-終幕-
――数年後。
グリモワール・アカデミア魔法学園を卒業したヴィクターはアレンフォード領で領主の仕事をしていた。
時には魔法で領民たちを手伝い、『慈愛』の家訓の下、仕事に精を出していた。
領民たちからの支持も篤く、また年頃ということもあり、縁談も尽きなかった。
ヴィクターの机の上にはいつかエミールが妖精からもらった、とプレゼントされた「幻の花」が飾られていた。
それは永遠に枯れることはないとされている幻の花。
ヴィクターは毎朝その花に向かって「おはよう、エミール」と声をかける。
マルグリット学園長ともたまに手紙のやり取りをしており、「固有魔法に治癒魔法を持つ者が入学した」との知らせを受ける。
それは紛れもなく、精霊エミール・エリスが精霊界に存在している何よりの証拠だった。
治癒の魔法はもう幻でも伝説でも何でもない。
この世界に新たに息づいている。
寂しくはないと言ったら正直噓になる。
それでも、いつまでもエミールはヴィクターの誇れる最高に可愛い弟なのだ。
双星のグリモワール~俺の弟が可愛すぎる~ fin
最後までご愛読ありがとうございました。
この後さらにスピンオフ
「双星のグリモワール~もう一つの星~」(ディアナック兄弟その後編)
続編
「双星のグリモワールⅡ~星々の継承者~」
が控えております。
お楽しみに!




