない》…………」


辺りがシンと静まり返る。


「何ですのこれぇぇぇぇぇ?!!」

「だから、教えてくれてありがとう、イザベラさん!」

「ち、違いますわ! こ、こ、こんなのたまたまに決まってますわ!」

「だって、本当に妖精さんがくれたんだよ。ウサギの耳を持った男の子でね、『ママが待ってるから帰るね』って言って帰っちゃったけど、その子が帰った後で、気付いたらこの花を持っていたんだ」

「く、くぬぅうぅぅぅぅっ!」

「イザベラ様、も、もうよろしいのでは……」

「お、覚えてらっしゃい! エミール・アレンフォード!」

「うん、またねー!」


(――俺の弟に適当なことを言ったつもりが本当に起こった、と言ったところか……哀れな女だな……)


ヴィクターは去っていくイザベラを見ながら「俺の弟にちょっかいかけるからだ」と侮蔑的な視線を送っていた。


「それで、ヴィクター兄様は何か用事? ここ第一学年の教室だけど……」

「いいや、ちょっと悪い予感がしたから来ただけだ。まあ、予想通りだったがな」

「?」

「気にしないでいい。今日も授業頑張れよ」

「うんっ! ヴィクター兄様も生徒会頑張ってね!」

「……ああ」


(ああ~~俺の天使。もう離れなくてはならないのか……!)


表情とは裏腹にそんなことを思いながら、ヴィクターは生徒会室へと足を運んだ。


このグリモワール・アカデミアは四年制の学園ではあるが、第一学年では基礎的な魔法や魔力制御やセレスト王国の歴史、王国を守護する精霊の事などを学び、第二学年では応用魔法、より高度な魔法学を学んでいく。

そして第三学年では固有魔法を見つけ、強化していくことがメインになっている。

第四学年に至っては、魔導士や魔法騎士としての進路を決定する年となっており、授業と言ったものは特にない。

そのため、ヴィクターはほぼ毎日生徒会室に通っているのだった。


生徒会室に入るなり、すぐにセシルがヴィクターの持っていた花に目を付ける。


「あらぁ? それって……」

「お! 幻の妖精花フェアリーブロッサムじゃねーか!」


クレールも反応する。


「どうしたってそんなレアなものを?」

「……昨日、弟がプレゼントしてくれたんだ……」


ニンマリと笑うヴィクターに、クレールもセシルも「ああ。はいはい、いつものね」と言った風になる。


「まあ、あの純粋そうな弟クンなら、妖精さんに会っても何ら不思議じゃないわね」

「だなー。俺も子供の頃、兄上と一緒に魔法の森で妖精に会ってその花をもらったことがあるぜ」

「へえ、バカ殿下にも純粋な時代があったんですね」

「クラリスちゃあん……」

「ああ、バカ、って純粋って意味ですよ?」

「クラリスちゃん……」

「アナタって本当にクラリスちゃんに弱いわよね」


セシルがクレールを見てニヤニヤと笑っていた。


ヴィクターは自席に着くと、花瓶代わりの魔法薬のビンを机に置き、花を見つめながら机の上でとろける。


「はぁ……純粋で素直で可愛い俺のエミール……指輪のお礼なんだとさ……可愛すぎないか? 俺の弟可愛すぎないか……? むしろ俺の弟の方が妖精だと思うんだが…………」

「ああ、これはもう」

「今日も使い物になりませんね」


ヴィクターはもちろんエミールが第一学年でいじめられていないか見に行くという意味もあったが、生徒会でその花を自慢するために寮からずっと持ってきていたのだった。




――その後、学園裏。


「きいいいい! 何でですの! エミール・アレンフォード!! 許せませんわ!」

「ま、まあまあイザベラ様。今回はたまたまですわよ」

「そうですわよ。なんてったってお兄様が氷の貴公子様ですもの。何かウラがあるに違いありませんわ」

「…………そうですわよね。ええ、きっとそうですわ」


イザベラがふと我に返る。

「ボンクラなエミールが一人で魔法の森へ行って幻の花を見つけられるわけがない」と心の中で整理がついたようだ。


「それでしたら、今度はわたくしが魔法の森へ行って、誰にでも幻の花を取ってこられることを証明して見せますわ!」

「イザベラ様! それは些か危険かと……」

「あのボンクラが戻ってこられたのに、この学年主席のわたくしに出来ないことなんてありませんわ!」

「イザベラ様がそうおっしゃるならお止めしませんけれど……」

「どなたもついてきてはなりませんわよ。わたくし一人で魔法の森へ行ってきますわ! オーッホッホッホッホッ!」


そう言うと、イザベラは意気揚々と魔法の森へ出かけていくのであった。



イザベラが魔法の森に着くと、そこにはきれいな花畑が広がっていた。


「あら、なんてことないお花畑ではありませんの。この中にあったりするのかしら……?」


などと独り言を言いながら、図鑑で見たあの『幻の花』がないか一つ一つ確認していく。


「これも違いますわね。これも……綺麗だけど違いますわね……えーとこれも……珍しいけど違いますわね……」


しゃがみながら、時には令嬢にあるまじき地に膝をつきながら、這いつくばるようにして花を一つ一つ鑑定していく。


「あのボンクラエミールに見つけられて、このわたくしに見つけられないなんてことがあってはなりませんわ。必ず持って帰りませんと……」


イザベラのプライドはその辺の山よりは数倍高かった。


そして花を一つ一つ調べながらどのくらい時間がたっただろう。

イザベラが気付いた頃には、日が傾き始めていた。


「あら? もうこんな時間ですの? ……仕方ありませんわね……今日のところは諦めて……って、あら?」


立ち上がってようやく気付く。

花にばかり目を向けていたイザベラだったが、気が付けばそこは木々に囲まれた森の中になっていた。


「ど、どうなっていますの?! これは!」


森の入り口にある花畑で花を吟味していただけのはずだったのが、気が付けば木々に囲まれている。


「ちょっ……ど、どなたかいらっしゃいませんのー?!」


イザベラは声を張り上げたが、その声は森の中でこだまするだけだった。

ともすれば、どこぞからくすくすという子供のような笑い声が聞こえてくる。


「ど、どなたかそこにいらっしゃいますの?」

「幻の花を探しに来たの?」


声はどこから聞こえるかわからないが、確実にイザベラに話しかけているようだった。


「そ、そうですわ! あ、あなたはどなたですの? 私はグリモワール・アカデミア第一学年主席のイザベラ・ローザリンド伯爵令嬢ですわ!」

「へぇ……頭いいんだ」

「幻の花をご存知でして?」

「花を見つけたらどうするの?」

「あのボンクラのエミール・アレンフォードを見返してやるのですわ!」

「ふぅん……」


声の主は興味なさそうにそういうと、ザザッという風の音と共にいなくなってしまったようだった。


「ちょっと、どちらに行かれますの?! このわたくしを誰だと思っていますの?! お答えなさい! 幻の花はどこですの?! 帰り道はどこですのー?!」


しかし、イザベラの声は再び木々に反射してこだまするだけだった。


次第に辺りが薄暗くなり、夜の精霊が夜の帳を下ろし始める頃。

ついにイザベラは地にぺたりと座り込んでしまった。


「も……もう嫌ですわぁ……どなたか助けてくださいまし……お父様ぁ……お母様ぁ……」


ぐすん、ぐすんと鼻を鳴らしながら泣き始めてしまう。


その頃、グリモワール・アカデミアの第一学年寮内では「イザベラが帰ってこない」と小さな騒動に発展していた。

イザベラの取り巻きたちは寮の監督生である、第二学年のマリエル・フロランスに話を聞かれているところだった。


「それで? 魔法の森に1人で行くのを許したというわけですか?」

「すすすすみませんマリエル様」

「イザベラ様がどうしても1人で行くと言って……誰もついてくるなと……」

「はぁ……」


マリエルは呆れたように眉間にしわを寄せながら頭を抱える。

淡いプラチナブロンドのストレートのロングヘアがさらりと流れた。


「第一学年で魔法の森は危険だと習ったはずでは?」

「はい、おっしゃる通りです……」

「あ、でもあの、エミール……が」

「エミール? ああ、ヴィクター・アレンフォード様の弟君ね」

「1人で森に行って、妖精から幻の花をもらったと言って……」

「その言葉を鵜呑みにして、イザベラさんが1人で行ったと?」

「すみません……」

「あなたたち第一学年はまだ入学したてでわからないことも多いでしょうから、最初に行ったでしょう。『何でも相談しなさい』と。『報告』『連絡』『相談』この三つはしっかり守ってもらわないと……」

「すみません……」

「すみません……」


イザベラの取り巻きたちは捲し立てるマリエルにただ謝り続けるしかなかった。

――そこに、


「あらあら、どうかしましたか?」


第一学年寮の寮母であるアメリアが姿を現した。


「ああ、寮母様」


マリエルが事の次第をアメリアに伝えた。


「あらあら……イザベラ嬢が帰ってこない? それは困りましたわね」


優雅に顎に手を添えながらアメリアが言った。

彼女はこのグリモワール・アカデミアの元教師で、魔法薬学、主に治癒魔法のないこの世界では最もポピュラーである治療魔法薬ポーションの研究やその作り方を教えていた経験があった。

彼女自身も貴族の出なので、普段は淑やかな淑女ではあったが、実は怒ると怖い、と最初にマリエルから第一学年の寮生たちは教えられていた。


「魔法の森に? 1人で? どうしてそんな無謀なことを」

「エミール・アレンフォードはご存知でしょうか?」

「ええ。マルグリット学園長が特に目をかけているアレンフォードの兄弟の弟の方ね」

「その子が、魔法の森に1人で行って、妖精に会って幻の花を手に入れたと今朝自慢してきたのだとか」

「そうなの? ……そういうことを自慢するような子には見えないのですけれどねえ……」


どこかで曲解が起きている、とアメリアは瞬時に見抜いた。

なぜならマルグリット学園長が直々に保護し、4年間世話をしてきたある種特別な生徒だ。

マルグリット学園長からは「エミールはとても素直で純粋で、穢れというものには程遠い生き物」と聞かされていたからだ。

仮にエミールが妖精と会ったことが本当だったとして、そこは認めることは容易い。

だが、それを鼻にかけるようなことを彼がするだろうか?

アメリアの目が光った。


「――それでは、これは緊急事案になりますので、わたくしからマルグリット学園長へ話を通しておきましょう」

「――え、学園長先生にですか?」


寮監督生のマリエルが驚いて目を見開く。

そこまで大事だとは思わなかったからだ。


「わたくしがマルグリット学園長のところへ行ってきますから、いいですねマリエル。第一学年の生徒を誰1人寮から出してはなりませんよ」

「はい。承知いたしました」


マリエルがカーテシーを決めると、「よろしい」と頷いたアメリアが1人でマルグリット学園長の住まう『グリモワールの塔』へと向かっていった。


「――まったく。あなたたちもしっかり反省すること!」


そしてマリエルの説教は続く。


「はいぃ……」

「すみませんでしたぁ……」


イザベラの取り巻きたちは今にも泣き出さんばかりの表情になっていた。



――グリモワール・アカデミア、最北端『グリモワールの塔』。

マルグリット学園長の部屋をノックする音が聞こえた。


「こんな夜に……どなたでしょうか?」

「第一学年寮寮母、アメリア・フェルナンデスにございます」

「あら、アメリア。どうぞお入りになって」


アメリアは「失礼します」というとマルグリット学園長部屋に入り、第一学年の中で起きたことをそのままに伝えた。

マルグリット学園長は一瞬呆れたように口を開けて、そして頭を抱えた。


「はあ……イザベラ・ローザリンドですか……。第一学年主席だからと言ってそれを鼻にかけるようなところはありましたが……そんなことまでやらかしていたとは……」


マルグリット学園長のため息ももっともだった。

ともすれば廊下に響くような大声で「オーッホッホッホッホッ!」と高笑いをし、何かにつけては「わたくしは第一学年主席で入学しましたのよ!」と言う。

言ってみれば「成績優秀の問題児」に近かった。

魔法の腕も確かだし、家柄も問題はないのだが、問題は彼女自身にある。

『慢心』とでもいうのだろうか。

何が彼女をそこまでさせるのかはわからないが、とにかくイザベラは「誰かに負ける」ことが「あり得ない」ことだったのだ。

今回の『幻の花』のことだってそうだろう。

自身が見下していたエミールが幻の花を持ち帰ったことで、イザベラのプライドに火がついてしまったのだろう。


「そういうところさえなければ……優秀な魔女になれるというのに……」


何かの作業をしていたらしかったマルグリット学園長はその手を止め、立ち上がった。


「仕方がありません。わたくし自ら魔法の森へ行って参ります」

「お心強いお言葉でございますが……」

「彼女にはいいお灸になったことでしょう」

「ええ……」

「わたくしが出ることによって、イザベラが反省し、これからの学園生活が円滑に進むようであれば、今回の件の罰は見送りとしましょう」

「寛大な処置に感謝いたします」

「はぁ、めんどくさ」

「え?」

「何でもありません。では行ってきますね」


そう言うと、マルグリット学園長は自前の白銀のほうきに横乗りすると、塔の窓から滑り落ちるようにして夜の空に消えていった。


「……今、『めんどくさ』っておっしゃったような……」


アメリアは聞かなかったことにして、第一学年の寮へと戻っていった。



――魔法の森。


「ぐすっ……ふえっ……あぁ~ん! 帰りたい……帰りたいですわぁ~~!!」


ついには子供のように泣き出してしまってるイザベラの姿があった。

そしてその声はほうきに乗ったマルグリット学園長の耳にすぐに届いた。


(――魔識眼(ポリクロームアイ!)


目隠しをしたままでも、常時発動している魔識眼ポリクロームアイはさらに強度を増すことが出来る。

ヴィクターと同じく氷の魔法使いであるイザベラのアイスブルーの魔力の色を辿り、マルグリット学園長は大泣きしているイザベラの前に舞い降りた。


「――まったく。手の焼ける生徒ですね」

「ま、ま、マルグリット学園長先生~~!!」


イザベラはようやく見知った、何とも心強い『味方』を目にし、全力で抱き着いた。


「わっ、わだぐじっ、負げだぐながっだんでずのっ……だっ、だっでっ……あのエミールがっ……」

「はいはい。わかりましたからもう泣くのはおよしなさい。淑女でしょう」


グズグズと泣くイザベラにハンカチを手渡し、涙を拭くように言う。


「魔法の森は危険だと、授業で習いましたよね?」

「……ぐすっ、はい……」

「エミールが幻の花を手に入れたことがそんなに悔しかったのですか?」

「わっ、わたぐじはっ……」


またも大粒の涙がぼろぼろとイザベラの目からこぼれ落ちる。


「成績優秀でなければならないんですのっ……一番でないといけないんですのっ……」

「あら、どうして?」

「それが普通だってっ……お父様にもお母様にも言われてきましたのっ……」


はあ、とマルグリット学園長は短くため息を吐いた。


「あのね、イザベラ。一つだけ教えておきます。別に一度や二度失敗したって人は死にません。一番を取れなくたって、『あなた』の価値が下がることなんてありません。そう必要以上に『一番』にこだわる必要だってないんです。あなたは、『負け』てしまうと自分の存在全てが否定されてしまうという気になってしまうのではないのですか?」

「…………」


イザベラは下を向いて、時にひっくとしゃくりあげながら考えるような様子を見せた。


「――そうかも、しれないです」

「大丈夫。あなたの価値は『あなた』が決めるものです。エミールに負けた? だから何だというんです? それであなたの価値が下がりましたか?」

「……いいえ……でもあのボンクラが目立つのが許せなかったんですの……」

「そうやって、人を『ボンクラ』などと決めつけてもいけませんよ」

「……」

「人間、誰しも取り柄はあります。欠点もあります。あなたにもあります。わたくしにだってあります」

「マルグリット学園長にも……ですの?」

「ええ。完璧で完全な人間なんていません。わかったらわたくしのほうきに乗りなさい。寮まで送りましょう。……そのあとの叱責は、アメリアに一任します」

「わ、わたくし、また怒られてしまいますの……?」

「それだけのことをしたのです。今後一切、危険と言われたところには立ち入らないこと。人に立ち入るように示唆するのもやめること、いいですね」

「……はい」

「そんなに目が腫れていては美しい顔が台無しですよ。ほら、飛ばしますから掴まってください」


そういうと、ほうきは垂直に飛び上がった。

魔法の森は前後左右には作用するが、上下には作用しないようで、スッと魔法の森から抜け出すことが出来た。

そしてイザベラはマルグリット学園長の白銀のほうきで第一学年の寮へと届けられた。


「イザベラ様!」

「イザベラ様!」

「ようやく帰ってきたようね」


イザベラの取り巻きたちは半泣き状態のまま安堵した表情を浮かべ、監督生のマリエルも若干の怒りを残しながらほっとしたような表情を浮かべていた。

……ただ1人、笑顔なのになぜか恐ろしいオーラを放っているアメリアがそこにはいたが。


「それでは、後のことは任せます。アメリア」

「ご足労おかけいたしました、マルグリット学園長」


アメリアが言うなり、マルグリット学園長はまた白銀のほうきに乗って『グリモワールの塔』へと帰っていった。



――その後のイザベラへの説教がどうなったかは、想像に難くない。


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